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【福岡大附属大濠】ビッグ3の爆発と堅実なディフェンスで鳥取城北を倒してウインターカップ制覇 | 高校バスケ ウインターカップ2024
ウインターカップコラム by 青木 崇福岡大附属大濠が2021年以来4度目のウインターカップ制覇
昨年の決勝で宿敵福岡第一に完敗した際、2年生として出場していた福岡大附属大濠の渡邉伶音、湧川裕斗、高田将吾、見竹怜は、この悔しさを東京体育館で晴らすことしか頭になかった。昨年の経験と能力の高い選手を数多く揃えるチームだが、地元福岡で行われたインターハイは、準決勝で美濃加茂に一度もリードを奪うことができない展開を強いられ、68対76のスコアで敗れてしまう。
しかし、この敗戦は片峯聡太コーチが口酸っぱく言い続けた「受け身にならない。自分たちから攻め続ける」ことがいかに重要かを再認識するうえで、大きな意味があった。U18トップリーグでは渡邉が欠場した開志国際戦に敗れたものの、6勝1敗の成績で優勝。福岡県予選では福岡第一を84対57で圧勝するなど、チームとしての完成度を着実に高めていった。
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ウインターカップに入ってからも、日本航空との初戦でオルワペルミ・ジェラマイアに18点を取られたといえ、渡邉を軸にしたチームディフェンスでFGを18分の6に抑えることに成功。準々決勝の八王子学園八王子戦は十返翔里に34点を奪われたが、ハーフタイムで51対27と攻防両面で試合をコントロールしていた。
準決勝の東山戦は、高田と見竹がディフェンスで瀬川琉久にプレッシャーをかけ続け、30本中5本しかショットを決めさせなかった。オフェンスでは渡邉が留学生を圧倒してチーム最多の18点を奪い、サントス・マノエル・ハジメが3本の3Pを決めるなど11点とステップアップ。5人が2ケタ得点を記録するなど、攻防両面で東山を圧倒していた。
福岡第一に快勝した鳥取城北との決勝では、前半で受け身になる時間帯を作ってしまい、新谷勇晴に2本連続でドライブからフィニッシュされ、2Q5分36秒に26対30とリードされた。しかし、渡邉のアシストから勝又絆がレイアップを決めたのをきっかけに、榎木璃旺と湧川の3Pショットで再逆転。2分35秒に高田がスティールからレイアップを決めて7点リードになって以降は、時間の経過とともにディフェンスで鳥取城北のオフェンスをスローダウンさせることに成功する。
インターハイの準々決勝は10点差で勝利した福岡大附属大濠だったが、プレス・ディフェンスで仕掛けてもトランジションで3Pを決められるなど、3Q終盤までリードを奪われる苦戦を強いられていた。オールラウンドなスキルを持つ留学生のハロルド・アズカとシュート力がある新谷を軸にした鳥取城北に対し、ウインターカップの決勝では強度の高いマンツーマン・ディフェンスを徹底。片峯コーチはその意図を次のように説明した。
「インターハイの時は(プレスを)うまくかわされて、レイアップというよりは8番(新谷)にディープスリーで打たれたり(決められた)といった印象があったので、あまり2−2−1とか1−2−2で仕掛けてチェンジングで曖昧になるよりも、ハーフコートでしっかり強度高く(ディフェンスを)やっていこうということでゲームプランを立てていました。そこで見竹と高田がハーフコートで強度高くやってくれたので、徐々にドライブのキレだったり、シュートの精度が落ちたところで、うちは走れた部分がありました」
決勝で得点を量産した湧川
武器の3Pショットに加え、兄の颯斗を彷彿させるドライブで得点を重ねた湧川は、前半だけで21点を稼ぎ、ハーフタイムで10点リードを奪う原動力となる。昨年の決勝は7点、3Pが6分の1と持ち味を発揮できなかったが、この1年でピック&ロールから得点機会をクリエイトするスキルが著しくレベルアップ。32点という大爆発につながるきっかけになったプレーについて聞かれると、湧川は「ピックで相手の留学生と駆け引きをして、1回パスフェイクをしてからレイアップに行けた。この駆け引きに勝ったというのは、本当に自分の中で結構うれしくて、そこは去年に比べてだいぶ成長できたと思います」と振り返った。
3Qになると渡邉が3Pショット3本を、高田もドライブや見竹のアシストから3Pを決めるなど、19−4の猛チャージで一気に引き離すことに成功。鳥取城北の河上貴博コーチは、「あそこ(渡邉)のシュートがあるとスカウティングをして臨んでいたんですけど、そこに対しての指示も自分自身がうまく出せず、対応が後手後手になってしまった」と悔やんだものの、福岡大附属大濠が質の高いオフェンスを遂行していたのも事実だった。
湧川、渡邉、高田という入学時から将来を嘱望されていたビッグ3が64点を稼ぎ、チームキャプテンの見竹を筆頭に鳥取城北を57点に抑えたディフェンスが決め手となり、福岡大附属大濠は2021年以来4度目のウインターカップ制覇を成し遂げた。
準優勝の鳥取城北は、準決勝まで素晴らしいパフォーマンスを見せて勝ち上がった。チームの核となるアズカや新谷だけでなく、フィジカルの強さを前面に出せる豊村豪仁、身体能力の高い内山晴輝ら、相手にとって厄介な選手を揃えたチーム。福岡第一との準決勝では、リードが2ケタに広げた後に仕掛けられたプレス・ディフェンスに対しても、ボールハンドリングがうまくできるアズカに預けてから数的優位を作り、レイアップや3Pショットで得点を重ねていた。
鳥取県勢として初の決勝進出を果たしたことについて、河上コーチは「ここまでの6試合を通じて選手たちがすごく成長して、自分たちが持っている力以上のものを発揮してくれたと見ていますし、こんな試合の中で成長するんだなと実感しました」とコメント。アズカと豊村がフロントライン、新美鯉星が司令塔となる新チームは、ウインターカップでの経験を糧にさらなる飛躍を目指すことになる。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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