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【3.6開幕 ストラーデ・ビアンケ:プレビュー】未舗装路が舞台の熱き戦い「白い道」。最難関の第8セクターを攻略して栄光を掴むのはどの選手か。
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか全11ヶ所・通算63kmの未舗装セクターが選手を苦しめる
クラシカルで熱き戦い「白い道」が伝統の春に帰ってくる。最難関の第8セクターを攻略して栄光を掴むのはどの選手か。
薄く赤茶けた古都シエナ、いっせいに萌え始めた若草、そしてトスカーナの丘陵地帯にうねる白い道。柔らかさな陽光の下で織りなされる色彩のコントラストは、絵画のように美しく、冷たい雨はすべてを黙示録に変える。未舗装路を舞台に繰り広げられる、クラシカルで熱き戦い。つい7カ月前にはコロナ禍からのワールドツアー再開1戦目を務めたストラーデ・ビアンケが、伝統の春に帰ってくる。
かつて「エロイカ(英雄)」という名を冠していた同大会は、2021年3月6日(土)で、第15回目の開催を迎える。2017年にUCIワールドツアー登録して以降は、毎年同じコースが使用されてきた。つまりシエナから走り出す全長184kmの道程で、選手たちは起伏(累計獲得標高3200m)と未舗装セクター(全11ヶ所・通算63km)の2つの難題を乗り越えねばならない。
ずばりレース名でもある「白い道」は、スタート17.6km地点から始まる。11のセクターはいずれも個性的で、それぞれに異なる危険な香りをはらんでいる。例えば第1セクターはほぼ平坦・ほぼ直線ながら、軽い下りのせいでいきなり猛スピードがでるし、第5・6の2連続セクターはその長さに加えて(最長11.9km+舗装1km+8km)、パンチ力と技術力を要するアップダウンを含んでいる。
「最難関」と謳われるのは、間違いなく、フィニッシュまで54km地点から始まる第8セクターだ。過去3度大会を制したファビアン・カンチェラーラを讃える石標が目印の、全長11.5kmのグラベルゾーンには、勾配10%を超える上りと、急な下りが繰り返し登場する。しかも道の中央にはところどころ巨大な石も埋まっているから、いつなんどき落車やパンクに襲われるやもしれぬ。
ラスト25kmからの3つの舗装セクターは、いずれも距離こそ短いものの、3つすべてで急坂が立ちはだかる。しかも最大勾配は10%超、15%、18%と、クレシェンドしていく。
もちろんフィナーレはおなじみ、シエナ旧市街を舞台にした古式ゆかしき戦いだ。残り2kmから緩やかに道は上り始め、残り1kmで、突如として平均勾配12.4%・最大勾配16%の激坂に変わる。しかもフォンテブランダ門をくぐった先のラスト800mは、ユネスコ世界遺産に登録された、古く狭い石畳の路地だ!
ラスト500mで道はようやく下り基調に転じるのだが、もしも最後の最後まで勝負がもつれ込んだ場合は、4つの急カーブと位置取りが運命を左右するはずだ。そして2021年も、英雄は、中世の名残を残すカンポ広場で誕生する。
ディフェンディングチャンピオンのワウト・ファンアールト
悪路に強く、激坂を登れて、下り技術もある。そんなチャンピオン像に現プロトン内で最も近いのは、やはりディフェンディングチャンピオンのワウト・ファンアールトだろう。なにしろ3度の参戦で3度とも表彰台に上がってきた、まさに得意中の得意とするコース。このところ2連敗中ーーツール・デ・フランドルとシクロクロス世界選手権ーーの宿敵マチュー・ファンデルプールとの、熾烈な睨み合いにも注目したい。
グレッグ・ファンアーヴェルマートも過去10回参戦し、トップ10圏内8回、2位が2回と、このグラベルコースを知り尽くしている1人。ヤコブ・フルサンやティム・ウェレンス、ティシュ・べノート、ダヴィデ・フォルモロといった近年の表彰台経験者と並んで、ワールドツアー化以前に2度表彰台に上ったアレハンドロ・バルベルデもまた、人生最後のストラーデ・ビアンケへやってくる。
今シーズン開幕からの1ヶ月で、手が付けられないほど絶好調なのが、2年前の覇者ジュリアン・アラフィリップとその仲間たち「ウルフパック」。やはり好調バウケ・モレマ&トレックも、極めて危険な存在になりそう。グランツール覇者のエガン・ベルナル、タデイ・ポガチャル、サイモン・イェーツもまた、1日限りの戦いに挑む(バルベルデも一応この区分に入る)。
ところでストラーデ・ビアンケへ乗り込む選手たちにとって、最も気になるのは、やはり未舗装路の状態だろう。2月下旬からイタリアは好天続きで、気温も高かったため、白い道はもうもうと砂埃につつまれる..と予想されていた。ところが直前の気象情報によれば、レース前日の金曜日の夕方から雨。もしかしたら当日も降るかもしれない。すると2018年大会のような、泥んこレースになる可能性もはらんでいる。
地元っ子たちにとっては、全地球上の自転車ファンと同じように、今年はお家でテレビ観戦の機会だ。シエナ県は2月27日、新型コロナウイルス感染防止対策における「レッドゾーン」に指定された。ストラーデ・ビアンケは予定通り開催されるが、一般市民の不要不急の外出や都市間移動は禁じられている。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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