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【ツアー・オブ・カリフォルニア プレビュー】とんでもない数のエース級スプリンターたちが凌ぎを削る!ゴージャスすぎるほどの大集団スプリントに刮目せよ!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかマイル表示も、片側4車線はある巨大な道路も、樹木のないすすけた岩山も、そしてもちろん抜けるような青い空と青い海も……全てがツアー・オブ・カリフォルニアの魅力に欠かせない要素だ。今年も5月13日から19日までの全7日間、アメリカ最大のステージレースが、全長645マイルを突っ走る。
今年で13回目を迎えるカリフォルニア一周レースは、昨大会からUCIワールドツアーへと昇格を果たし、またひとまわりスケールを拡大した。ワールドチームからの参加も去年より1チーム増え、全13チームが西海岸に集結する。
中でも注目すべきは、とんでもない数のエース級スプリンターたちが、出走リストに名を連ねること。ゴージャスすぎるほどの大集団スプリントが繰り広げられることは間違いない。なにしろグランツール区間48勝のマーク・カヴェンディッシュ、昨ツール・ド・フランス区間5勝のマルセル・キッテル、モニュメントクラシック2冠アレクサンドル・クリストフといった「大御所」に加えて、初出場ジロで区間4勝とポイント賞ジャージをあっさり手にした23歳フェルナンド・ガビリアに、やはり23歳にして、今年さらなる進化を遂げそうなカレブ・ユワン……。そして、もちろん、ペーター・サガン!
2010年のプロ1年目から今年まで「皆勤賞」のサガンは、参加した全ての大会で、最低でも1つは区間勝利を持ち帰ってきた。2012年にいたっては全8ステージ中5つを制するという、とてつもない猛威っぷり。区間通算16勝は、当然、ダントツの大会史上最多勝利数である。
またツール・ド・フランスで5年連続マイヨ・ヴェールを獲得したサガンは、ツアー・オブ・カリフォルニアでは7枚のグリーンジャージを手に入れている。唯一2015年だけは取り逃したけれど……、代わりに総合覇者の証イエロージャージを持ち帰った!まさにキング・オブ・カリフォルニア、まさにペーター・サガン。
こんな偉大なるスプリンターたちには、全部で3ステージが捧げられる。ロング・ビーチの市街地周回コース(7マイル✕12周回)を巡る完全に平坦な第1ステージ。コース中盤に小さな峠がたった1つだけの第5ステージ。そして大会最終日は、サクラメントの市街地を贅沢に駆け巡る市街地スプリントで、華やかに締めくくられる。
ところでカリフォルニアの州都サクラメントの、自転車ファンたちにとってはおなじみの広い道路と直角コーナーが大会を迎え入れるのは、今年で9回目。いわゆるカヴェンディッシュの「狩場」で、過去4度、この街で両手を上げている。昨大会はキッテルが勝ち取った。一方でサガンにとっては平ら過ぎるのかもしれない。過去6回走り、2位が4回、優勝はゼロ回……。
一方で総合優勝の栄光は、2つの山頂フィニッシュ(第2、6ステージ)、1つのアップダウンコース(第3ステージ-)、そして1つの個人タイムトライアル(第4ステージ)で争われる。
大会2日目には早くも、総合本命たちが最前線に姿を現すだろう。超級ジブラルタル・ロード(登坂距離12km、平均勾配8%)での山頂フィニッシュは、ピュアクライマーの独擅場だ。翌第3ステージはパンチャーたちにチャンスあり。後半に難所が繰り返し詰め込まれている。タイムトライアルスペシャリストたちにも、勝利のチャンスが与えられる。なにしろ第4ステージは全長34.7kmの個人タイムトライアル。コースのラスト3分の1はほぼ真っすぐな道を突き進むから、ハイスピードでコンマ差を争うことになる。
そして最終日前夜、サウス・レイク・タホへと向かうコースで、最終的なイエロージャージの行方が決定する。196.5kmの長距離ステージは、スタート直後から上り始める。行く手には7つの峠が待ち構え、累計標高はなんと16000フィート……つまり約4876mにも達する!!
これほどまでの難関に、プロトン屈指の山男たちが立ち向かう。ツールで2度の山岳賞に輝いたラファル・マイカ、2016年ツール新人賞アダム・イェーツ、そして「U23向けツール」ツール・ド・ラヴニールの昨季覇者であり、先のツール・ド・ロマンディで総合2位に食い込んだ21歳の恐ろしきエガン・ベルナルが、総合大本命に上げられる。地元アメリカ勢が驚異的な奮闘を見せるのもまた、この大会の面白さだ。2013年大会覇者ティージェイ・ヴァンガーデレンは、その優勝以来5年ぶりのカリフォルニア参戦を表明した。またコンチネンタルチーム所属(今季プロコンチ昇格)ながら、2016年山岳賞、2017年区間2勝と目を見張るような素晴らしい活躍を見せたイヴァン・ハフマンからも、目が離せない。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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