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サイクル ロードレース コラム 2020年7月3日

大会史上初の試み バーチャル・ツール・ド・フランスプレビュー

サイクルロードレースレポート by 辻 啓
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深い洞察と妄想に溢れた「エア」の破壊力も抜群でしたが、2020年のサイクルロードレースシーンを語る上で欠かせないのが「バーチャル」の存在。仮想空間だと侮るなかれ、ロックダウン期間中もオンライン上で繋がるバーチャルの世界が選手の心身を救ってきたのは紛れもない事実です。長いトンネルの出口が見え、シーズン再開が近づく7月、ついにツール・ド・フランスがバーチャルに。7月第1週から第3週にかけての週末に、ツールのために新設されたコースを本物のマイヨジョーヌ候補たちが走ります。

まだまだ手探り感が否めないバーチャルレースですが、ツールは新たにZWIFT(ズイフト)とタッグを組み、その定評あるプラットフォームを使用するため信頼性においては文句なし。合計6ステージで開催され、前半2ステージはZWIFT定番の仮想空間WATOPIA(ワトピア)を使用します。開幕地ニースに合わせてプロヴァンスの街並みが追加されたコースで争われ、続く第3ステージと第4ステージはツールのために新設された仮想空間FRANCE(フランス)が舞台となります。クイーンステージの第5ステージには同じく新登場のモンヴァントゥーにアタック。2016年にクリス・フルームがランニングした「魔の山」の中腹シャレー・レイナールでフィニッシュを迎え、最終日はもちろんパリのシャンゼリゼです。平坦から山岳賞まで特色のあるステージはいずれも距離20〜50kmほどで、レース時間は1時間程度となる見込みです。

マイヨ・ジョーヌ、マイヨ・ヴェール(ポイント賞)、マイヨ・アポワ(山岳賞)、マイヨ・ブラン(ヤングライダー賞)が設定されるのはツール本戦と同じですが、いずれもポイント形式のチーム戦で、各カテゴリーのリーダーチームは特別賞ジャージの着用者を任意で選ぶことができるというもの。しかもチームはコース特性に合わせて毎ステージの出場者を選ぶことができ、個人の成績は争われません。これはつまり、ツール本戦でトリプルリーダー体制を組むチームイネオスがリーダーチームになった場合、チームが誰をリーダーに指名するのかという本戦に向けた興味も。

初のバーチャル開催に合わせて女子レースも同じ内容/同じ距離で同日開催されることも、年々拡大を続けるウィメンズレース界にとって大きなトピックです。参加するのは23の男子チームと17の女子チームで、エガン・ベルナル、ゲラント・トーマス、クリス・フルームというイネオス御三家だけでなく、話題のマチュー・ファンデルプールやジュリアン・アラフィリップ、グレッグ・ファンアーヴェルマートもラインナップ。女子レースには世界TT王者クロエ・ダイガートやマリアンヌ・フォス、アンナ・ファンデルブレッヘンといったトップ選手がマイヨ・ジョーヌ獲得を狙って出場します。

単純なパワー数値比較の個人タイムトライアル勝負ではなく、現実世界のようにスリップストリームも有効となり、登りではパワーウエイトレシオが反映されるZWIFTの世界だけに、バーチャルならではのチーム戦術やライバル攻略法にも注目です。今年も7月はツールの月。大会ディレクターを務めるクリスティアン・プリュドム氏の「レースの無い7月は想像できない」という言葉が全てのレースファンの気持ちを表しています。


文:辻 啓

代替画像

辻 啓

海外レースの撮影を行なうフォトグラファー

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