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サイクル ロードレース コラム 2020年8月7日

【クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ:プレビュー】5日間すべてが上りフィニッシュ!地獄の大会でマイヨ・ジョーヌ候補が激突!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ

本格的に自転車ロードレースシーズンが再開してから、約2週間。ツール・ド・フランス開幕までも、やはり約2週間。新型コロナウイルス感染危機の真っただ中、いまだかつてないほど、強豪たちは急ピッチで仕上げにかかる。

本来なら5月31日から6月7日の8日間で争われるはずだった「ツール前哨戦」は、8月12日から16日の5日間に短縮された。しかし3日少なくなった分、戦いが楽になったわけでは、決してない。むしろその逆だ。

なにしろ道は本来の第1ステージスタート地から、本来の第2ステージ上りフィニッシュへと直接向かう。「上れるスプリンター向き」と見られていた第3、4ステージは、完全にコース図から姿を消した。アルプスで繰り広げられる残る4日間は、もちろんそのまま。

おかげで5日間すべてが上りフィニッシュという、走る側には地獄の、見る側にはひどく楽しい大会に姿を変えた。 9月のマイヨ・ジョーヌ候補たちが、5日間全力でぶつかり合う!

そう、いきなり初日から、プロトンは中央山塊の起伏に放り出される。難解な上りこそないものの、7つの起伏に、218.5kmという長距離は、ドラマの始まりとしては最高だ。しかも本来ならツール第14ステージとまったく同じスタート&フィニッシュの予定だったけれど、フィニッシュ地を変えたせいで、難度は格段に増した。最終盤182.5km地点では、アンドレイ・キヴィレフが、2003年パリ〜ニース中に落車で命を落とした坂道を通過する。カザフの星を偲んで、アスタナが必ずやなにか仕掛けてくるに違いない。ラストは山頂を越え、ほんの数百メートル下った直後から始まる、短い急坂だ。

135kmと短距離決戦の第2ステージは、17.5kmと極めてな長い超級コル・ド・ポルテの山道で締めくくり。かつて幾度となくプロトンが通過し、今年のツールでも第16ステージ前半に登場するこの山が、生まれて初めて山頂フィニッシュを迎え入れる。平均勾配は6.2%。ただし侮るなかれ。途中に挟まれた下りゾーンのせいで、平均値が極端に下がっただけなのだ。むしろ10%超があちこちに点在する、厳しい上りである。

中日3日目は、いわゆるツールの第17ステージの予習。スタート地がほんの数キロずれているだけで、あとは約140km地点まで完全に同じ道を通る。つまり超級マドレーヌ(8.3%)の長い山道を上って(17.3km)、さらに長い山道を下りる(約20km)。ただしツール一行が、そこから未知の難関ロズ峠へ向かうのに対して、ドーフィネのプロトンは、もうひとつの1級サン・マルタン・ド・ベルヴィル(14.8km 6%)をよじ登る。

最後の2日間は、同じ山を舞台に、山頂フィニッシュが繰り広げられる。2016年ツール終盤で難しい起伏TTステージの舞台となったムジェーヴから、さらに標高を上がって、山岳飛行場までたどり着く。この地でプロトンが争ったのは、1998年の同大会が唯一にして最後。やはり2日連続の登坂が組まれたが、あれっきりだ。果たしてこのモンテ・ド・アルティポールが、自転車界の「常連」になれるかどうかは、2020年の戦いにかかっている。

4日目は序盤からいきなり2つの1級峠が立ちはだかる。後半には超級モンテ・ド・ビザンヌの厳しい勾配(12.4km、8.2%)が、選手たちをたっぷりと苦しめるだろう。そこから山岳飛行場へ向けた1度目のフライトが始まる。この2級峠のデータだけに限れば、全長7.4km、勾配は4.7%と、比較的緩やだ。しかし累計獲得標高4700mという恐ろしいステージの締めくくりであることを、忘れてはならない。

2度目の着陸が終わるまで、決して総合争いは終わらない。なにしろ最終日は8つの峠が、ぎゅうぎゅうに詰め込まれている。しかもステージ前半の超級コル・ド・ロム(8.8km、8.9%)、1級コル・ド・ラ・コロンビエール(7.5km 8.5%)を終えても、いまだ85km+5峠も残っている。敵に大差をつけ、大どんでん返しを成功させる可能性は十分にある。

それにしても、このとんでもない山岳パラダイスは、ひたすらクライマー向けに作られた2020年ツール・ド・フランスの予行練習にふさわしい。

当然のように、ツールの栄光を狙う山男たちが、大量にスタートラインに詰めかける。昨ツールを黄色で暴れまわったアラフィリップを筆頭に、Nキンタナ、ピノ、バルデ、ラトゥール、ポガチャル、ランダ、イェーツ、ロペス、ブッフマン、マーティン、マス、バルベルデ、ポート、Gマルタン、ウラン、イギータ……!

なによりイネオスのフルーム&トーマス&ベルナルと、ユンボ・ヴィスマのデュムラン&クライスヴァイク&ログリッチが、揃い踏み。「3人あわせてツール総合6勝」イネオスvs「スカイ=イネオスの頂点君臨以来、最強の刺客」ユンボの一足早い激突の行方はもちろん、ひどく気になるトリオリーダーの人間模様からも……、絶対に目が離せない。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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