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【ツール・ド・フランス 2019 第2ステージ / レースレポート】トニー・マルティンが強力に牽引、ユンボがTTTをトップタイムでフィニッシュ!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか黄色いジャージを擁する黄色いジャージ集団が、ブリュッセルの町を最速で駆け抜けた。ユンボ・ヴィスマが28分57秒のトップタイムを叩きだし、マイク・テウニッセンは2日連続で区間勝利とマイヨ・ジョーヌ(とマイヨ・ヴェール)の表彰式を楽しんだ。
全22チームの中で真っ先に好タイムを記録したのは、第1出走チームのイネオス。3週間後のマイヨ・ジョーヌ大本命を2人抱える英国軍は、約1時間45分に渡ってホットシートを温め続けた。もしも十分なタイム差をつけてイネオスが区間勝利を果たした場合、第1ステージをチーム内最上位(80位)で終えたジャンニ・モスコンの元にイエロージャージが巡ってくるはずだった。
しかし最終22番目に出走したチームが、センセーショナルな走りを披露した。個人タイムトライアルで4度の世界王座に上り詰めたトニー・マルティンの強力な牽引力に導かれ、ユンボ・ヴィスマは第1計測地点で2位以下に早くも11秒差をつけた。しかも第2地点では14秒、フィニッシュでは20秒と、リードを押し広げさえした!
おかげでテウニッセンは黄色と緑のジャージを難なく守り、ユンボ・ヴィスマは2日連続でチーム総合首位の座についた。またオランダチームのベルギー人、シクロクロスで3度世界タイトルを手にしたワウト・ヴァンアールトが、白い新人賞ジャージも獲得。すなわち赤玉(グレッグ・ヴァンアーヴェルマート)以外の全ての栄光を、ユンボは独り占めにしたことになる。
パリでのマイヨ・ジョーヌ候補の中でも、当然ながらユンボのステフェン・クライスヴァイクが最も好位置につけた。チームメートのテウニッセンからは10秒差の総合3位。区間2位で終えたイネオスのゲラント・トーマス&エガン・ベルナルは総合首位から30秒遅れ、区間3位ドゥクーニンク・クイックステップのエンリク・マスが31秒遅れ。さらにイルヌール・ザカリン36秒差、リゴベルト・ウラン38秒差、ティボ・ピノ42秒差、ヴィンチェンツォ・ニバリ46秒差、ヤコブ・フルサング&アダム・イェーツ51秒差で追いかける。
つまり頭一つ抜け出したクライスヴァイクを除けば、21秒以内に有力9選手がひしめいている状況だ。一方でナイロ・キンタナは早くも1分15秒遅れ。さらにリッチー・ポートは1分28秒差、ロメン・バルデは1分29秒差と、たった27.6kmの全力疾走の果てに、とてつもなく大きな後れを背負うことになってしまった。
■マイク・テウニッセン(チーム ユンボ・ヴィスマ)
(総合リーダージャージ、ポイント賞ジャージ)「昨日はまさに『ドリーム・カム・トゥルー』だったけれど、今日もそれを繰り返すことができた。最初から全力で行った。ディラン(・フルーネウェーヘン)は序盤に頑張ってくれたけれど、昨日の落車の影響で途中で脱落してしまった。ジョージ(・ベネット)は好調だったけれど小柄だから、彼抜きの戦略を考えなくてはならなかった。残りのみんなが、ペースを落とさず力強く走ってくれた。(無線で)僕たちが一番速いと聞いたことで、ものすごくモチベーションが上がった。まるで飛ぶに突き進んでいったよ。ツールで勝つことに慣れてきた、なんてことはないよ。変わらずスペシャルな体験さ。昨日は主に“僕の”勝利ということになってしまったけれど、今日は8人の選手たち、スタッフ…チームの勝利に貢献したすべての仲間たちの勝利だ。チームTTで優勝するというのは、僕らが掲げてきた大きな目標だったんだ」出典:レース主催者の公式リリースより
■グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(シーシーシーチーム)
(山岳賞ジャージ)「チームとして、本当によくやったと思う。2位に11秒差のところまで迫ったんだからね。唯一、ユンボ・ヴィスマの走りは抜きんでていて及ぶことができなかったけれど、他チームとの差は取るに足らないものだ。チームの誰もがいい走りをした。大きなタイムロスもなく、誇りに思うことができるリザルトだったと思う。この日に向けて、みんな自分のすべきことが分かっていたし、猛トレーニングを積んできた。いいコンディションで、今日のコースに持つ力の全てを注いだ。僕たちとほぼ横並びで走り終えたチームの顔ぶれを見れば、満足のいく結果だと言えるよ。ツールの最初の週末は素晴らしいものになった」「明日は、僕にとってとても重要なステージ。純粋なスプリンターではなく、ペーター・サガンやマイケル・マシューズ、そして僕のような脚質に向いたフィナーレだと思う。最後の上りの前の位置取りがカギになるはずだ」出典:レース主催者の公式リリースより抜粋
