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サイクル ロードレース コラム 2019年7月10日

【ツール・ド・フランス 2019 第4ステージ / レースレポート】マイヨ・ジョーヌのアシストでヴィヴィアーニがステージ制覇「ミッションを達成した気分だ」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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エリア・ヴィヴィアーニ

黄色いスターに、フランスはすっかり夢中になった。誰もが「われらがジュジュ」を一目見ようとレース沿道に詰めかけ、本人曰く「10秒ごとに僕の名前を呼ぶ声が聞こえた!」ほど。ハンドルテープはもちろん、ヘルメットからサングラスまで、ハンドルテープもソックスも、徹底的に黄色に揃えたジュリアン・アラフィリップは、マイヨ・ジョーヌで過ごす生まれて初めての1日を存分に満喫した。フィニッシュ直前には列車牽引の任務さえきっちり果たし、同僚エリア・ヴィヴィアーニの区間勝利に歓喜した。

スタートを告げる旗が振られた直後に、ワンティ・ゴベールサイクリングチームの2人が飛び出した。前日も逃げたヨアン・オフレドと、フレデリック・バカールトの猛然とした突進に、すかさずミヒャエル・シェアーが反応。3人の逃げが始まった。

暑くて長い1日だった。前日に続きステージ距離は210kmを超えた。エーススプリンターを擁するドゥクーニンク・クイックステップ、ユンボ・ヴィスマ、ロット・スーダルが長時間せっせとタイム差制御に励み、3人は延々と3分程度のリードで泳がせておいた。背後から集団がじわじわと迫りくるのを感じたシェアーが、単独で逃げの延長を試みると、サンウェブがハイペースを刻み約15kmを残して後方へと引きずりおろした。直後にはリリアン・カルメジャーヌが果敢にアタックに転じるも、もはやスプリンターチームの凄まじい勢いに抗うことなど不可能だった。

位置取り争いはいつにも増して熾烈だった。特にラスト2kmで道幅が極端に狭くなる。複数の列車が先頭を奪い合った。そして最多の人数で最高のポジションにつけたチームこそが、ドゥクーニンク・クイックステップだった。

代替画像

アラフィリップがラスト1kmで強力な牽引を行った。勝者によれば「マイヨ・ジョーヌがアシストを務めるなんてめったにない」ことではあったけれど、マイヨ・ジョーヌ本人にとっては「普段通りの任務」だった。続いて「列車司令塔」ミカエル・モルコフが極限ぎりぎりまでスピードを上げ、ライン手前300mで脇にそれた。マクシミリアーノ・リケーゼはそこから全力でもがき……残り150mでヴィヴィアーニがついに最前列へと解き放たれた。

1つも勝てなかったジロ・デ・イタリアとは、つまり完全に列車人員を入れ替えて臨んだ。これが吉と出た。猛烈に追い上げるアレクサンドル・クリストフやカレブ・ユアンを振り切って、ヴィヴィアーニは初めてのツール区間勝利を手に入れた。すでにジロ5勝、ブエルタ3勝を手にしてきたイタリア人にとって、これにて全3大ツールでステージ制覇を成し遂げたことになる。

ウルフパックにとっては、前日のアラフィリップに続く2日連続ステージ優勝で、今季なんと48勝目!相変わらずの結束力の強さと、純粋なるレースでの強さを発揮しているが、実はこの黄金の列車メンバーが揃うのは今ツール限りになるかもしれない。アラフィリップがドゥクーニンクとの契約更新を決めた一方で、ヴィヴィアーニは来季は仏チームのコフィディス移籍が濃厚と見られているからだ。

マイヨ・ジョーヌはもちろん、副賞ジャージにも一切の変動はなかった。ただし翌日から道はいよいよ起伏を増す。「ヴォ—ジュの2日間は僕には少しきついかな」なんてアラフィリップはつぶやきつつ、「願わくば皆さん、また明日!」と記者会見場を去って行った。

<選手コメント>

■エリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
(ステージ優勝)「この勝利は、僕にとって本当に大きな意味のあるもの。信じられないよ。今年最大の目標だったんだ。ブリュッセルの第1ステージではチャンスを逃してしまったけれど、昨日ジュリアン(・アラフィリップ)が勝って、チームも(スプリント・モードに)切り替わったんだ。リードアウトのミカエル・モルコフとマックス(マクシミリアーノ)・リケーゼは完ぺきな仕事をしてくれた。僕は、最後の180mで仕上げをするだけでよかった。チームメートのリードアウトだけに集中するようにした。アレクサンドル・クリストフが右側から前に出たけれど、それにはすぐに反応できた。ジロとブエルタに続けてツールのステージを勝てて、ミッションを達成した気分だ」出典:レース主催者の公式リリースより

■ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
(総合リーダージャージ)「決して忘れることができない、とても特別な一日になったよ。チームバスから降りて、スタートラインに向かったときから、今まで感じたことのないような気分だった。人々や歓声も、何か特別だったんだ。いつもの一日とは違うと感じたよ。まるで別世界だったんだ。プロトンでは、誰もが僕を祝福してくれたし、レースの間中、ほぼ10秒おきに「ジュリアン!」と呼ぶ声がどこからか聞こえてきた。うまく言えないけれど、僕は人気者になりたいわけではないんだ。ただ、僕の走りで、みんなをハッピーにさせたいだけなんだ」 「今日は、エリア(・ヴィヴィアーニ)のために走る日でもあったから、彼がステージを勝ち、僕もマイヨジョーヌを守って、一番いい形でこの素晴らしい一日を終えることができた。明日はさらに難しい一日になると思うけれど、このジャージを守るために力を尽くす。どんな強敵がいても、諦めはしないよ」出典:レース主催者の公式リリースより

■ペーター・サガン (ボーラ・ハンスグローエ)
(ポイント賞ジャージ)「今日は、一番速かった者が勝った。エリア(・ヴィヴィアーニ)の後輪についていくことに集中していたけれど、ドゥクーニンク(・クイックステップ)のスプリント・トレインはベストだからね。ピュア(純粋な)・スプリンター、リアル(真の)・スプリンター、どう呼びたいかは人それぞれだけど、とにかくそう呼ばれるスプリンター向けの、かなり高速のスプリントだった。昨日僕はクライマーたちを相手にハードなステージを闘ったから、スプリンターたちと比べて、より多くのエネルギーを消耗してしまっていたんだ。たぶんそれが、今日僕が一歩及ばなかった理由じゃないかと思う。でも心配はしていないよ。僕にとって一番重要なことは、今日もちゃんと優勝争いに絡んで、安定したスプリントをし、安全でいられることなんだ」 出典:レース主催者の公式リリースより

■ティム・ウェレンス(チーム ユンボ・ヴィスマ)
(山岳賞ジャージ)「赤い水玉ジャージにおそろいのバイク、山岳賞カラーにマッチしたいろんな小物を身に着けて走るのは、とても素敵な体験だった。ツールがどんなに大きなイベントなのかを実感できたよ。フィナーレの前、チームメートの位置取りを前方でアシストしてから、後ろに下がった。僕の一番の目標はステージ優勝で、明日はいいチャンスかもしれない。もし結果的にもう少し長く山岳賞ジャージを着続けられるなら、それもまたいいね。明日のステージ序盤は平坦だから、逃げに入るための大きな争いになることは間違いないね。 出典:チームの公式リリースより

■ミヒャエル・シェアー(シーシーシーチーム)
(ステージ敢闘賞獲得)「明日のステージで逃げを狙いたいと、監督のファビオ・バルダードに昨日伝えた。逃げが成功する可能性はいつだってある。長い一日だった。敢闘賞という形でその一日の終わりに何かを手に入れられてよかったよ。いつかは、うまくいく日がめぐってくるかもしれないね。チームとしては、山岳賞も手に入れたし、チームTTもうまくいったし、ツールでいいスタートを切れた。その勢いを保って、毎日何かできないかチームとして考えていっているんだ。うまくいくまで挑戦し続けるよ。(逃げが集団から)2、3分以上のタイム差を許されなかったのは残念だった。僕がプロになったころには、200km以上のステージの逃げでは、10分以上の差が当たり前だったのにね。大きなタイム差が開くことは、今はもうないんだ」出典:レース主催者の公式リリースより抜粋

■アレクサンドル・クリストフ(UAEチームエミレーツ)
(ステージ2位)「チームはスーパーな仕事で、僕をパーフェクトなポジションに置いてくれた。レース中もほとんどエネルギーを使わないで済んだから、僕が勝つための準備は整っていた。けれど、ヴィヴィアーニの方が僕より少しだけ速かった。彼と横並びでスプリントを競ったけれど、あともうちょっとの力で勝てたんじゃないかと思う。少しがっかりだけれど、2位に入ったことを誇りに思うし、ステージを勝てるように努力し続けるよ」出典:チームの公式ツイートより

■カレブ・ユアン(ロット・スーダル)
(ステージ3位)「ステージ優勝が目標だったから、3位の結果には少し落胆している。今日も混乱状態のスプリントで、最終1kmが近づいたとき、少し後方に下がりすぎていたんだ。ジャスパー(・デブイスト)が僕を集団前方まで上げてくれたけれど、そのことでかなりのエネルギーを使ってしまった。でもチームは素晴らしい働きをしてくれたし、この調子でいけば、勝つことができると信じている」

出典:チームの公式ツイートより

コメント翻訳:寺尾真紀

Cycle*2019 ツール・ド・フランス 第4ステージ ハイライト

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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