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サイクル ロードレース コラム 2021年2月10日

【ツール・ド・ラ・プロヴァンス:プレビュー】ベルナルやアラフィリップら豪華メンバー集結!プロヴァンスの巨人《モン・ヴァントゥ》に挑む

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ジュリアン・アラフィリップ

ジュリアン・アラフィリップ

次々とレースが延期・中止に追い込まれ、いつまたシーズンが中断されるかもしれない。新型コロナウイルス禍の終焉はいまだ見えず、不安な日々は相変わらず続く。2021年シーズン開幕以来、ワールドチームが参加したレース日数はわずか6日だけ。……ちょうど1年前はすでにプロトンは世界5大陸を股にかけ、44日も走っていたというのに。

だからこそ、2月11日から4日間の予定で行われる2021年ツール・ド・ラ・プロヴァンスに、14ものワールドチームが駆けつける。しかも中止や延期になったムルシア一周やオマーン一周に出場予定だった強豪たちも、こぞって行く先をフランスに変えた。おかげで、素敵に豪華なメンバーが、プロシリーズ化2年目の今大会を彩ることになった。

たとえば「開幕の週末」=2月末のベルギークラシック開幕戦へ向けて、急速に調子を上げていきたいウェレンス&ジルベール&デゲンコルブのロット3人組に、UAEコンビのクリストフ&トレンティン。もちろんクラシック精鋭軍「ウルフパック」も、ジュリアン・アラフィリップと共に乗り込む。

複数のグランツールエースもスタートラインに並ぶ。目玉はやはり2019年ツール総合覇者ベルナルだろうか。さらには2018年ブエルタ総合2位マスに、今季いよいよグランツール総合エースとして本格始動するチッコーネやウラソフも、南仏の山で才能の証明を行う。

2016年に誕生した歴史の浅いレースに、これほどまでにハイレベルな選手たちが大量に集結したのは、なにもコロナ禍だけが理由ではない。2019年末からツール・ド・フランス開催委員会ASOが大会パートナーとなったことも、やはり強豪チームを惹き付けた。なにしろASO開催のパリ〜ニースやクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでおなじみの手法が、この2021年ツール・ド・ラ・プロヴァンスにも用いられる。それが同夏のツールで使用されるコースを走ること。

今大会では3日目イストル〜シャレ・レナールで、ツール第11ステージのルートを一部拝借する。そう、プロヴァンスの巨人、モン・ヴァントゥに登る!

7月の本番の目玉は「山頂まで二重登坂」だが、今大会は最終登坂1度だけ。しかも登坂距離は6km短く、標高が約480m低いレナール小屋でフィニッシュを向かえる。そうは言っても強風で有名なこの山に、しかも真冬に、標高1431m地点まで登るのは簡単なことではない。実は昨大会3日目でもほぼ同じ行程を走ったが、1年前は素晴らしい好天に恵まれ、大半の選手が半袖ジャージで走った。気になる今年は、日中でも気温は摂氏0度程度までしか上がらないとの予報だ。

おそらく第3ステージの結果が総合を左右する。それでも初日のスタート時から、選手たちは決して気を緩めてはならない。なにしろマルセイユ郊外のオバーニュを走り出した瞬間に、1級峠登坂が始まるのだから。その後も3つの3級峠が繰り返し襲いかかる。第2ステージも細かい起伏に選手たちは脚を痛めつけられる。フィニッシュはどうやら上り坂だ。

最終日アヴィニヨン〜サロン・ド・プロヴァンスは、地形的だけ見ればようやく平坦なスプリンター向き。ただし、もしもミストラル(地方風)が吹き荒れた場合は、果たして平和にレースが進行されるかどうかは定かではない。

エガン・ベルナル

エガン・ベルナル

ところで今シーズンここまでのワールドチーム参加レースは、すべてがフランスで開催されている。現在ロックダウンは行われておらず、国内移動は基本的に自由。ただし18時以降は外出制限措置が布かれている。幸いにも選手たちは、たとえフィニッシュ時間が遅くなったとしても……外出申告書と就労証明書をしっかりと携帯していさえすれば「職場から自宅(レースから宿泊先)」の移動は許される。最終日に欧州他国の自宅に帰る場合は、これに加えてPCR検査の陰性証明も必要だ。国によってはもしかしたら自主隔離が必要となるかもしれない。

一方でフランスから欧州「外」への出国は、今現在、特別な理由がない限り認められていない。単なる「帰宅」さえも許されない。ただプロスポーツ選手がハイレベルな競技会に出場する場合だけは例外で、もしも2月21日からUAEツアー(ワールドツアー)に出場する場合は、職業証明書と開催委員会からのレターの提示でヨーロッパを離れることができる。

こんな少々不自由なレース活動は、この先もまだしばらくは続くのだろう。それでも2021年自転車ロードレースシーズンが無事に始まり、多くの選手たちが走り出せたことは、朗報以外のなにものでもない。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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