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ジャーナリストの仕事は「予想」ではなく、真実を伝えること……。だけど、自転車レースを1年中追いかけているジャーナリストだからこそ、未来を占う能力も有しているというもの。2015年ツール・ド・フランスの前夜に、ヨーロッパで伝統的に「自転車大国」と呼ばれるフランス、イタリア、スペイン、ベルギーの自転車専門ジャーナリストたちに、マイヨ・ジョーヌ争いの行方をちょっぴり占ってもらった。
アレクサンドル・ルース
フランス スポーツ日刊紙『レキップ』記者
Q:2015年ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌは?
コンタドール。ダブルツールに向けて入念に準備してきたはずだし、もちろんジロの疲れも計画的に癒してきたはず。それに山の多い今年ツールで、今のコンタドールと山で対等に戦える能力を持つのはキンタナだけ。おそらく2人は山で激しい一騎打ちを繰り広げるだろう。ただし、戦略家としての能力は、コンタドールのほうがはるかに上だ。レースの流れを読むことができるし、ステージ途中で作戦を咄嗟に切り替えることも出来る。なにより、誰も予想さえしていなかったようなところで、突如として恐ろしい攻撃を作り出すことも出来る選手だ。だから僕の一押しはコンタドールだ。
Q:4強(コンタドール、フルーム、ニーバリ、キンタナ)の中で表彰台から落ちるのは?
おそらく純粋な実力ではなく、落車やメカトラ、体調不良のような外的要因で落ちる選手がでてくるんじゃないかな……。そういう理由でフルームの名前を挙げたい。というのは、近ごろのフルームは、なんとなく不運のスパイラルに巻き込まれているような気がするから。どの選手にも、不思議と、こういった波のようなものがあるんだよね。果たして、フルームは、今ツール中に負のスパイラルから抜け出せるかどうか。まずは石畳ステージでしっかり観察しないと!
Q:表彰台に割り込みそうなアウトサイダーは?
もちろんティボー・ピノ!!もしも第1週目を無問題で抜け出すことが出来れば、山では4強と対等のバトルが出来ると思う。今シーズンのツール・ド・ロマンディやツール・ド・スイスで、すでに山の強さは証明済みだ。だから、優勝争いに混ざることが出来るんじゃないかと、真剣に考えている。うん、もちろん……僕がフランス人だからピノに特別注目しているというのはあるよ。でも去年のツールですでに、ピノは3週目に強い選手であることを見せつけたんだ。つまり体力回復能力が高いということだし、レース中のエネルギー配分にも長けているという証拠だよ。さらにあれから1年の経験を積んでいる。もしもタイムトライアルの距離が長ければ、ヴァンガーデレンの名前を挙げるところだけど、今年はやっぱりヒルクライマーのツールだからね。
チーロ・スコニャミーリョ
イタリア スポーツ日刊紙『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』記者
Q:2015年ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌは?
コースの作りを考えた上で、ずばり、キンタナだね。だって山が本当に多いから。キンタナこそが真のヒルクライマーであり、すなわち彼がツールを制する。
Q:4強(コンタドール、フルーム、ニーバリ、キンタナ)の中で表彰台から落ちるのは?
少なくともキンタナとフルームの2人は、絶対に表彰台に上ると確信しているんだ。つまり、4人の中で1人だけ表彰台から落ちるとしたら……、それはニーバリかコンタドールか、ということになるね。ニーバリの名前を挙げた理由は、まずなにより大きな成功を収めた後にその成功を「再現する」というのは、誰にとっても非常に難しいことだから。たしかに今のニーバリは、去年の開幕前とほぼ同じレベルに達していると思う。でもコンタドールとフルームが落車で棄権した去年に比べたら、ライバルのレベルが非常に高い。ただ、矛盾しているかもしれないけれど……、僕の中のもう1人の僕は、ニーバリを大いに信頼しているんだ。ニーバリがしっかり準備をしてきたことも知っているし、なにより彼は、厳しい勝負のど真ん中に潔く飛び込む気概を持つ選手だから。やっぱりイタリア人だから応援している部分もある。コンタドールに関しては、やっぱりジロの総合を戦った後でツールも優勝を狙うというのは、非常に難しいことだから。ジロよりもはるかにレベルが高い戦いが繰り広げられるというのに、彼だけ余分な疲労を背負っているんだからね。
Q:表彰台に割り込みそうなアウトサイダーは?
