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【ジャパンカップ クリテリウム プレビュー】ゴージャスな顔ぶれが古賀志でしのぎを削る!2020年東京オリンピック出場権獲得に向けた日本人バトルにも刮目せよ。
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかアジア最大級のワンデーレースが、今年も日本の自転車ファンたちを、熱狂の渦へと誘う。
先週末に日本列島を襲った台風19号は、ジャパンカップの開催地にも、決して小さくない爪痕を残した。市街地を貫く田川の氾濫で、土曜日のクリテリウムコースには泥が堆積し、本番の舞台も、倒木や土砂崩れが相次いだ。幸いにも、自治体・大会関係者の大いなる熱意と尽力のおかげで、予定通りレース開催が決定。UCIワールドチーム5チームを含む全21チームで構成される色とりどりのプロトンが、宇都宮をハイスピードで駆け巡る。
2015年はやはり台風の影響でコースの一部分がカットされたが(現行使用のものに変更された)、今年はコースも距離も一切変更なし。宇都宮森林公園をぐるりと回る10.3㎞のサーキットコースを、選手たちは全部で14周する。急坂あり、テクニカルな下りあり、緊迫チェイスにもってこいの平地ストレートあり。極めてバランスの取れた1990年世界選手権用サーキット(ただし逆回り)の中でも、スタート/フィニッシュラインのすぐ後に挑みかかる古賀志林道こそが、今年も勝負を左右する最大ポイントになるだろう。
それにしても今年の古賀志では、例年以上に熾烈な登坂合戦が繰り広げられることになりそうだ。なにしろとてつもなくゴージャスな顔ぶれが、日曜日のスタートラインに並ぶ。
トレック・セガフレードはクリテリウム2勝の別府史之を筆頭に、ほんの1週間前に「モニュメント」ロンバルディアを制したモレマとジロ山岳賞+ツールマイヨ・ジョーヌ着用チッコーネを引き連れてくる。初出場バーレーン・メリダも負けてはいない。グランツール上位常連の強者を複数揃えている上に、恐るべき登坂スプリント力を誇るコルブレッリを有する。新城幸也が「うちのチームなら誰でもどんな展開でも勝てる」と自信を持って断言するほど。
昨季優勝のミッチェルトン・スコットや、ガーミン時代から通算3勝(+繰り上がり1勝)を誇るEFエデュケーションファーストはもちろんのこと。中でも10月のイタリアワンデーシリーズで優勝1回、表彰台1回、トップ5入り1回のウッズが、好調をキープしたまま日本へ乗り込む。
そしてユンボ・ヴィスマ!初参戦の2017年大会は4位、昨秋は2位……とあとわずかのところで逃してきた優勝を、今度こそ本気で獲りに来た。なにしろシーズン開幕時のチームミーティング時に、「誰がジャパンカップに行くか」を決めてしまったらしい!3年連続出場のボーマンや、昨大会7位に食い込んだヘーシンクのおかげで、コース分析は完璧。この夏ツール・ド・フランスで総合3位に輝いたクライスヴァイクや、秋のブエルタでログリッチェ総合優勝を支えつつ自らも山頂フィニッシュを制したクスは、どれほどの破壊力を古賀志林道で見せつけるのだろう。
土砂降りだった2017年大会の覇者カノラは、雨の予報に運命を感じているかもしれない。中根、伊藤、初山、石上という4人の日本人チームメートと共に、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファエザネとしてのラストレースを成功に導けるか。1年前に集団牽引を敢行した宇都宮ブリッツェンの心意気を引き継ぐような、国内コンチネンタルチームや日本代表チームの奮闘にも心から期待したい。
特に日本選手にとっては、2020年東京オリンピック出場権獲得に向けた、絶好のポイント収集機会でもある。もしも1997年以来22年ぶりの日本人ジャパンカップ勝者が誕生した場合、その選手には200pt×1倍が与えられる。2019年10月1日現在、五輪代表選考ランキング首位の増田成幸のポイントは201.8pt。するとジャパンカップの結果次第では、大きな逆転劇も起こりえる。
ちなみに2019年シーズンのジャパンカップは、UCIコンチネンタルサーキット(大陸別)の一戦だが、2020年シーズンからは新たな「UCIプロシリーズ」で最終戦としての役割を果たす。UCIワールドツアーとUCIコンチネンタルサーキットの間に、来シーズン新たに設けられるプロシリーズは、世界中のあらゆる土地で行われる54レースをまとめたもの。つまりジャパンカップは「アジア」の枠を飛び出して、地球規模へと進化する。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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