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【グランプリ・シクリスト・ド・ケベック プレビュー】過去、錚々たる顔ぶれが優勝を果たしてきた世界選手権に向けた重要な1戦。史上7度目の王座を掴むのはだれか!?
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかブエルタの3週間の戦いが終わりを迎えるころ、遠く北米大陸では、ワンデーレース巧者たちが火花を散らす。カナダ・フランス語圏を舞台に繰り広げられる、週末を利用した2連戦。金曜日の1戦目は、ケベック・シティ旧市街のアップダウンをたっぷりと駆け巡る、グランプリ・シクリスト・ド・ケベックだ!
2010年にこの世に生み出されたばかりの、いまだ若いレースではある。それでも、過去の短い勝者リストを見るだけで、この大会に挑戦する選手たちのレベルの高さが見てとれる。トマ・ヴォクレール、フィリップ・ジルベール、サイモン・ゲランス(2回優勝)、ロベルト・ヘーシンク、リゴベルト・ウラン……!それもそのはず。2011年から去年までは、このカナダ2連戦のちょうど2週間後に、世界選手権が開催されてきたからだ。山が多いブエルタじゃぁ、ちょっと調整には厳しすぎるかな……と考えるワンデー巧者たちが、大挙して北米へと乗り込んできた。
ただし、今年は、状況がちょっと違う。カタールで行われる世界戦までは、実は5週間も開いている。しかもコース設定も、例年とは違って、真っ平らだし。その代わり、と言ってはなんだけれど、カナダの週末のちょうど1週間後の日曜日に、欧州選手権が開催される。
え、欧州選手権って??と自転車ファンが頭をひねるのも無理はない。なにしろ、去年まではアマチュア限定だったこの大会、今年から晴れてプロ参加が認められるようになったのだ!2015年にヨーロピアン・ゲーム(欧州版五輪)が初開催された時にも、たくさんのヨーロッパ選手たちが関心を抱き、ルイスレオン・サンチェスが初代王者に輝いたものだ。それは今年秋の欧州選手権も同じ。フランスのプリュムレクで行われる、記念すべきプロ参加初回大会には、現役世界チャンピオンのペーター・サガン、元世界王者ルイ・コスタ、昨ブエルタ王者ファビオ・アル、今ツール山岳賞ラファル・マイカ、地元期待のジュリアン・アラフィリップ、さらにはチェコ国内王者ロマン・クロイツィゲル等々、とてつもなく豪華な顔ぶれが並ぶ。そして、もちろん、ここで名前を上げた選手たちは、北米のサーキットコース2連戦で最後の仕上げに取り掛かるというわけだ。
欧州選手権なんて関係ない、そんな強豪選手たちも当然こぞってやって来るのだけれど!南米のウランにハルリンソン・パンタノ、豪州マイケル・マシューズ、欧州人だけど欧州選手権には出場しないらしいゲラント・トーマスやアダム・イェーツ、フレッフ・ヴァンアーヴェルマート、イルヌール・ザカリン、バウク・モレマ、ロメン・バルデetc...。そして地元カナダのライダー・ヘシェダルは、人生最後の現役シーズンで、人生最後のカナダレース2連戦に臨む。
肝心のGPケベックのサーキットコースは全長201.6km。北米で唯一と言われる城塞都市であり、ユネスコの世界遺産にも登録されたケベックの旧市街を起点に、12.6kmの市街地コースを16周回走る。城塞というのは通常は高台に築かれるものであるからして、当然、選手たちはたっぷりと上りと下りをこなさねばならない。
勝負を左右する上りは全部で4つ。9km=ゴール前3.6km地点のコート・ド・モンターニュは、全長375mと短いものの、平均勾配10%・Max13%という一番の激坂だ。パンチャーが思い切ってアタックを仕掛けるなら、ここ。ただし、直後に少々長めの下りが待っているから、相当距離を開けてしまわぬ限り、坂の下で一旦追いつかれる可能性がある。10km=ゴール前2.6kmのコート・ド・ラ・ポタスは、全長420mで平均勾配9%。11km=ゴール前1.6kmのモンテ・ド・ラ・ファブリクは190m・7%。やはり上れるスプリンターやらパンチャーやらが、次々と抜け駆けを狙って、加速を切るに違いない。
そしてラスト1.3km程から、ついに最後の上りに突入する。勾配は4%と緩いものの、勢いだけで登るには少々長め。ここで抜けだそうと思ったら、本物のヒルクライムの脚か、200kmを走り終えてなおかなりのフレッシュさを保っている必要があるだろう。それにしても、モンテ・デュ・フォール(城塞坂)からは、サン・ローラン川への素晴らしいパノラマが楽しめる。しかも、ラスト数百メートルは道がほぼ真っすぐで、平均勾配4%と程よい傾斜もついているから、精一杯もがく選手たちの姿がしっかり目撃できる!
フィニッシュエリアのフランコフォニー公園(フランス語圏公園と言う意味)では、過去2人のフランス語ネイティブが栄光をつかんできた。果たして史上7度目の王座に駆け上がるのは誰なのか。ケベックで勝った選手にも負けた選手にも、わずか2日後には、モントリオールでの再戦が待っている。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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