若いフランス選手に注目が集まってるよね。ピノとバルデだ。でも僕にとっての最大のアウトサイダーは、ホアキン・ロドリゲス。やっぱり山が多いコースだし、今年の彼は非常に調子が良い。ただし総合優勝は間違いなく4強から生まれるよ。
ホセ・エセケロ
スペイン スポーツ日刊紙『アス』記者
Q:2015年ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌは?
フルーム。ドーフィネの走りを見る限り、本当に調子が良さそうだから。山ではコンタドール、ニーバリ、キンタナと同じくらい強くて、そしてタイムトライアルでは一番強い。たしかに今年のタイムトライアルは非常に短距離だけど、初日にアドバンテージを得られるのは精神的に大きい。それに1年前のツールを落車で去ったリベンジを、どんな手を尽くしてでも果たそうと誓っている。だから僕はスペイン人で、アルベルトを応援したい気持ちは大きいけれど、「勝者は誰か」と聞かれたらフルームに賭ける。
Q:4強(コンタドール、フルーム、ニーバリ、キンタナ)の中で表彰台から落ちるのは?
山岳ではおそらく、ほとんど差はつかないだろうと考えている。だから石畳ステージと個人・チームタイムトライアルが鍵となる。この3つのステージで、表彰台から落ちる選手が誰なのか、はっきりと見えてくるだろう。その点に関しては、コンタドールもフルームも、アシストとして石畳巧者を数人連れてきた。ニーバリは去年すでに石畳で素晴らしい走りを見せている。だから、落ちるとしたら、……キンタナだ。チーム内に石畳や風巧者がいないし、他の3人に比べるとタイムトライアル能力でも明らかに劣る。
Q:表彰台に割り込みそうなアウトサイダーは?
ティボー・ピノ。若い世代の中では最も能力の高い選手だと思う。登坂能力だけ見れば、すでにコンタドールやフルームと同じくらいのレベルに達している。
ユーゴ・コールヴィッツ
ベルギー 日刊紙『ヘット・ニュースブラット』記者
Q:2015年ツール・ド・フランスのマイヨ・ジョーヌは?
コンタドールに勝って欲しい。自転車界のために。「ツール・ド・フランスだけが自転車レースじゃない」ということを、世の中の人々に知らしめるために。だからダブルツールを成功させた暁には、ぜひトリプルツールにも挑んで欲しいね。エディ・メルクスも言っていたよ。「ツール・ド・フランスに向けた最高のトレーニングはジロなんだ」って。コンタドールは「無謀な冒険」に挑むのではない。「綿密に準備された計画」を確実に遂行するのだ。
Q:4強(コンタドール、フルーム、ニーバリ、キンタナ)の中で表彰台から落ちるのは?
2位はキンタナ。コースは彼向きだし、アレハンドロ・バルベルデという最高に力強いアシストがいる。ただし、ツールはジロとは違う。まだツールは勝てないだろう。3位はニーバリ。2年連続でツールを勝つのは簡単なことじゃないからね。すなわち表彰台から落ちるのはフルームだ。コンタドールには勝って欲しいけれど、フルームには別に落ちて欲しいわけじゃないよ……。ただフルームはおそらく1週目を上手く乗り越えられないだろう。それに問題はチームタイムトライアルだ。ジロやドーフィネでのチームTTの結果を見ると、今年のスカイは何かが上手く行っていないんだと思う。機材か、トレーニングかは分からないけれど。そもそも2013年ツール前に僕が見た「強いフルーム」を、今年はまだ見ていない。
Q:表彰台に割り込みそうなアウトサイダーは?
4強以外に、表彰台候補は少なくとも6人はいるんだよ!だから10人で表彰台の3つの席を争うんだ。中でもティージェイ・ヴァンガーデレンが、4強との差を急速に埋めつつあると感じてる。新人賞マイヨ・ブランを手にした頃から、さらにひとまわり大きくなった。このツールで一気に表彰台へ駆け上がれるかもしれない。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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