■ウァウト・ヴァンアールト (チーム ユンボ・ヴィスマ)
(新人賞ジャージ)「もがき苦しみながらも、飛ぶようにチームTTを走っているとき、実はとてもいい気分なんだ。最初の2ステージを勝てたのは素晴らしいことだった。ほんの数日の間に、たくさんの夢が叶っていっている気がするよ。初めてのツール、母国でのスタート、マイヨジョーヌ…。何って、ポルカドット(山岳賞)以外のジャージは全部うちのものだからね! 今日、僕たちが優勝すると予測していた人はいなかったかもしれない。ステフェン・クライスヴァイクの総合争いのために、少しタイム差を稼ぎたかっただけなんだ。または、少なくとも、タイムを失わないように…。それなのに、僕らが勝ってしまった。今のところは僕も快調だけれど、体重78kgの自分が山岳でマイヨ・ブラン(新人賞ジャージ)を着続けるのは無理だと思うし、ステージ勝利が手が届くかもわからない。とにかく、今この素晴らしい瞬間をチームと分かち合いたいと思う。あまりに早く夢の終わりが来ないといいな」出典:レース主催者の公式リリースより抜粋
■ステフェン・クライスヴァイク(チーム ユンボ・ヴィスマ)
(チームTT首位、総合で他に20秒以上の差をつける)「自分の総合争いのことは、あまり考えていなかった。ライバルたちに差をつけることができたのは、ボーナスみたいなものさ。チームTTで勝つことが僕たちの目標で、それを達成することができた。ウァウト(・ヴァンアールト)、マイク(・テウニッセン)、トニー(・マルティン)が僕らのエンジンだった。すべてがうまく運んだし、いいペースを維持して、みんながそれぞれの責任を果たした。本当に速く走れたね。こんなにいい形でツールを始められて、できればこの勢いをこの先何日も、何週間も維持して、さらにいい結果を残せたらと思う」出典:チームのプレスリリースより
■ゲラント・トーマス(チームイネオス)
(チームTTで首位から20秒遅れの2位)「他チームと比べた結果に左右されずに、いい走りができているか判断することができるから、(全チームで)一番のスタートだったのはよかったと思う。いい走りができていると感じたよ。総合の観点から見ても、いい走りだったと思う。もちろん勝ちたかった、というのはあるけれど。20秒差だから、いくつかの些細なミスで勝利を逃したというのとは違うし、とにかく、いい日だったというのは確かさ」出典:チームのプレスリリースより
■エガン・ベルナル(チームイネオス)
(チームTTで首位から20秒遅れの2位)「いいチームTTができたと思うし、ホットシート(暫定首位のチームが座る席)に座れてよかったと思う。総合争いの何人かのライバルにタイム差をつけることもできたし、僕らにとってはパーフェクトだったね。今日のステージ中、自分の好調を感じた。去年のチームTTよりもいい調子に感じる。僕自身はTTスペシャリストではないから、速いチームメートと一緒に走るTTは大変なんだけど、それでもいい感覚があったよ。最初の2ステージを無事走り終えることができてよかった。グランツールではとにかく一日ずつ進んでいくしかない。今は、もう明日のことを考えているよ!」出典:チームのプレスリリースより
■アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)(チームTTで首位から41秒遅れの11位)
「タフな一日だったね。(千切れずに)フィニッシュラインにたどり着けるように、僕自身は最初は少しペースを落としていた。力のあるチームメートが、長いターンで僕たちを牽いてくれた。いい走りはできたと思う。詳しいタイム差まではまだよく把握していないけれど、チームバス、またはホテルに戻ったら、リザルトを確認して、これからどうするかを考えていくよ。チームとしては納得するべき結果じゃないかな。もちろん勝ちたかったし、ライバルたちからタイムを奪えたらもっとよかったとは思うけれど、とにかく結果はこの通りだからね。どのチームにとっても大きなストレスの一日だったと思う。8人がうまく連携できるように調整して、TTへの準備を整えるのはかんたんなことじゃない。でも、このチームでこれまで何度も同じことをやってきたから、今日はそれを繰り返す感じだった」出典:チームのプレスリリースより
コメント翻訳:寺尾真紀
Cycle*2019 ツール・ド・フランス 第2ステージ ハイライト
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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