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サイクル ロードレース コラム 2018年1月9日

【ツアー・ダウンアンダー プレビュー】栄えある第20回記念大会の総合チャンピオンに輝くのは!?

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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長くて楽しい自転車シーズンが、2018年も、真夏の南半球で明ける。UCIワールドツアー第一弾は、オーストラリアを舞台に繰り広げられるツアー・ダウンアンダー。1月14日(日)のダウンアンダークラシックを皮切りに、16日(火)から21日(日)までの全6ステージで、新年早々トップスピードの戦いが繰り広げられる!

しかも今年は記念すべき第20回大会である。

その歴史は1999年に始まった。レースカテゴリーはUCI2.4。現在は存在しないフォーマットであり、つまり「2=ステージレースの4=最低ランク」と言ったところか。2005年にHC=オールカテゴリー(ジャパンカップと同じランク)へと昇格し、2008年には欧州「外」で初めてUCIプロツアー(現ワールドツアー)の仲間入りを果たした。設立当初のいわゆる「本場欧州から遠く離れた」「バカンス気分の」「プレシーズンレース」という立場から脱却し、シーズン一発目の超真剣勝負の場へと姿を変えた。

アニバーサリーだからこそ、スタートラインには、20年の歴史を象徴するような選手たちがずらりと並ぶ。

まずは総合優勝回数で大会史上最多を誇るサイモン・ゲランス(4回)。区間勝利回数で16回と最多のアンドレ・グライペルも、3年の空白を破って記念大会に駆けつける。さらには1大会における最多区間勝利数4勝(2017年)のカレブ・イーウェン、歴代最年少総合優勝(21歳)のルイスレオン・サンチェス、そしてもちろん大会ディフェンディングチャンピオンにして、クイーンステージ=ウィランガ・ヒル4連覇中のリッチー・ポート。

プロデビュー戦がここダウンアンダーで、いきなり世界中のど肝を抜いたペーター・サガンも、3度目の参戦を果たす。ちなみに自身が参戦したことのあるワールドツアーステージレースで、この怪物が区間勝利を上げたことのない大会は、今はなきツアー・オブ・北京とこのダウンアンダーだけ……。3枚目の世界チャンピオンジャージをまとって、3度目の正直なるか。

なにより日本のファンにとっては、別府史之と新城幸也の競演が見られるのが嬉しい。それに別府選手のチームメートには「プロ1年生」アレックス・フレームがいるし、新城選手の側にはグランツール総合上位常連ドメニコ・ポッツォヴィーヴォの姿を見つけることが出来るはず。そう、シーズン一発目のレースだからこそ、人事異動の確認やら、新チーム名&新ジャージデザインのチェックも楽しみのひとつ。

気になるコース配分は、ピュアスプリンター向けが3つに(第1、3、6ステージ)、アップヒルスプリントが1つ(第2ステージ)。

第1ステージのフィニッシュ地は3年連続の登場で、過去2年はイーウェンが鮮やかにさらいとっている。ついでに言うと第3ステージのフィニッシュ地も去年はイーウェンが制したし、最終第6ステージの「伝統の」アデレード周回コースも過去2年イーウェンが独占している。ただ、忘れてはならないのは、グライペルが過去3年間お休みしていたこと。ドイツの大ベテランスプリンターだって第3ステージのフィニッシュ地を2回、最終日に関してはなんと4回ももぎ取っているのだ。

ところでスプリントだからといって、総合争いにまったく関係ないわけではない。今大会に関しては、その逆だ。なにしろ会期はたった6日間しかない。ちょっとした分断でタイムを数秒失うのは文字通り命取りとなる。しかもフィニッシュにはボーナスタイムも配分される。2015年2秒差、2014年1秒差、2012年に至っては0秒差……と近年の総合争いがとてつもない僅差で決して来たことを考えると、ヒルクライマーたちも本気でもがかねばなるまい。

もちろん総合優勝の本番は、第4、第5ステージに集約される。4日目には128.2kmという短距離ステージの最終盤に、大会初登場、ノートン・サミットへ向けての登坂が組み込まれた。公式データによると登坂距離5.8km、平均5%。ただしフィニッシュ手前8.2kmで山頂ポイントを通過した後も、しばらく登りは続く。

クライマックスは5日目のウィランガ・ヒル登坂(1.3km、7.5%)✕2。果たしてポートが驚異の5連覇を成し遂げてしまうのだろうか。それとも新たな刺客が現れるか。そして、この山の頂でオークル色の総合ジャージを来ていた者こそが、栄えある第20回記念大会の総合チャンピオンに輝くのだ。

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■ツアー・ダウンアンダー
1月14日 (日) 午後05:45~ 生中継&LIVE配信

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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