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サイクル ロードレース コラム 2017年5月14日

【ツアー・オブ・カリフォルニアプレビュー】祝・ワールドツアー1年目。サガンはどこまで大暴れするのか!?

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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青い空。強い光。いつまでも続く長い海岸線。世界中の人々がカリフォルニアに抱く「憧れ」の風景が、テレビ画面の中に、あふれている。一足早い初夏の空気を、5月14日から20日までの7日間、ツアー・オブ・カリフォルニアで胸いっぱいに吸い込みたい。

しかも、創設11年目の今年、大会はさらに大きく前進する。念願のUCIワールドツアーへと昇格を果たしたのだ。参加ワールドチームの数も12に増加。総合覇者の証イエロージャージを巡る争いと..、なにより世界屈指のトップスプリンターたちによるスピードの競演は、いまだかつてないほど激化する。

これまでに比べて会期を1日減らし、全7ステージで繰り広げられる2017年大会では、第1、第3、第7ステージでスプリントフィニッシュが保証されている。アップダウンの多い第4ステージだって、「上れる」スプリンターなら、間違いなく狙ってくる。アメリカの大都市の道路は車線が多く、道幅が広い。テクニカル..というよりは、むしろパワフルでダイナミックなダッシュ合戦が楽しい。専用列車と共に西海岸へと乗り込んでくる顔ぶれは、実に豪華そのもの。マルセル・キッテル、アレクサンドル・クリストフ、ジョン・デゲンコルプ、エリア・ヴィヴィアーニ、そして、もちろん、ペテル・サガン!


ツール・ド・フランスでは5年連続でマイヨ・ヴェールを獲得し、世界選手権2連覇中の超一流は、プロ入り1年目の2010年から欠かすことなくカリフォルニアを走っている。しかも、毎年欠かさず区間勝利を手にしているし(通算15勝)、毎年欠かさず賞ジャージも持ち帰っている。ポイント賞の緑が6枚、新人賞の白が1枚、さらには総合優勝の黄色も1枚。

そう、2015年大会のサガンは、スプリント勝利だけでは満足しなかった。後半に5つもの峠が詰め込まれた中級山岳ステージでは(第3ステージ)、他のスプリンターたちが早々にグルペットを作り上げたのを尻目に、メイン集団の先頭(=区間2位)で終えた。悪天候で10.6kmに短縮された個人タイムトライアルは、全力疾走で勝ち取った。さらにはマウント・バルディの難関山頂フィニッシュ(第7ステージ)では、区間勝者ジュリアン・アラフィリップからわずか47秒差の6位で終えた。ゴール後には地面に座り込んでしまうほど、持てる力をすべて出し尽くし、とてつもない衝撃を演出した。さらには中間スプリント(3秒・2秒・1秒)とフィニッシュ(10秒、6秒、4秒)を上手く利用して、最終日に、3秒差の逆転優勝を決めたのだ。

もしかしたら2017年大会のサガンも、総合を大いにかき回してくれるかもしれない。少なくとも、今年の第2ステージと、例の2015年第3ステージは、後半のコース設定は完全に同じだ。つまり超級ハミルトン峠(登坂6.9km、平均勾配8.7%)を含む5つの峠が連続で登場し、ゴール前約30kmで全ての難関を乗り越えると、あとはサンジョゼへ向けた軽めの上り坂フィニッシュが待っている。

また今年の「クイーンステージ」第5ステージは、スタートからフィニッシュまで、2年前の第7ステージと同じ道を走る。125.5kmの短距離走ながら、累計標高は3352.8mにも登る。もちろんスタート直後から、すぐに上りに突入だ。26km地点で1級山頂グレンドーラ・リッジ・ロード(9.2km、6.8%)をこなすと、しばらくは延々と緩やかな上り下りが続く。道が再び険しさを増すのは、フィニッシュまで残り33km。そこから1級グレンドーラ・マウンテン・ロード(12.6km、5.1%)、さらには超級フィニッシュのマウント・バルディ(8.2km、8.4%)と、立て続けに登場する。2015年のサガンは、バルディ山頂の手前5kmで大きなアタックがかかるまで、メイン集団に食らいついていた。

2年前と同じ過ちを、もちろん、ヒルクライマーたちは簡単に繰り返したりはしないだろう。祖国アメリカの期待を背負う2014年クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合勝者アンドルー・タランスキーを筆頭に、2012年大会覇者ロベルト・ヘーシンク、昨ツール・ド・スイスを制したミゲルアンヘル・ロペスなど、かなりの実力派が揃っている。またサガンのチームメートとして、ツール山岳賞2回のラファル・マイカも参戦する。

難関山岳ステージの後には、個人タイムトライアルも待ち構える。第6ステージ、ビッグベアレイクのほとりでの全力疾走は、ほぼオールフラットの全長24km。スペシャリスト向けの、..いわゆるアメリカTT王者テイラー・フィニー向けのステージで、2017年ツアー・オブ・カリフォルニアの総合争いの行方はほぼ決するはずだ。2年前のようなサプライズがなければ、である。

ちなみに最終日第7ステージは、少し奇妙なコースが用意されている。標高2055mのマウンテンハイから走りだし、標高254mのパサデナでフィニッシュするという、なんというウルトラダウンヒラー仕様!..つまり、総合争いが絡もうが絡むまいが、やっぱり最後までサガンが大暴れしてくれそうなのである。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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