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【パリ~ニース:プレビュー】コロナウィルス感染拡大で生じる激しい混乱。78回目を迎える歴史と伝統のミニツール「太陽へと向かうレース」は豪華メンバーが集結の予定...
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか78回目を迎える「ミニツール」コロナの影響により状況は刻一刻と変わっている...。
この記事を書いている3月4日時点では、パリ~ニースは予定通り開催される見通しだ。
ただし刻一刻と状況は変わっている。フランスや隣国イタリアでも、コロナウィルス感染が急速に拡大している。フランス政府は3000人以上が集うイベントの中止・延期を呼びかけ、イタリア政府は4月3日までのスポーツイベント中止・延期を要請。
しかも先日のUAEツアー内での感染事例を受け、一部選手たちはいまだ現地に隔離されている状態だ。本来なら優勝候補の一角に挙げられ、この夏待望のツールデビューを果たすタデイ・ポガチャルもその1人で、残念ながらパリ~ニース出場が不可能となった。
チーム側も自主的に安全確保に動いている。ミッチェルトン・スコットとイネオスはパリ~ニース欠場を発表した。前者は純粋にコロナウィルスが理由で、ティレーノ~アドリアティコやミラノ~サンレモ等も回避する。後者は新型肺炎の流行に加えて、チーム監督ニコラ・ポルタルが急死したことを受けて、3月23日まで一切レース活動を休止する。ユンボ・ヴィスマもイタリア開催レースの欠場を決めているとのこと。また多くのワールドチームのドクターが、パリ~ニース開催反対意見を出しているとの情報もある。
これ以上、被害が拡大しないことを祈りつつ、以下に2020年パリ~ニースの本来あるべきであったプレビューをお届けする。
プレビュー
かなりの暖冬だったフランスが、ますます熱くなる。まるでいきなり7月がやって来たような錯覚さえ抱くかもしれない。なにしろ2020年パリ~ニースのスタートラインには、2020年ツール・ド・フランスの総合優勝候補が、ほぼ全員集結する!
まずは、当然、昨3月にニースで黄色のジャージを身にまとい、7月の終わりにはシャンゼリゼでマイヨ・ジョーヌの栄光に輝いたエガン・ベルナル。ユンボ「トリオエース」の筆頭格プリモシュ・ログリッチに、昨夏「涙のリタイア」のリベンジに燃えるティボー・ピノも、3月から早くも打倒イネオスに燃える。
昨ブエルタ3位に続いて、この夏早くもツールデビューを果たすわずか21歳タデイ・ポガチャルにとっても、35歳でいまだグランツール最高位5位、「永遠の総合優勝本命」とさえ呼ばれるリッチー・ポートにとっても、パリ~ニースは間違いなく欠かせないステップだ。さらには先輩エースがジロ行き(=東京五輪集中)を選んだおかげで、初めてツールでエースの座が巡って来たミゲルアンヘル・ロペスにピエール・ラトゥールに、チームを変わり心機一転、ツールで新たな自己証明に燃えるミケル・ランダにナイロ・キンタナ、イルヌル・ザカリン、エンリク・マス..。
これほど豪華メンバーが詰めかけたのには理由がある。愛称「太陽へと向かうレース」の、その太陽が待ち受けるニースで、2020年ツール・ド・フランスは開幕するからだ!
幸いにも今年で78回目を迎える「ミニツール」は、あらゆるタイプの選手に輝くチャンスを与える。たとえば序盤3日間はいわゆる平坦巧者向け。
ただし「ピュア」すぎるスプリンターには少々厳しいかもしれない。コース上には小さな起伏がたくさん待ち受けているし、例年この時期この地方は雨と風に見舞われるから、横風への対応力も絶対的に必要となる。つまりは風分断や濡れた路面での集団落車発生で..総合勢が予想以上にタイムを失ってしまう危険性もたっぷりはらんでいる。
何事もなく集団フィニッシュに持ち込まれれば、アッカーマン、ユアン、サム・ベネット等々の現役最速勢がダイナミックな勝負を繰り広げるだろう。厳しい展開に持ち込まれた場合、世界王者マッズ・ピーダスン、ポリッツ、テルプストラ、クリストフ、トレンティンといった「北巧者」たちの出番だ。
4日目は今大会唯一の個人タイムトライアル。ゆるやかな起伏を含む15.5kmの短距離走で、どれだけ総合勢にタイム差が生まれるか。この日最も注目されるのはステージ地の地元っ子ジュリアン・アラフィリップ。3月序盤の時点では「まだ調子は上がっていない」と告白しているものの、昨ツールで黄色の日々を14日間過ごしたフランスの英雄が、地元ファンのために全力で奮闘しないはずがない。
続く5日目にスプリンターやパンチャー、ルーラーが最後の力を振り絞り、レース後一気に南フランスへと飛んだ後は、ついにクライマーたちの時間がやって来る。たとえば第6ステージは細かなアップダウンステージ。6つの中級山岳が連なり、フィニッシュ直前にも無印ながら、全長1.2km・勾配8.2%の上りが。スピード感あふれる下りフィニッシュが用意された。
一転、最終日前日の土曜日は、本格派山頂フィニッシュ。スタート直後から道は上り始め、3つの山を越えた後、1級ヴァルデブロール・ラ・コロミアーヌへの全長16.3km、平均勾配6.3%の山道へ。そして、この1級峠こそが、この夏のツール・ド・フランス2日目の46.5km地点にいきなり立ちはだかる難関山岳だ。6月末のプロトンに「最初の試練」を与えるこの山は、3月は総合争いの大勢を決める役割を果たす。
ただしパリ~ニース特有の、手に汗握るはらはらなチェイスは、最後まで続く。やはりツールのコースを拝借して行われる最終ステージは、4つの山岳が詰め込まれている。大会最後の3級アスペルモンの上りは、ツール第1ステージで3度駆け上がる予定だから見逃せない。
そして3級峠の山頂から、約20kmの高速ダウンヒルを経て..8日間の熱戦は戦いを閉じる。行き着く先はおなじみ、地中海岸に真っすぐ伸びる「英国人の散歩道」。もちろん約3カ月後にはこのフィニッシュラインから、ツール・ド・フランスの3週間の旅がスタートする。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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