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連覇の鍵を握る福岡大附属大濠の勝又絆(写真中央)
夏のインターハイは鳥取城北が初の頂点に立ち、U18トップリーグは福岡大附属大濠が優勝。しかし、福岡大附属大濠はウインターカップ予選決勝で福岡第一に敗れたことからも、上位進出が期待されている強豪校たちの実力が拮抗しているのは明らかだ。
鳥取城北はハロルド・アズカ、新美鯉星、豊村豪仁という昨年のウインターカップ準優勝時のスターター3人を軸。インターハイで司令塔として福元源士、シューターの永田惺雅が自信をつけ、U18トップリーグではアズカが欠場している間に1年生のフィリモン・ホムタワ・タルモンが著しく成長しており、故障に悩まされてきたアズカの負荷を軽減できるのは大きい。しかし、U18トップリーグの最終戦、インターハイ決勝で対戦した八王子に38対55で敗れたのは、ウインターカップに向けて課題を突きつけられたと言える。順当に勝ち上がることができれば、インターハイで辛勝した柳ヶ浦か北陸学院と準々決勝で対戦することが濃厚だ。
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福岡大附属大濠は、11月3日の福岡第一戦で敗れた翌週、片峯聡太コーチは3年生をトップリーグに帯同させないことを決断。下級生だけで臨んだ東山戦は72対88で敗れたものの、指揮官のメッセージに3年生がしっかり受け止めた結果、11月16日の福岡第一との再戦を97対48と大勝して雪辱を果たした。吉岡陽が21点、7リバウンド、6アシスト、5スティール、村上敬之丞が10点、7リバウンド、3アシストを記録し、チームを牽引していた。本田蕗以、白谷柱誠ジャックら下級生に有望なタレントを揃えるが、スターターとして昨年の優勝を経験している勝又絆、榎木璃旺を筆頭に、3年生のパフォーマンスが2連覇へのカギを握る。
ただし、予選で福岡第一に負けたため、ウインターカップでの福岡大附属大濠はノーシード。初戦の報徳学園を撃破しても、3回戦で開志国際、準々決勝で北陸か藤枝明誠との対戦が濃厚だ。藤枝明誠はインターハイ初戦で北陸学院に敗れた悔しさを糧に、野津洗創を中心にウインターカップで巻き返そうと気合十分。インターハイで3位となった北陸は得点力のある山田翔椰と細根悠雅が軸となり、インサイドには留学生のファイ・ベンジャミンがいる。実力とポテンシャルを加味すれば、いずれが決勝進出を果たしても不思議ではない。
第2シードの八王子が入ったブロックでは、1回戦でいきなり東山対中部大第一が対戦。インターハイの3回戦では東山が20点差で勝利したが、中部大第一には音山繋太、馬越光希という190cm超でオフェンス能力の高い選手を擁する。東山は佐藤凪が堅実なゲームメイクでオフェンスを組み立て、中村颯斗の3Pショットが確率よく決まると強さを増す。また、カンダ・マビカサロモンとウェトゥ・ブワシャエノックの留学生が、リバウンドやスクリーナーとして献身的にプレーできるのも東山の強み。中部大第一としては、佐藤に心地よくプレーさせないディフェンスが主導権を握るポイントになる。
八王子は畠山颯大のゲームメイク、照井昇太朗のシュート力、ニャン・セハセダトのインサイドが特徴のチーム。運動量が豊富なゾーン・ディフェンスは、インターハイで敗れた福岡大附属大濠など多くのチームが苦戦を強いられてきた。U18トップリーグは3勝4敗と負け越したが、最終戦で鳥取城北に雪辱したのはプラス材料。順当に勝ち上がることができれば、八王子は東山と中部大第一の勝者と準々決勝で対戦することになりそうだ。
インターハイ3位の仙台大附属明成は、フロントラインで重要な役割を担う今野瑛心が故障し、万全な状態でウインターカップに臨めるか微妙な情勢。しかし、得点力のある司令塔の小田嶌秋斗、U18トップリーグの美濃加茂戦で33点をマークした三浦悠太郎ら3年生が軸となり、ボールと選手の動きが活発なオフェンスを展開できると強い。また、伝統のゾーン・ディフェンスは、相手からすればオフェンスが停滞しやすくなる点で非常に厄介だ。仙台大附属明成とって最初の難関は、3回戦での対戦が予想される帝京長岡になるだろう。
仙台大附属明成と同じブロックにシード校として入ったのが福岡第一。ウインターカップ予選決勝直前に留学生のシー・ムサが突如の帰国という事態に見舞われたが、聡と耀の宮本兄弟を軸に、長岡大杜と藤田悠暉の成長と活躍によって福岡大附属大濠を倒した。しかし、U18トップリーグでライバルに大敗したことは、ムサが抜けた穴の大きいことを物語っている。チームの伝統であるアグレッシブなディフェンスで主導権を握り、速攻で得点を重ねるパターンに持ち込むには、1年生留学生のバ・イブラヒマ・ハリルとンガンボ・モンガ・リゴの成長がカギになる。
今年のウインターカップは、昨年の福岡大附属大濠のように全試合で20点差以上をつけて優勝する圧倒的な存在が見当たらない。メインコートに立つ資格は、どの高校にも等しく与えられている。1回戦から注目カードが並ぶ今大会は、例年以上にエキサイティングな大会になるだろう。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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