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サイクル ロードレース コラム 2019年8月14日

【ツール・ド・ラヴニール / プレビュー】未来のグランツールチャンピオンたちの饗宴、クイーンステージは最終日!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:2018年のツール・ド・ラヴニール総合優勝はタデイ・ポガチャル(右)

未来の大物を探せ!すでに頭角を現しているいないに関わらず……輝かしいプロキャリアを約束された若者たちが、今年もツール・ド・ラヴニールのスタートラインに集結する。U23版ツール・ド・フランスは、中央山塊とアルプス山脈の起伏を思う存分駆け巡り、2019年8月15日から25日までの全10ステージで争われる。

1961年に「25歳以下限定」のレースとして産声を上げ、今年で56回目を迎える「未来のツール」。かつては3大ツール全制覇フェリーチェ・ジモンディ、ツール3勝のグレッグ・レモンや5勝倶楽部メンバーのミゲル・インドゥラインが、若き日に同大会でチャンピオンの証明を済ませた。

2007年以降は23歳以下のネイションズカップ(国・地域代表チーム制)として、以前にも増して有望な選手たちを次々と輩出している。2014年ジロと2016年ブエルタで総合を制したナイロ・キンタナ。2017年ツール山岳賞ワレン・バルギル。グランツール表彰台経験者のエステバン・チャベスにミゲールアンヘル・ロペス。彼らのいずれもが、U23時代にラヴニール王者に君臨している。2007年総合2位のトニー・マルティンは、後に世界選エリートで個人タイムトライアル4勝を上げ、2008年総合2位ルイ・コスタは、ロードでエリート世界チャンピオンに上り詰めた。2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ覇者サイモン・イェーツも、2019年ツールで14日間イエロージャージを守り続けたジュリアン・アラフィリップだって、U23の登竜門で華々しく区間を勝ち取ってきた!

もちろん2019年ツール・ド・フランス覇者エガン・ベルナルは、たった2年前に、ツール・ド・ラヴニールで2つの山頂フィニッシュを制し、若者向けマイヨ・ジョーヌを持ち帰った。また昨夏に同大会を圧倒したタデイ・ポガチャルは、プロ1年目の今年、早くも総合エースとしてブエルタ・ア・エスパーニャへと挑む予定だ。

つまり23歳以下とはいえ、とてつもないハイレベルな戦いには、U23ネイションズカップランキング上位15チームと招待チームからなる全26チームが参戦する。ちなみに昨季まで3年連続で出場した日本代表は、今年は不参加。ランキングは17位。「15位以内に入れる実力がないなら、つまり出場する権利はないのだ」と、シーズン開幕時から招待による出場辞退を決めていた結果だ。また総合覇者にマイヨ・ジョーヌが与えられるのは、大人向けツールと同じ。もちろんポイント賞マイヨ・ヴェールと山岳賞マイヨ・ア・ポワも忘れてはならない。

さて、5日間の中央山塊ステージと、休息日を挟んでアルプスで過ごす2日間は、いわゆるステージハンター向け。たっぷりと起伏に満ちているため、残念ながらピュアスプリンターの出番はそう多くはなさそうだ。上れるスプリンターやパンチャーたち、すなわち未来のクラシックハンターたちの脚の見せどころ。ただし2日目のチームタイムトライアル(32km)は、総合勢は絶対に失敗してはならない。昨大会、優勝候補筆頭のイバン・ソサ率いるコロンビアは、このチームTTで1分39秒も落としたのが痛かった……。

ラスト3日間は、難関山頂フィニッシュ3連戦で、いよいよ未来のグランツールチャンピオンたちの出番となる。

第8ステージはコース全長23.1kmという、標高2261mの超級ロズ峠での山頂フィニッシュ。決して登坂タイムトライアルではない。純粋なるラインレースである。つまりは平均勾配10%、最大19%の山道を……ふもとから山頂まで駆け上がるだけの勝負だ!「未来のツール」は、若者たちの脚を試すだけでなく、コース設定に関してもいわゆる「実験室」の役目を果たす。

翌第9ステージはティーニュへと向かう。2019年ツールのプロトンは、悪天候のせいでティーニュまでたどり着けなかったが……ラヴニール一行は予定通りに熾烈な総合争いを繰り広げられるだろうか。ステージ距離はやはり67.2kmと極めて短い。

そして最終決戦日こそが、今大会クイーンステージ。78.1kmという超短距離ながら、超級1つ、1級2つ、2級1つが詰め込まれたコースの累計獲得標高はなんと2701m。選手たちはひたすら上り下りに耐えねばならない。そしてル・コルビエへの全長18.8kmの山道が、2019年ツール・ド・ラヴニールの総合覇者を決する。この山頂で栄光を勝ち取る若者が、数年後……いや、2020年にはワールドツアーのトップチームで大旋風を起こしているのかもしれない。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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