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【ツアー・オブ・カリフォルニア / プレビュー】大会史上最多の区間16勝を誇るサガンが完全復調を誓う
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかアメリカの西海岸を、ツアー・オブ・カリフォルニアのプロトンが爆走する。大都会の真ん中のスプリント勝負から、鬱蒼とした山頂フィニッシュまで。もちろん、時には、青く長い海岸線をうっとりと眺めながら..7日間のハイレベルなバトルが繰り広げられる!
2006年に産声を挙げたカリフォルニア一周は2019年、ほんの少し、横顔を変えた。なにしろ過去13大会では欠かさず争われてきた個人タイムトライアルが、第14回大会からは姿を消したのだ。一方でこれまで最多でも1回しか組み込まれたなかった200km超ステージが、今年は第2〜5ステージの4日連続登場!しかも厳しい耐久戦の後は、近ごろ流行りの短距離ステージ&山頂フィニッシュが待ち受ける。
ただし大会初日には、もはや大会名物とも言える、サクラメント〜サクラメントのど平坦ステージが用意された。つまり過去5年連続で大集団スプリントフィニッシュの舞台となってきたステージであり、カヴェンディッシュ3連覇→キッテル→ガビリアという、時代を彩る俊足スプリンターたちが勝利を射止めてきた街でもある。
もちろん今年も、数多くのスプリンターが戦いに名乗りを上げる。カリフォルニア初勝利を目指すデゲンコルブや、この地で名声をさらに高めたいヤコブセンやフィリップセン。上記の通り3連勝を含むサクラメント4勝を誇るカヴは、縁起のいい土地で、かつての俊足を取り戻したいところだ。
同時に2010年のプロ入り以降欠かさず西海岸に乗り込み、大会史上最多の区間16勝をさらってきたサガンにとっては、いまだ勝てない街でもある。2位が4回、4位が2回..。体調不良の春を過ごし、予定していたリエージュ参戦をキャンセルしたサガンは、得意のカリフォルニアで完全復調を誓う。
復調を期すのは、なにもカヴやサガンだけではない。パリ〜ニース2日目の落車負傷で長らく戦線離脱していたウランや、そして気管支炎のせいで春先のレースプログラム変更を余儀なくされたポート等々も、夏の本番に向けカリフォルニアを弾みにするつもり。
ちなみにサガンにとってはチームメートで、ウランとポートにとって手強いライバルとなりそうなのが、ボーラのシャッフマン&グロスーシャートナーの2人。前者はバスク1周で区間3勝に、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで3位と快進撃を続け、後者はトルコ一周総合覇者にして、直前のロマンディで総合4位と絶好調。
ウランのチーム同僚にして2013年大会覇者ヴァンガーデレンや、2年前の総合覇者ベネット、また過去2回総合2位に食い込んできたデニスも、総合候補として名前が挙げられる。いや、むしろ、5月1日からEFに加入した期待の21歳イグイタや、昨ラヴニール総合覇者の20歳ポガチャルこそが..1年前に21歳でカリフォルニアを制したベルナルの後を継ぐ者かもしれない!
総合争いの本番は、2日目から始まる。透明なタホ湖のほとりで勝負が争われる第2ステージは、ラスト1.7kmが平均勾配5.9%の急坂。第3ステージは序盤50kmと最終盤20kmは平坦ながら、途中に超級ハミルトン(6.9km、8.7%)を含む5つの登りが立ちはだかる。
海へと接近する4日目と5日目は、スプリンターやアタッカーの脚の見せ所。「ビッグサー」と呼ばれる風光明媚な海岸線を南下する第4ステージは、大集団スプリントが予想される。サーフィン客で賑わう海岸から海岸へと向かう第5ステージは、フィニッシュ手前5kmの急坂で勝負が動くか。
そして金曜日の第6ステージこそが、今大会の総合を大きく左右する。127.5kmの短距離コースは、スタート直後からいきなり1級峠へと登り始める。その後長く不規則な下りを経て、次なる1級峠へ。息つく暇もないほど上って降りて上ったステージは、超級マウント・ボルディの、登坂距離8.2km、平均勾配8.4%の山道で締めくくられる。
ただ実のところ、ボルディ山を制した者が、栄光の黄色いリーダージャージを持ち帰ったことは、過去わずか1度しかない。なにより2015年大会には、最終日に大逆転劇が待っていた。2019年最終日のパサデナの周回コースも、決して単純な大集団フィニッシュを迎え入れるために作られたわけではない。ステージ半ばには小さな2峠が待ち構え、スリリングなダウンヒルも組み込まれている!
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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