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バスケだけではない留学 羽黒のサインビルグ・オチルが宇都宮工戦で残した存在感 |高校バスケ ウインターカップ2025
ウインターカップコラム by 青木 崇文武両道に励むサインビルグ・オチ
山形県代表の羽黒は、モンゴルからの留学生をバスケットボール部員として受け入れている。しかし、留学生を受け入れる他の私立高校と異なり、羽黒が重視するのは「バスケットボールができるか」ではなく、「日本で学びたいか」という点だ。母親がモンゴルの教育界で著名人というサインビルグ・オチルも、決して例外ではない。
昨年のU18FIBAアジアカップにモンゴル代表として出場経験のあるオチルだが、学業も非常に優秀。モンゴル語に加え、来日後3年間で身につけた日本語、さらに英語も堪能。高校卒業後に進学する大学は英語で受験し、見事に合格しているという。
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「日本語は難しいので、どちらかと言えば英語のほうが得意です」というオチルだが、バスケットボール選手としても羽黒で過ごした3年間で大きく成長。同級生の柏﨑歩人は、「バスケットのことになると熱量とか集中力が本当に素晴らしい。彼が率先してやるだけで、周りも乗ってくる。そういう力を持った人だと思います」と、人間性の部分を高く評価する。
宇都宮工との1回戦、198cmのオチルは2Q7分23秒に2ファウルとなってベンチに下がるまで、8点、11リバウンド、2ブロックショットをマーク。「本当に余計なことをしない。基本に忠実で泥臭い仕事もしっかりやってくれる」と齋藤仁コーチが話すように、オチルはリバウンドを奪った後にボールを下げる傾向がない。リバウンドを奪った後、コートを見渡しながら状況判断ができるため、ターンオーバーも少ない(この試合は1本)。
オチルがベンチに下がった後、羽黒は齋藤奏太のドライブや柏﨑の3Pショットなど12連続得点で宇都宮工を引き離し、24点のリードで前半を折り返した。後半になっても攻防両面で試合をコントロールし続けた結果、105対74で宇都宮工に大勝。羽黒は齋藤大雅の28点を最高に6人が2ケタ得点と、バランスの取れたオフェンスを展開。「ファウルトラブルになったけど、最後まで勝てると自信を持っていました。リバウンドはできました」と振り返ったオチルは、20分55秒の出場で13点、17リバウンド、3ブロックショットで勝利に貢献した。
「去年5対5の代表に選ばれましたけど、来年からは3x3の代表に選ばれたいです」と語るオチルは、女子代表が今年のワールドカップでアメリカに18対15で勝ったことがある3x3で五輪に出るのが夢。そうした将来像の背景には、母国モンゴルで高まり続けるバスケットボール熱がある。その一方で、Bリーグでプレーしたいという思いも強いことから、福岡大附属大濠との2回戦は、自身の存在をアピールする絶好の機会になるだろう。もちろん、大学進学後もバスケットボール選手としてレベルアップするための日々を過ごすつもりだ。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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