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退部寸前から這い上がった男が違いをもたらした。
昨季7位の神奈川大はオータムリーグ初戦、専修大に83対66で快勝。その立役者となったのは、大黒柱・山本愛哉(飛龍4年)に加え、もう一人の主役に名乗りを上げた木村祐誠(東北学院4年)だった。
2022年のウインターカップでは、2年生ながら高岡第一戦で36点、11リバウンド、法政二戦で30点、10リバウンドと大活躍した木村。しかし、神奈川大入学後は、遅刻や休みが多いことに加え、授業も疎かになるといった姿勢の甘さが目立った。幸嶋謙二コーチは改善しない木村をチームから追放する寸前まで行ったが、もう1度やり直すチャンスを与えた。
Bチームでハードワークを続けたことと故障者が出たことが重なり、木村はAチームでプレーする機会を得た。昨年のオータムリーグでは10月13日の明治大戦で13点、14日の筑波大戦で14点を記録してチームの勝利に貢献するなど、徐々に才能を発揮していった。
4年生になった今季、木村は山本とともに神奈川大のオフェンスで重要な存在であることを専修大との初戦で証明。「愛哉のところでスペースが作れるので、そこから木村のところでオフェンスを作ってきた」と幸嶋コーチが話したように、山本にボールを渡すことに苦労する時間帯があったとしても、木村が1対1の強さを活かしてオフェンスを牽引し、21点中14点を前半で稼いだ。
木村が前半でリズムを掴んだことがプラスに働き、山本は後半でスコアリング・ポイントガードとしての才能を発揮し、18点、8アシストを記録。「木村も去年から試合に出ていて、本当に重要な選手になってくるというのは今シーズンわかっています。リーグ戦は長いですけど、ブレずにいいパフォーマンスを見せてほしいと思います」と山本が話したように、木村とのワンツーパンチは神奈川大にとって大きな武器になる可能性を秘めている。
オータムリーグ前の大阪遠征中、幸嶋コーチは木村に対して喝を入れたという。しかし、「次の練習でだれよりも最初に来て、シュートを打っていた」と語るなど、心身両面での成長に手応えを感じているのは明らか。チームを去る寸前から主力へ。木村の成長物語はまだ途上だ。神奈川大が上位進出を果たせるかどうか、そのカギは木村の一挙手一投足にかかっている。
明治大、東海大撃破
展望記事で注目した一戦は、明治大が東海大を63対60で撃破する結果となった。春のトーナメント、新人インカレで3位と成果を残してきた明治大にとって、この勝利はさらなる飛躍を予感させるものだ。
前半から主導権を握った明治大は、鬼澤伸太朗(福岡大附属大濠3年)、石川晃希(宇都宮工二年)といったフロントラインの選手たちがムスタファ・ンバアイ(福岡第一2年)相手に奮闘。鬼澤はスクリーンからのショートロールでジャンパーを沈めるなどチーム最多の14点をマークし、「自分の攻めは去年からずっと磨いてきたもの。それが結果に出たのはよかった」と胸を張った。石川もリバウンドやルーズボールに飛び込み、フィジカルの強い相手に一歩も引かないプレーでチームを支えた。
「ペイントアタックから展開することで東海さんは嫌がっていた」と田中智也アシスタントコーチが語るように、明治大は針間大知を中心に積極的にゴールへ迫る。ディフェンスでも高い身体能力を誇る東海大のオフェンスを3Q終了時までに40点に抑え込み、17点のリードを奪った。
しかし4Qに入ると流れは一変。入野貴幸コーチが「前半から圧を上げられなかった。後半のディフェンスを最初からやらなければいけない」と振り返ったように、東海大はディフェンスの強度を一気に高め、終盤には3点差まで迫った。轟琉維(福岡第一3年)の3Pが決まれば同点という場面もあったが、シュートはリングに届かず。最後は明治大の粘り強いディフェンスが勝負を決した。
下馬評で優位と見られた東海大を退けた明治大。この白星は単なるアップセットにとどまらず、リーグ戦を戦い抜くうえで大きな自信となったに違いない。
中国遠征から中2日、主力を欠いた白鴎大は黒星スタート
アジアン・ユニバーシティ・バスケットボール・リーグ(AUBL)で3位の成果を収めた白鴎大だったが、オータムリーグ初戦では早稲田大に74対92で敗れた。中国・杭州から8月25日に帰国したチームは、翌26日に早稲田大戦へ向けて調整を進めたものの、体調不良の佐藤涼成(福岡第一4年)を含む主力4人が欠場。さらに、AUBLではサイズのある相手との戦いが続いたこともあり、5アウトで展開する早稲田大のオフェンスにディフェンスが対応しきれず、18本もの3Pを許した。加えて、激戦続きの疲労からプレーにもキレを欠いた。
「うちにとっては貴重な1勝」と語ったのは、早稲田大を率いる倉石平コーチ。岩屋頼(洛南4年)、堀陽稀(東山4年)を軸に、ボールと選手が連動するオフェンスを展開。さらにコート上の5人全員が3Pを決められる強みを活かし、堀田尚秀(東山4年)と松本秦(洛南1年)がそれぞれ5本成功させるなど、理想的な形で白鴎大を退けた。
文:青木 崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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