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7月27日から岡山市で開催されるインターハイのバスケットボールは、都道府県予選を勝ち抜いた52校が頂点を目指す。
男子は昨年のウインターカップを制した福岡大附属大濠が第1シード、昨年インターハイ初制覇を成し遂げた東山が第2シード。東海大会と中国大会を制した藤枝明誠と鳥取城北が、組み合わせ表左下と右上に配置された。
ライバルの福岡第一に勝利して出場権を得た福岡大附属大濠は、ウインターカップ優勝に貢献した榎木璃旺(3年)が司令塔としてチームを牽引し、勝又絆(3年)とサントス・マノエル・ハジメ(3年)がフロントラインで奮闘する。オフェンンスで核となるのは本田蕗以(2年)と日本代表としてジョーンズカップを経験した白谷柱誠ジャック(1年)の下級生。U16代表候補の櫻井照大(2年)がガードして重要な役割を担い、元U16代表でスラッシャーの村上敬之丞(3年)とシューターの栗原咲太郎(3年)は、シンガポールで行われたNBAライジングスターズ・インビテーショナルで成長。選手層の厚さとタレントという点で、福岡大附属大濠は間違いなく優勝候補と言っていい。
ウインターカップ準決勝で福岡大附属大濠に敗れて二冠を逃した東山は、過去2年瀬川琉久(千葉ジェッツ)とガードコンビを組んだ佐藤凪(3年)が大黒柱。近畿大会を制した後にNIKEオールアジアキャンプに参加した佐藤は、NBAのコーチから高い評価を得てベストに選出された。中村颯斗(2年)がシューターとして、藪元太郎(3年)がフォワードとして持ち味を発揮できると、東山の持ち味であるオフェンスはより威力を増す。フィジカルが強いカンダ・マビカ・サロモン(3年)と身体能力が高いウェトゥ・ブワシャ・エノック(2年)が、攻防両面で献身的にプレーできる留学生という点も、東山の強みと言える。
藤枝明誠は準決勝で高山西を88対44、決勝で中部大第一を83対47と圧倒しての東海大会制覇を成し遂げた。オールラウンダーの野津洗創(3年)とポイントガードに転向中のシューター渡邊聖(2年)を中心に、多くの選手が得点に絡めるバランスのいいチーム。アメー・エマニュエル・チネメルン(2年)は、非凡な身体能力とリバウンドを奪った後のパスがうまい留学生だ。東海大会の戦いぶりを振り返ると、ディフェンスのレベルも非常に高いチームになっているのは明らか。順当に勝ち上がれば、準決勝で福岡大附属大濠と対戦することになる。
昨年のウインターカップで準優勝と飛躍した鳥取城北は、ハロルド・アズカ(3年)、豊村豪仁(3年)、新美鯉星(3年)とスターター3人が今年も健在。オールラウンドな能力を持つアズカとフィジカルの強さを武器に得点できる豊村で構成されるフロントラインは、相手にとってディフェンス対応が非常に難しい。新美はシューターとしての活躍が必要だ。中国大会決勝は広島皆実にいきなり10点リードを奪われるという大苦戦に直面。残り16秒で1点を追う状況だったが、アズカのスティールからアウトレットパスを受けた新美がレイアップを決めるという逆転勝利の経験が、インターハイの舞台で活かされるかは注目に値する。
これまでに取り上げた4校に脅かしそうなチームとしては、準々決勝で福岡大附属大濠との対戦が予想される八王子学園八王子、鳥取城北にとって脅威となりそうな帝京長岡と柳ヶ浦の名前をあげておきたい。元桜丘の江崎悟コーチが率いる山梨学院が、190cm以上の選手を多く揃える中部大第一と対戦することは、1回戦で最も興味深いマッチアップと言っていい。
NBAライジングスターズ・インビテーショナル
女子に目を向けると、インターハイとウインターカップを3連覇中の京都精華学園が大本命。近畿大会では大阪薫英女学院に延長の末に競り勝つという苦戦を強いられたが、チームとしての経験値を上げるという点で大きな意味があった。その翌週に参戦したNBAライジングスターズ・インビテーショナルで優勝し、司令塔の吉田ひかりは見事MVPに輝いた。山本綱吉コーチが中高一貫で選手たちを育成していることもあり、他校に比べるとチームとしての完成度は非常に高い。
坂口美果(3年)と石渡セリーナ(3年)は、FIBAとNBAが主催するキャンプ、バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズで世界レベルを体感。インサイドの核となるンガルラ・ムクナ・リヤ(2年)とオディア・カウェル・リッツ(1年)が留学生としてタイムシェアができることに加え、1対1の強さと得点機会のクリエイトを兼備する満生小珀(2年)がベンチから出てくる点も京都精華学園の強み。最初の山場は、3回戦で昨年のウインターカップで頂点を争った慶誠戦になる。
近畿大会で京都精華学園を最後まで苦しめた大阪薫英女学院は、勝ち上がると桜花学園と3回戦で当たることが濃厚。昨年のウインターカップで3位になったチームでも主力だった幡出麗実(3年)、三輪美良々(3年)、松本璃音(2年)を軸に、戦術・戦略に長けた安藤香織コーチが桜花学園にどう対峙するかは注目に値する。
昨年末に井上眞一コーチが逝去した桜花学園は、白慶花コーチの下で新たな時代を迎えた。岐阜女との東海大会決勝では、山田桜来の逆転ブザービーターとなる3Pショットによって優勝。白石弥桜(デンソー)のような180cmを超える選手は不在かもしれないが、イシボ・ディバイン(3年)と勝部璃子(2年)がフロントラインの得点源として期待。視野の広さと緩急自在なプレーが武器の竹内みや(2年)とゲームキャプテンの濱田ななの(3年)というガード陣の出来が、桜花学園の命運を握っていると言っていい。大阪薫英女学院との一戦をモノにして準決勝まで勝ち上がれば、ウインターカップ準々決勝で敗れた精華女に雪辱するチャンスが巡ってくる。
第2シードとなった精華女は予選で延長の末に東海大付属福岡を倒して出場権を獲得すると、九州大会も決勝で慶誠に27点差で大勝しての優勝。インサイドで強烈な存在感がある留学生のアキンデーレ・タイウォ・イダヤット(3年)が大黒柱になるが、昨年のウインターカップでベンチ入りしていた吉川愛未(3年)らチームメイトのステップアップは、上位進出に欠かせない要素だ。留学生を擁する八雲学園との対戦が濃厚な3回戦は、精華女が現在のチーム力を知る絶好の機会になるだろう。
そのほかの注目校としては、3回戦で当たる可能性が高い岐阜女と聖和学園。岐阜女はガードの小松美羽(3年)が東海大会でケガをしており、インターハイまでに復帰できるか微妙な状況だ。三宅香菜(3年)と杉浦結菜(3年)を軸にしたチームで、持ち味である強固なディフェンスで勝つ術を見出すことになる。聖和学園は阿部友愛(立教大)という大黒柱が抜けたが、昨年から先発で出場している齋藤凌花(3年)を中心に質の高いハーフコート・オフェンスを遂行するチームとして上位進出を目指す。この勝者が準決勝で京都精華学園に挑むことになりそうだが、千葉経済大附属は風穴を開ける存在になるかも見どころの一つとしてあげておきたい。
文:青木 崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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