人気ランキング
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
コラム&ブログ一覧
チームタイムトライアル「スペシャリスト」のBMCレーシングが、38分46秒28のトップタイムを叩きだした。チームスカイを4秒差、クイックステップフロアーズを7秒差で退けた。2014年と2015年の同種目世界チャンピオンは、2015年大会以来3年ぶりにツールに戻ってきたTTTで、堂々たる2連覇を果たした。
マイヨ・ジョーヌもまたBMCの手に渡った。今区間スタート時には16秒差の総合18位――つまりボーナスタイムの差のみ――につけていたグレッグ・ヴァンアーヴェルマートが、1日の終わりには総合首位に立っていた。2016年に3日間身にまとった黄色いジャージを、同年の五輪金メダリストは、改めて身にまとった。
「1週目にマイヨ・ジョーヌを着るのが、今大会の目標だった。序盤2日間をタイムを失わずにやり過ごし、さらにチームタイムトライアルで良い走りが出来れば、ジャージ獲りは可能だと分かっていたからね。そのためにしっかり準備を積んできた。マイヨ・ジョーヌのために今日のフィニッシュでは『スプリント』さえした。本当にスペシャルな気分さ。すでにこのジャージを着たことがあるけど、やっぱり感動は格別だ」(ヴァンアーヴェルマート、公式記者会見より)
33.5㎞のコースには3つの上りが待ち構え、その坂道が、大会序盤2日間を彩ったスプリンターたちを苦しめた。黄色を走ってTTTに臨んだペーター・サガンは、「バッドデー」に喘ぎ、コース終盤の上りで隊列から脱落した。再逆転マイヨ・ジョーヌの可能性のあったフェルナンド・ガビリアは、コース半ばの上りで遅れた。代わりにチームメートのフィリップ・ジルベールが総合首位浮上を追い求めたが、あと5秒が足りなかった。2011年の、やはりヴァンデ開幕のツールでマイヨ・ジョーヌをまとった経験のある36歳は、「ほんのちょっとの差。だからこそすごく悔しい」(TVインタビュー)と苦笑いした。
総合争いに関しても、やはりBMCは極めて上手くやった。なにしろ初日の落車分断で51秒失った総合エースのリッチー・ポートが、あらゆる総合ライバルから、最大限のタイムを奪い返したのだから。
「第1ステージであんなふうにタイムを失ってしまうというのは、精神的にひどくきつかった。それにTTTはライバルたちからタイムを奪う機会だと思っていた。『取り戻す』機会なんかじゃなくてね。そうは言ってもすごく満足している。チームメートはレースの間中、僕に風が当たらぬよう守り続けてくれたし、僕の遅れを取り戻すために全力を尽くしてくれた。おかげで、こうして、振り出しに戻ることができた」(ポート、ミックスゾーンインタビューより)
同じく初日に51秒落としたクリス・フルームとアダム・イェーツにとっても、このTTTは「取り戻す」機会となった。チームスカイは4秒遅れの区間2位、ミッチェルトン・スコットは9秒遅れの区間4位と、揃って好タイムを記録した。
いや、遅れを取り戻すどころか、むしろ追い越した。ポート、フルーム、イェーツの3人は、序盤2日間で一切タイムを失わなかった総合ライバルの大部分よりも、あっさりと総合上位に立ったのだ。総合首位ヴァンアーヴェルマートに対してポートが51秒差、フルーム55秒差、イェーツ1分差なのに対して、たとえばヴィンチェンツォ・ニーバリは1分06秒差で、ロマン・バルデは1分15秒差。もしも3人が初日にタイムを落としていなかったとしたら、昨大会総合3位のバルデは、たとえばフルームから2分02秒もの遅れを喫していたことになるらしい……。
「ビッグチームからの遅れを最小限に食い止めることが出来た。ほっとしているし、チームの働きを誇りに思う。僕自身も足の調子は良かったし、プレッシャーに打ち勝てたことにも満足してる」(バルデ、TVインタビューより)
一方で今ジロ総合2位トム・デュムラン(総合11秒差)と昨大会総合2位リゴベルト・ウラン(35秒差)は、3人に対していまだ十分なリードを保っている。なによりフルームのチームメートであるゲラント・トーマスが、首位から3秒差の総合3位と「総合勢」の中では最も好位置につける。
「チームはいい走りができたと思うよ。でもちょっとがっかりしてる。だって持てる力を全て出し尽くした、という感覚がないから。もっと上手くやれたはずだった。マイヨ・ジョーヌのことは一切考えなかった。ただ区間勝利だけに集中した」(トーマス、フィニッシュエリアインタビューより)
ただしフルーム自身がフィニッシュ直後に認めたように、チームスカイは「ステージ優勝+トーマスのマイヨ・ジョーヌ+フルームの遅れ回収」を目標に走った(結果的には区間も総合も逃してしまったが)。6月のクリテリウム・デュ・ドフィネ総合覇者は、すでにチーム内では第2エースの立場を確立している。第1ステージでは、かつてのトーマスを悩み苦しませたような、落車した「フルームを待つように」という命令も下されなかった。フルームに対して52秒リードを有するトーマスが、この先の総合戦線で、どのような作用を果たすだろうか。
ダブルリーダー、ならぬトリプルリーダーのモビスターは、このTTTを53秒遅れで終了した。序盤2日間を無傷で乗り越えたミケル・ランダとアレハンドロ・バルベルデが総合53秒遅れにつけ(つまりポートとフルームの間)、初日にパンクで1分15秒を失ったナイロ・キンタナは2分08秒……いわゆるフルームから1分13秒もの遅れを喫している。もちろん2018年ツール・ド・フランスは、いまだ3日目が終わったに過ぎない。
☐ ツール・ド・フランス 2018
ツール・ド・フランス2018 7月7日(土)~7月29日(日)
全21ステージ独占生中継!
»詳しくは ツール・ド・フランス特設サイトへ
☐ お申込みはこちらから
テレビで見るなら「スカパー!」
スマホ・タブレット・PCで見るなら「J SPORTSオンデマンド」
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
Cycle*2024 UCI世界選手権大会 男子エリート ロードレース
9月29日 午後5:25〜
-
11月11日 午後7:00〜
-
Cycle* J:COM presents 2024 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
11月2日 午後2:30〜
-
10月12日 午後9:00〜
-
【先行】Cycle*2024 宇都宮ジャパンカップ サイクルロードレース
10月20日 午前8:55〜
-
【限定】Cycle* ツール・ド・フランス2025 ルートプレゼンテーション
10月29日 午後6:55〜
-
Cycle*2024 ブエルタ・ア・エスパーニャ 第17ステージ
9月4日 午後9:50〜
-
10月10日 午後9:15〜
J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!