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6日の東海大戦は、前半で13本のターンオーバーを犯すなど、厳しいディフェンスにオフェンスがなかなか遂行できずにいた。ハーフタイムで14点差を追う状況だったが、佐伯と佐古に加え、シューターの八重樫ショーン龍(仙台大附属明成3年)が何度もゴールへアタック。「東海を相手に1勝したいという思いでみんなで試合に臨んだ。自分でやるしかないし、自分に任せてくれ、という気持ちでした」という佐古の言葉通り、積極的なプレーを続けたことでオフェンスのリズムは少しずつ良くなり、いい形で得点する機会が増えていく。
4Q中盤以降はモンガ・バンザ・ジョエル(別府溝辺学園4年)と境アリーム(開志国際3年)がインサイドで奮闘。佐伯は東海大の司令塔である轟琉維(福岡第一3年)にボールが渡らないように厳しく対応するなど、白鴎大らしいフィジカルなディフェンスによって点差が徐々に縮まっていく。
56対70の局面から佐古が3Pショットを決めたのをきっかけに、白鴎大は佐伯が攻め続けたことで12連続得点で2点差に詰め寄る。残り40.1秒には、佐古のドライブ&キックアウトから佐伯が左コーナーから3Pショットを決め、白鴎大が71対70と逆転に成功した。白鴎大の網野友雄コーチは試合後、チームの現状をこう語る。
「チームが苦しい状況なので、4年生のところと、自分たちがやるべきところの原点回帰というところで、前回の大東戦からディフェンスを重視して、泥臭く。点数は伸びないかもしれないですけど、70点取って60点台に抑える。最悪65対60とか、そういうゲームでも一つの勝利を求めようというところでした」
残り8.4秒に佐古のターンオーバーが原因で佐伯アンスポーツマンライク・ファウルをコールされてしまい、窮地に陥った。しかし、ルーニー慧(正智深谷3年)のフリースローはまさかの2本ともミスとなり、東海大に残った最後のチャンスも佐藤友(東山2年)のティップショットがリングに嫌われて試合終了。白鴎大が2021年から3年連続でインカレの決勝を戦った宿敵から見事な逆転勝利を飾った。佐伯は試合を次のように振り返る。
「4Qまで苦しい展開だったんですけど、自分たちが粘り強いディフェンスをやり続けることが、最後にこうやって勝利につながったと思います」
東海大を相手に成し遂げた逆転勝利は、白鴎大にとって大きな自信となるはずだ。佐伯や佐古、モンガといった4年生を中心に、エース佐藤涼成(福岡第一4年)が不在でも強豪と渡り合えることを証明した一戦となった。
勢いに乗りそうだった白鴎大に対し、待ったをかけたのは、2部から昇格してきた青山学院大だった。フィジカルの強いモンガとのマッチアップで加藤大智(浜松西4年)、ウォーレン航喜(桐光学園4年)、中武優羽(正智深谷1年)がいずれもファウルトラブル。さらに、能代飛輝(木更津総合3年)をケガで欠く厳しい状況だった。
U23日本代表としてオータムリーグ直前にカナダ遠征に参加した広瀬洸生(福岡大附属大濠3年)は、アグレッシブなドライブで攻め続けてゲーム最多の23点をマーク。青山学院大の竹田謙コーチが「能代がいない中で北條にだいぶ負担がかかったんですけど、リバウンドのところは本当に期待以上にハッスルしてくれました。元々得点できる選手ですけど、外から決めてくれるとうちの武器になるので、今日は本当に頼もしかったです」と称賛した北條彪之介(美濃加茂2年)も4本の3Pを含む18点と活躍したことで、一進一退の攻防に持ち込むことに成功した。
4Q残り1分23秒で4点を追う状況だったが、青山学院大は新井翔太(実践学園4年)がトップからステップバックの3Pショットを決めて1点差、36秒にオドゲレル・トルガ(桐光学園4年)がドライブからファウルをもらい、フリースローを1本決めて75対75の同点に追いつく。
次のディフェンスで白鴎大を止めると、「自分で行こうと決めていました」という広瀬が残り12秒にドライブからフィニッシュして77対75と逆転。残り8秒に加藤がモンガを止めに行ってファウルを犯すも、相手はフリースローを2本とも外す。最後は広瀬が残り3.8秒に勝利を決定づけるフリースローを決め、青山学院大がリーグ戦2勝目を手にした。
「ずっと4Qでまくられる場面がこのリーグに入ってからずっとあったので、そこを勝ちきれたのは選手たちの自信になるし、良かったと思います」と竹田コーチ。カナダ遠征から帰国後は時差ボケや長距離移動による疲労でコンディションを落としていた広瀬も、白鴎大戦後には「ちょっと吹っ切れた感じです」と調子が上がってきていることを実感している。
次戦は10日、昨年2部でしのぎを削った早稲田大との対戦。白鴎大を振り切って得た青山学院大の自信が、本物かどうかを試される一戦となる。
日本大は3日の東海大戦で大敗したが、6日の青山学院大戦を58対53のロースコアで制した。新井学人(沼津中央4年)が青山学院大相手に19点、14リバウンドのダブルダブルを達成するなど、攻防両面でチームを牽引。古川貴凡コーチはここまでの戦いぶりについて、「ディフェンスは悪くない」と評価する。
ただし、4勝1敗同士の対戦となった7日の明治大戦は59対60で惜敗。ここまで70点に到達した試合がなく、平均60.5点が最下位という現状だ。古川コーチは、「ショットの確率が上がる試合が出てくるはず」と期待を寄せるが、そのためには24.7%という3P成功率の改善と、新井に続くNo.2、No.3スコアラーの台頭が欠かせない。
泉登翔(福岡大附属大濠4年)は明治大戦で6アシストを記録するなど、ボロンボ・ムヘカグラシアブラ(八女学院3年)とのピック&ロールから得点機会をクリエイトできている。ただし、F G成功率は21.4%と、シューティング・スランプが開幕から続いている。日本大のオフェンスが復調するには、泉の得点が伸びることと、コーナーからの3Pショットを強みにしている奥浜貫太(興南4年)のステップアップが必要になる。
文:青木 崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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