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【グランプリ・シクリスト・ド・モントリオール プレビュー】ケベック・シティでの熱戦からわずか2日後、「王の山」を舞台にプロントが再戦!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかケベック・シティでの熱戦からわずか2日後、モントリオールにプロトンが再集結する。サンローラン川ほとりの都市が舞台の、いわゆる「クラシック・ローランシエンヌ」2戦目は、小高い丘「モン・ロワイヤル(王の山)」で繰り広げられるグランプリ・シクリスト・ド・モントリオールだ!
地元フランス語読みでは、正確にはグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル。このモンレアルとは、中世フランス語で「王の山」と言う意味となる。すなわちモン・ロワイヤルのことであり、この丘こそが、ケベック州最大の都市のシンボルである。なんと、モン・ロワイヤルの最高標高233mを超える建築物を作ってはならぬ、という決まりさえあるほど。そしてGPモントリオールでは、この丘の標高211m地点まで、選手たちはよじ登る。
全長12.1kmのサーキットコースには、3つの上りが組み込まれた。スタートから300mほど軽く下った後、すぐに例のモン・ロワイヤルへの上りへと取り掛かる。元モントリオール市長の名を冠したカミリアン・ウード坂で、全長1.8km・平均勾配8%と、かなりの登坂力が要求される。続いてコース半ばの6.5km地点には、ポリテクニーク坂が待ち受ける。モントリオール大学のキャンパスを拝借するこの坂道は、全長780m、平均勾配6%。11%の激ゾーンも潜んでいる。そしてフィニッシュまでのアヴニュ・デ・パルク(公園通り)は、全長560m、勾配4%の上り坂だ。
全部で17周回するから、全長205.7kmのコース上で、トータル51回も坂を上ることになる。しかも累計標高は3893m。ちょっとした中級山岳ステージレベルである。
だからといって、「王の山争奪戦」が必ずしもヒルクライマーに微笑みかけるわけではないのが、このレースの面白いところ。初年度2010年には真性クライマーのロベルト・ヘーシンクが独走勝利を決めたが、2013年には上れるスプリンター代表格のペーター・サガンが、2つ目の上りで仕掛け、やはり独走勝利をさらった。2011年と2015年は数人が逃げ出し、後方の追い上げをギリギリで振り切りつつ、スプリント勝負を争った(それぞれルイ・コスタとティム・ウェレンスが勝利)。その逆に2012年は、後方から数人が追い上げ、最後の坂道でギリギリ抜き去ってからのスプリント。ラーシュペッテル・ヌールハウが両手を上げた。2014年のサイモン・ゲランスに至っては、スプリント列車に引かれての勝利だった。
つまり、上りが強>中>弱の順番で登場し、しかも前半2つの上りの後に長い下りが挟み込まれた……そんなGPモントリオールに、いまだ黄金の勝ちパターンというものは存在しない。ただ創設以来、一度もコース設定は変わっていないから(GPケベックはすでに2回変わっている)、いわゆる「常連」たちは、自分が勝つための方程式をすでに見つけ出してしまっているはずだ。
そういう意味で、最も動きを警戒すべき選手は、今回が6回目の参加となるルイ・コスタだろう。過去優勝1回・表彰台2回・トップ10入り2回と、どうやらこのコースの攻略法を、完璧に把握しているようだ。今回が4度目のペーター・サガンも(優勝1回、2位1回)、自分の仕掛けるべき場所を理解しているに違いない。それぞれ過去2回ずつひとけた台の成績に食い込んだフレッフ・ヴァンアーヴェルマート(今年5回目)とロメン・バルデ(今年4回目)は、今年こそ、経験を勝利につなげられるか。またジュリアン・アラフィリップとバウク・モレマは、3年目の今年こそ、初めての好成績を期待される。
もちろん初出場組のハルリンソン・パンタノやラファル・マイカが、どんな走りを実現させるのかにも注目しつつ……。やはり6回目にして、人生最後のGPモントリオールを走るライダー・ヘシェダルの、母国のファンたちの前で見せる最後の奮闘を見逃すこともできない。
ちなみに、ケベック→モントリオールの連覇を成し遂げているのは2014年のゲランスのみ。ただフィリップ・ジルベールは2011年ケベック1位→モントリオール3位と週末に好成績を2つ並べているし、たとえばヘーシンクはケベックを2013年に、モントリオールを2010年に勝っている。だから、金曜日のグランプリ・シクリスト・ド・ケベックで好走を見せた選手が、当然のように日曜日でのモントリオールでも優勝候補に上げられるわけだけれど……。リゴベルト・ウランのような例外がいることも忘れてはならない。ケベックは大得意なのに(過去2回出場して3位と1位)、モントリオールは45位と25位と、なぜか今までのところどうもいまいちだったりする。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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