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サイクル ロードレース コラム 2020年2月17日

【ブエルタ・ア・アンダルシア:プレビュー】シーズンの行方を占うハイレベルの5日間 ビッグレースへとつながる「太陽の道」を誰がトップで駆け抜けるか!?

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ブエルタ・ア・アンダルシア

また今年も、地中海の潮風が織りなす温暖な空気と、まばゆいばかりの太陽の光を感じられる時期がやってきた。

1月のツアー・ダウンアンダーに続き、2月に入るとヨーロッパでもレースがスタート。シーズン序盤のレースの中でも、ブエルタ・ア・アンダルシアは山がちな地形を生かしたコース設定で、例年トップライダーたちが試運転も兼ねて集まってくる。大会の別名「ルタ・デル・ソル(太陽の道)」を、今年は誰が先頭で駆け抜けていくだろうか。その先へは、グランツールや伝統のクラシックレースにつながっている。

改めて、レースの格式に触れていくと、カテゴリーはUCIプロツアー。実質は昨年までの同コンチネンタルツアーにおける、HCクラスに該当する。先日のダウンアンダーのような同ワールドツアーではないものの、これまでにアレハンドロ・バルベルデが3連覇を含む5度の個人総合優勝を果たし、2015年にはクリス・フルームが大会を制覇。アルベルト・コンタドールのような名選手もアンダルシアからビッグレースでの大仕事へとつなげていった。

ビッグネームたちがこの時期のアンダルシアに集結するのは、もちろん訳がある。先述したように、山がちな地形を走るルートは、ときにグランツールさながらの山岳ステージとなり、そのシーズンを占うレースともなり得るからだ。

そんな趣きは今年も同様。3級山岳を4つ上ってからフィニッシュ直前に12.7kmに及ぶ1級山岳を登坂する第1ステージに始まり、第3ステージでは2つの1級山岳をクリア後に2級の上りがフィニッシュ前約15kmにそびえる。第4ステージは、フィニッシュの約20km手前に平均勾配7.5%の1級山岳が控え、上りきったと思ったら一気のダウンヒル。

一方で、スプリンターにチャンスがまったくないかというと、決してそんなことはない。第2ステージでスピードを生かす機会がめぐってきそうだが、ただこれも3カ所の3級山岳を越えることと、フィニッシュ前約1.5kmの上り基調を問題なくこなすことが大前提となる。

そして、緊張感漂う日々を締めくくるのは、13kmの個人タイムトライアル。総合争いが僅差でもつれようものなら、最後の1日がすべてを決着させる。

“ザ・ステージレース”と言いたくなるような偏りのないコースセッティングに、最も適応するのはいったい誰だろう。昨年の覇者であるヤコブ・フルサンは2連覇をかけて乗り込む。フルサンは、禁止薬物提供で自転車界から永久追放されたミケーレ・フェラーリ医師との接触が嫌疑をかけられていたが、自転車反ドーピング財団(CAFDF)より5日、そうした嫌疑はないと発表された。

充実しているのはジャック・ヘイグ。2月上旬のバレンシアでは個人総合2位となり、これまでになく上々のシーズンイン。ミッチェルトン・スコットの次期エースと目されるオージーライダーを、経験豊富なアシスト陣が支えることになる。

アージェードゥーゼール・ラモンディアールのエースとして、今年はツール・ド・フランスに挑むことが内定しているピエール・ラトゥールも、この大会で真価を示したい。長年ツール制覇に届かずにいるフランス自転車界にあって“新たな希望”である彼を、無名からプロトン屈指のパヴェスペシャリストへと成り上がったベルギー人、オリバー・ナーセンが盛り立てる因縁もどこか興味深い。

地元スペイン人ライダーも、アンダルシアの温かさを味方にエンジンを本格始動させる。チーム バーレーン・マクラーレンは、新エースのミケル・ランダを立てて臨む。1月にはトレーニング中の事故で負傷したランダだが、大きなけがには至らなかったよう。例年“限りなく”ベストメンバーに近い布陣で戦うモビスター チームも、若きエースのマルク・ソレルとエンリク・マスの双頭体制。どちらもこの先グランツールで総合リーダーを務めるであろう逸材だが、この大会の結果次第でチーム内の序列がある程度決まってくることも考えられる。

総合戦線にとどまらず、ブライアン・コカールのようなスプリンターにも目を向けておきたい。爆発的なスピードと鮮やかなポジショニングで勝利を量産してきたフレンチガイも、今年4月で28歳。チーム創設3年目にして悲願のツール出場が決まったB&Bホテルズ・ヴィタルコンセプトを引っ張り続けるその姿を、今回も見せてくれる。

ここで結果を残した選手が今シーズン、来たるビッグレースへと羽ばたくことだろう。それが誰なのかは、アンダルシアの太陽だけが知っているのだ。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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