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【ツアー・オブ・カリフォルニア / レビュー】ポガチャルが史上最年少でワールドツアー制覇「勝つために持てる力を全て尽くした」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかとてつもなくフレッシュな顔ぶれが、2019年ツアー・オブ・カリフォルニアの総合表彰台に並んだ。総合3位は、約1年前の4月1日にプロ転向した、24歳カスパー・アスグリーン。2位は大会開幕の直前5月1日に、現チームでワールドツアーデビューを果たしたばかりの21歳セルジオ・イギータ。
そして最上段で黄色いジャージを身にまとった王者こそ、タデイ・ポガチャルだ。
「自分自身でもちょっと驚いている」
大会6日目のクイーンステージを制した直後にこう語った20歳は、その翌日、史上最も若いワールドツアー大会覇者となった。
「今季最大の目標がこのツアー・オブ・カリフォルニアだったし、そのために十分に準備を積んできた。勝つために持てる力を全て尽くした」
今季からプロとしての走り出した早熟なチャンピオンは、30歳のヴァンガーデレンや34歳ポート、29歳ベネットという経験豊富なベテランたちをまとめて蹴散らした。そもそも昨夏「ツール・ド・フランス登竜門」ツール・ド・ラヴニールで総合優勝を勝ち取ったのは、全部で4年あるアンダー23カテゴリーの、わずか2年目でしかなかった。
ちなみに昨季のカリフォルニア総合覇者エガン・ベルナルもまた、その1年前に、やはりアンダー2年目でラヴニールを勝ち取っている。ただ1月生まれのコロンビア人クライマーは、昨5月にキャリア初のワールドツアータイトルを獲った時点では、すでに21歳になっていた。
ご存知の通り、ベルナルは昨7月、人生初のグランツールを戦った。しかもトーマス・ゲラントの総合優勝&クリス・フルームの総合3位のために働きつつ、自らも総合15位入りというとてつもない快挙を収めている。
当然ながらポガチャルにも、大きな期待がかかる。もちろん将来的には「グランツールライダーになりたい」と本人は断言するが、現時点では「自転車選手として着実にに成長を続けることに集中したい」。つまり2019シーズン中に3週間のレースに出場するつもりはないそうだ(2020年のジロかブエルタが初参戦の予定。イギータは今秋のブエルタ出場の可能性あり)。
目の前の目標はむしろ、6月のツアー・オブ・スロベニアで総合優勝すること。昨季はワールドチームが9チーム参加し、自国の先輩プリモシュ・ログリッチェが総合を制したハイレベルな5日間のレースを、19歳だったポガチャルは総合4位で終えている。いや、むしろ、わずか2秒差で表彰台を逃した、と表現したほうが正しいかもしれない。2位はリゴベルト・ウラン、3位はマテイ・モホリッチだった。ついでに言えば18歳の時にも参加していて……なんと総合5位!
「すでに新人賞の白いジャージは2枚持ち帰っているから、今度は総合首位の緑のジャージが欲しい。とにかく全力を尽くす。中間ボーナスタイムも獲りに行く必要があるかもしれない。もしかしたらスプリントフィニッシュにもトライしなきゃならないかも」
ラヴニールではマイヨ・ジョーヌ自らアタックを打つ積極性を見せ、レース会場を大いにどよめかせた。昨秋のジャパンカップクリテリウムでは、「だって約3週間ぶりの実戦だったから」と、足慣らしに軽く逃げも打った。ポガチャルはこの先も、新鮮な驚きを生み出していくに違いない。周囲に対しても、自分自身に対しても。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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