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【日本経済大・児玉ジュニア】文句なしの最優秀選手賞選出。ディフェンダーから高い身体能力を武器にしたスコアラーへと大きく飛躍
バスケットボールコラム by 青木 崇圧巻のプレーでインパクトを残した児玉ジュニア(写真右)
福岡第一時代、児玉ジュニアは2023年のウインターカップを制した時のメンバーだった。しかし、ガードのポジションで試合に出ていたのは崎濱秀斗、山口瑛司、森田空翔、八田滉仁の4人で、3回戦の東海大付属諏訪戦で4分47秒プレーしたのが最長。ウインターカップでは東海大付属諏訪戦で記録した4点が最高だったが、スティールから豪快なダンクを叩き込んだシーンは、ハイライト・フィルムで取り上げられていた。
井手口孝コーチの勧めもあり、児玉は福岡第一のOBである片桐章光コーチが指揮する日本経済大への進学を決断する。「毎日辞めたいと思うくらい走っていました」と語るくらい高校時代に鍛えられていたことや、身体能力の高さをディフェンスで活かせる可能性を秘めていたことを理由に、片桐コーチは「彼にはディフェンスマンで獲ったんだよと伝えています。でも、その中からオフェンスではミドルレンジのショットがうまかったんです」と話すなど、1年生の時から児玉にローテーションに入る選手としてチャンスを与えていた。
「章さんから試合に出させてもらうなどチャンスをもらい、4年生がメンターになってくれたので意外にうまく行った部分がありました。今年に入って4年生が卒業してからは結構苦労していて、ショットが入らなくなった時でも章さんは、“お前はディフェンスで獲った選手だから、そこは気にせずディフェンスをやってくれ”と。プラスアルファでオフェンスとずっと言われていたので、あまり重く捉えずにやらせてもらっている感じです」
こう語る児玉は、全九州大学春季バスケットボール選手権の東海大九州戦で7本の3Pショットを含む35点という大爆発で優勝に大きく貢献。新人インカレでも質の高いパフォーマンスでチームを牽引し、関西大戦で27点、早稲田大戦で27点、準々決勝の東海大戦で25点、準決勝の京都産業大戦17点(FG試投数が11本)を記録。白鴎大との決勝戦では宮越温生、福岡第一の後輩である八田といった選手から厳しいマークに遭いながらも、チーム最多の22点と勝利の原動力になった。特に4Q残り4分のところで2本のオフェンシブ・リバウンドを奪った後、右ウイングから成功させたシーンと、4点差に詰め寄られた後の1分22秒に左ウイングから決めた3Pショットは、初の新人インカレのタイトルを獲得した日本経済大にとって大きな意味があった。片桐コーチは、児玉がオフェンスで著しく成長した理由を次のように語る。
オフェンス面で大きく成長した児玉
「個人練習もすごく頑張るから、ショットの距離も伸びてきて、もうチームで自分のタイミングがあったら打ちなさいという風にしています。第一の時は崎濱くんにボールを渡さなければいけないというのがあったから、ボールシェアやパスばかり考えていたから、どんどん攻めなさいというのを1年くらいかけて作ったんです。自分で攻めるという意識の変化というのが、今の得点力につながったと思います」
自分で攻める意識ということに焦点を当ててみると、児玉は自分がピック&ロールの使い手として攻めることもできるようになりつつあるが、ボールのないところでスクリーンを駆使し、パスをもらった瞬間にクイックネスを武器にアタックできるほうが強み。「シュートはチーム内で一番練習していると思いますし、ここに来るための飛行機に乗る1時間前くらいまで打っていました」という言葉通り、児玉は3Pショットの精度を上げてきていることもあり、ダウンスクリーンを使ってからのプレーはより威力を増している。
日本経済大で試合に出られることは、井手口コーチの勧めなしにありえなかったという児玉。大きな飛躍を遂げたとしても決して天狗にならず、今後は攻防両面でチームを牽引する選手への道のりを歩む。12月のインカレでは、より進化した児玉が見られることを期待したい。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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