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【パリ~トゥール プレビュー】最終盤の「ギリギリの追走劇」こそパリ~トゥールの醍醐味!2017シーズン最後のクラシックを見逃すな!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか秋色に染まった美しきロワール渓谷を舞台に、2017シーズン最後のクラシックが争われる。今年はその愛称通りに、俊足スプリンターに勝利の女神が微笑むだろうか。それとも歴史上幾度も繰り返されてきたように、シーズン末の長距離戦で、あっと驚くような逃げ切りが演出されるのか。
パリ南西のウール・エ・ロワール県の、この秋はブローに引かれるスタートラインに集結するのは、いずれも平地巧者たち。今年で111回目を迎えるスプリンターズクラシックには、全長234.5㎞のコース上に、俊足たちの脚を止めるような起伏はほとんど存在しない。
1936年に創出された、200㎞超のコースで史上最高平均時速を争う「リボン・ジョーヌ」のタイトルは、過去12回の新記録樹立のうち、実に9回がパリ~トゥール覇者に与えられている。しかも近年は5回連続で同大会が記録を塗り替えており、現時点では、2015年大会を制したマッテオ・トレンティンの優勝時速49.641㎞が史上最速に燦然と輝く。
ただし高速レースの理由は、道が平坦だから、というだけではない。ロワール渓谷に吹き下ろす強風の仕業でもある。当然ながら追い風ならば猛スピードとなり、向かい風なら延々と苦行が続き(なにしろ途中はほぼ南下のみ)、横風ならば分断に警戒せねばならない。天気予報によれば10月8日の日曜日は、北から南へ向けて突風が吹き下ろすとのこと。つまり、またしても、リボン・ジョーヌ並の高速レースが繰り広げられるのかもしれない。
また2年前のトレンティンは、決して大集団スプリントを制したわけではない。ラスト10㎞での飛び出しを成功させ、20秒差で逃げ切っての勝利だった。2012年大会は残り30㎞からアタックがかかり、6秒差でギリギリの逃げ切りを成功させた。2014年大会の勝者にいたってはスタートから4㎞で逃げ出した果てに、集団を12秒差で振り切って、栄光をつかみとっている。一方で100人規模の集団フィニッシュだった2013年は、残り1㎞での吸収劇だった。
そう、この「ギリギリの追走劇」こそ、パリ~トゥール最終盤の醍醐味だ。2016年大会に限っては、残り5㎞で全て謀反者は回収されてしまったけれど..理由は例年ならコース最終盤に3つの小さな起伏が設置されるのに対して、去年はたった1つしか登場しなかったから!
幸いにも2017年大会は例年に倣って、3つの短い上りが待ち受ける。234.5㎞のコース上の、フィニッシュ手前33㎞にクロシュ坂(ヘアピンカーブと勾配8%)、残り9.5㎞にボーソレイユ坂(道が細く、下りに危険な急カーブあり)、そして残り7.5㎞にレパン坂(平均勾配8%、最大12%)。たしかにいずれもスプリンターが超えられないような難度ではない。ただ3つ重なることと、さらには細かく進行方向が変わるせいで、隊列を組んでの追走は困難を極めるのだ。
だからこそ今年も、クイックステップの動きが鍵となる。しかもディフェンディングチャンピオンのフェルナンド・ガビリアと史上最速マッテオ・トレンティンをダブルリーダーに擁し、さらには今ブエルタで風分断の果てに赤ジャージを身にまとったイヴ・ランパルトやジロ最終ステージで衝撃的な逃げ切り勝利をさらったイイヨ・ケイセ、元パリ~ルーベ覇者ニキ・テルプストラに、元シクロクロス世界王者にしてクラシックオールラウンダーのズデネク・スティバルと、とてつもないクラシック精鋭軍でフランスに乗り込んでくるらしい。2017年グランツールで区間通算16勝も叩き出してきた勝利ハンターたちは、スプリント、風、起伏アタックの全ての要素に対応するノウハウを有している。
どちらかと言えば「ピュア」の冠詞がつく選手たちも、もちろん、スプリンターズクラシックに照準を合わせてくる。7月のシャンゼリゼで栄光をつかんだディラン・フルーネウェーヘン、9月末に約5ヶ月ぶりの勝利を上げたアンドレ・グライペル、さらには2月以来1度も両手を上げられていないマーク・カヴェンディッシュ..。ナセール・ブアニも祖国に11年ぶりの勝利をもたらしたいと意気込むが、因縁のライバルでありフランスを代表するスプリンターのアルノー・デマールは、9月半ばに一足早くシーズンを終えている。
落ち葉の道をプロトンが駆け抜け、トゥールのグラモン大通りで華やかに勝負が争われると、ヨーロッパ自転車界にもようやく短いオフシーズンが訪れる。もちろん一部の選手たちは、アジアでの、特に日本での大切な2戦がまだまだ控えているけれど!
☐ シーズンラストのクラシック「パリ~トゥール」
2017年10月8日(日)生中継&J SPORTSオンデマンドLIVE配信!
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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