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バスケット ボール コラム 2025年8月4日

【インターハイ女子総括】女子高校バスケットボールは新たな時代に突入! 日本航空北海道が京都精華撃破、桜花学園が王座奪還

バスケットボールレポート by 青木 崇
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過去3年にわたり女子高校バスケットボール界を牽引し、インターハイ4連覇を目指していた京都精華学園は、準々決勝で日本航空北海道に55対58で敗北。第3クォーター終了時点で14点のリードを奪うなど、試合を優位に進めていたが、第4クォーターに入りオフェンスが停滞。わずか6得点にとどまり、まさかの逆転負けを喫する結果となった。

山本綱吉コーチが「これからのチーム作りが気楽になりました。正直これでまた肩の荷が下りて、新しいバスケットができるんじゃないかなと思います」と語ったように、京都精華学園はウインターカップでの巻き返しを視野に、チームの再構築と強化を図る構えである。

日本航空北海道は、創部3年目の新興チーム。3年生同士が互いの特徴や傾向を熟知しており、完成度の高さが際立つ。庵原有紗(180cm)とファトゥマタ・カマラ(186cm)のフロントラインは、京都精華学園に対してもミスマッチを生むことなく、1対1のディフェンスで互角の対応を見せた。さらに、中村泉咲と宇都鈴々奈のガード陣は、京都精華学園の吉田ひかりと満生小珀に対し、総得点で26対18と上回る活躍。これが土壇場での逆転劇につながった。

準決勝では、庵原が21点、10リバウンドのダブルダブルを記録し、守備力に定評のある岐阜女に68対60で勝利。矢倉直親コーチは「過去2年は上級生の意地に負けてきたので、上級生チームの強みとかチームワーク的なところでやはり敵わないと思っていたのが、自分たちが3年生になって主力になってくると、(私が)言わなくてもやってくれる。こういう時はこう戦うみたいな相手に対応してくれるようになってきているので、その経験値が大きいのだと思います」と振り返る。

全国大会で初の決勝進出を果たした日本航空北海道。その前に立ちはだかったのは、インターハイ25度の優勝を誇る名門・桜花学園だった。

新指揮官の白慶花コーチは、昨年12月31日に逝去した井上眞一前監督の遺志を継ぎ、心身ともに強いチーム作りを推進。しかし、近年は試合終盤の競り合いで敗れる場面も多く、昨年のウインターカップでも準々決勝で精華女に65対66で惜敗していた。

勝負強さと自信を取り戻すきっかけは6月の東海大会。山田桜来が逆転ブザービーターとなる3Pショットを決めて岐阜女を倒して優勝したことが、接戦でも勝ち切れるという自信を取り戻す大きな意味があった。大阪薫英女学院との3回戦では、第3クォーターまでリードを許したものの、第4クォーターで逆転し、5点差で勝利。イシボ・ディバインはフィジカルの強さを活かし、18点、23リバウンドと圧巻の活躍を見せた。

準決勝の精華女戦では、アキンデーレ・タイウォ・イダヤットに対して、水林夢翔とクースィク・アナヒタがサポートを重ねながら奮闘。タイウォに57得点を許すも、桜花学園はガード陣の厳しいディフェンスで他の選手の得点を11点に抑え、73対68で接戦を制した。

決勝の日本航空北海道戦では、庵原に28点を許した一方で、マッチアップした2年生・勝部璃子が19点を記録。特に第4クォーター中盤にピック&ポップから沈めた3ポイントシュートは、桜花学園がリードを12点に広げる象徴的なプレーとなった。

桜花学園の濱田ななの

濱田ななの、山田、竹内みやのガード陣は、得点やゲームメイクに加えて守備でもチームを牽引。前線から激しいプレッシャーを与え、インバウンド時には5秒バイオレーションを誘発する場面も見られた。白コーチは次のように振り返る。

「最後の最後まで粘ってディフェンスを頑張ればうちも勝てるんだというところ。選手たちもそれが自信になって、大会を通じて薫英や精華女、今日の試合も大崩れせず、苦しい時こそディフェンスという認識がチーム全員が持っていたというところです」

第4クォーター終盤、日本航空北海道の猛追により4点差まで詰め寄られたが、桜花学園は日本航空北海道のFG成功率を39%、59点に限定しただけでなく、12本のターンオーバーを誘発。ディフェンス力を武器に、26回目のインターハイ優勝を成し遂げた。舞台は岡山。井上前コーチが初めて全国制覇を果たした記念すべき場所で、白コーチはチームを頂点へと導いた。

「岡山インターハイは、井上先生が初優勝を果たした場所で、生前もすごく楽しみにされていました。その思いを隣で聞いていたので、この優勝をプレゼントしたいと思っていましたし、部員たちが本当に、命懸けでもがきながらも、一生懸命やってくれていました。なんとか自分にできることを120%出して、勝利を届けたいなと思ってやっていました。ちょっと先生も喜んでくれるんじゃないかなと思います」

桜花学園の優勝、日本航空北海道の準優勝で幕を閉じた今大会。ウインターカップでは、この2校に加え、ベスト4進出の京都精華学園と岐阜女、桜花学園に惜敗した大阪薫英女学院も頂点を狙える有力校。京都精華学園は4連覇の夢を掲げ、再び牙を研ぐ。組み合わせ次第ではあるが、この6校による直接対決が実現すれば、どのカードでも勝敗は予測不能。女王の座を巡る激戦が、再び幕を開ける。

文:青木 崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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