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【パリ~ニース 第2ステージ:レビュー】欧州ワールドレースで初勝利を掴んだケース・ボル「最高の気分さ。スーパーハッピーな1日だ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか残り500mまで2人アシストを残していたDSM隊列の脇を、またしてもトレックがすり抜けた。ジャスパー・ストゥイヴェンの力強い背中の後ろには、マッズ・ピーダスンが潜んでいた。この元世界チャンピオンにも、やはり総合首位に立つチャンスが残っていた。ぎりぎりまでタイミングを待ち、残り150mでスプリントに転じた。
しかし一瞬でライバルに並ばれ、そして離された。自らの後輪にぴたり張り付いたまま、最後までなにもできなかったブライアン・コカールではなく、その後ろにいたケース・ボルだ。フィニッシュ手前400mの右カーブで内を突き、自身の隊列からピーダスンの2人後ろにすばやく場所替えした194cmの長身だった。
「最後のカーブでいいポジションに入り込めた。あわや行く手を塞がれそうになったけど、ニルス(エーコフ)が僕を前に上手く上げてくれたんだ。良い後輪に入れたね。あとは自分のタイミングでスプリントを切った」(ボル)
ボルが生まれて初めての欧州ワールドレース勝利をつかみ、「チームは完璧。単に僕が遅かっただけ」と悔やむピーダスンが区間2位で終えた背後では、3位を巡りマシューズとベネットがもがいた。「少し長く待ちすぎた」前区間勝者は5位に沈み、マシューズがまんまと3位のボーナスタイム4秒を収集。きっちり総合4秒差でピーダスンとベネットを退け、念願の黄色いジャージを手に入れた。
「努力が報われて最高だ。ここには自分ができることをすべて試みるつもりでやってきた。昨日はフィニッシュスプリントには少し届かなかったけど、中間スプリント収集をしっかり成功させられたし、今日もまた中間の機会を逃さず、ベストを尽くした」(マシューズ)
2015年大会で1日、2016年大会で5日間、すでにマシューズは今大会のマイヨ・ジョーヌをまとっている。そもそもがかなりの総合リーダージャージコレクターで、グランツールでもジロ8日間、ブエルタ3日間の経験あり。ただ総合首位として個人タイムトライアル最終出走者となるのは、少なくともプロ入り後は初体験だ。
マイケル・マシューズ
「黄色いジャージを着てタイムトライアルを走れるなんて最高だね。TTの成り行きを見てから、僕があとどれくらいジャージを守れるのかを考えるつもり」(マシューズ)
残り1km手前の落車分断にはタイム救済措置が適応され、おかげでニースで黄色いジャージを狙う総合系選手たちは、揃ってボルと同タイムで1日を終えた。また残り23km地点の落車で、アレクシー・ヴィエルモが左肩関節脱臼。残念ながら大会2人目のリタイアとなった。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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