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昨年、ウインターカップ初制覇を成し遂げた開志国際は、U19代表としてワールドカップを経験した武藤俊太朗、オールラウンドなPFの介川アンソニー翔、バシール・ファイサル・モハメッドというフロントラインを支えた3人が卒業。しかし、澤田竜馬と平良宗龍に加え、高い身体能力を持つ中島遙希が中心選手の一人となりつつある。
ネブフィ・ケルビン・シュミリーがフロントラインの軸になるが、北信越大会では控えに出場時間を与えながら、着実に勝利しての優勝。インターハイに向けて富樫英樹コーチは、「今年はサイズダウンしたけど、今まで戦ってきた開志国際らしい、守って走って速い展開をできればと思う。ケガ人が治ってきたのは大きいし、(ローテーションはフリッシュ)ニコラス聖を入れて7人かな」と語る。ニコラスの成長を富樫コーチが実感していることは、サイズアップという点でプラス材料と見ていいだろう。
春のKAZUカップで福岡第一に大勝するなど、今年の開志国際は圧倒的と言っていいくらいに強い。しかし、残り5秒で逆転された昨年のインターハイ決勝の悔しさは忘れていない。成功を手にするためのカギは、経験豊富な澤田と平良が握っていると言っていい。
昨年の大会で優勝し、ウインターカップで準優勝となった福岡第一は、チームの中心だったガード陣の轟琉維と城戸賢心が卒業。しかし、昨年の決勝で逆転の3Pショットを決めた崎濱秀斗を軸に、強固なディフェンスと速攻で相手を圧倒するスタイルは健在だ。予選でライバルの福岡大附属大濠を倒し、九州大会では崎濱、山口瑛司がケガで欠場という試合がありながらも、決勝戦では延岡学園相手に35点差で大勝している。春に大敗した開志国際にチャレンジする機会を得るためには、同じブロックの藤枝明誠を倒さなければならない。
藤枝明誠は昨年のウインターカップで福岡大附属大濠の2連覇を阻んで3位になったチームで、インサイドで圧倒的な存在感を誇るボヌ・ロードプリンス・チノンソ、得点センス抜群の赤間賢人を軸に、静岡県勢の男子チームとして初の頂点を目指す。ロードプリンスと赤間の活躍は絶対条件になるが、ビッグゲームで勝つためにはチームメイトたちがこの2人をいかにサポートするかにかかっていると言える。
その藤枝明誠にとって厄介な存在になりそうなのが東山。昨年はインターハイにもウインターカップにも出場できないという苦い思いをしたが、オールラウンダーの3年生の佐藤友、得点源としてさらなる飛躍が期待される瀬川琉久を軸に、今年の近畿大会を制した。全国大会の経験値ということでは、他の強豪校よりも低いかもしれない。しかし、この2人がチームメイトをレベルアップさせるような質の高いパフォーマンスを発揮できれば、東山は予想以上の結果を出すことも十分ありうる。
ダークホースとしては、留学生の中で最もオールラウンドな能力を持つと言われるオルワペルミ・ジェラマイアを擁する日本航空を上げたい。関東大会で大暴れしたジェラマイアとともに、Jr.ウインターカップ2021-22でベスト4を経験した中西哲太、大道一歩を含めた2年生トリオの活躍次第で、ベスト4まで勝ち上がる可能性は十分にある。
男子は1回戦から注目のカードが目白押しで、美濃加茂対北陸学院、実践学園対報徳学園、大阪学院大対北陸、土浦日本大対仙台大附属明成の4カードを挙げておきたい。
女子は昨年のウインターカップを制した京都精華学園が最有力。近畿大会決勝で大阪薫英女学院に惜敗したが、1年生の時から主力となっている堀内桜花と八木悠香を中心に、チームとしてビッグゲームを勝ち方を知っている。初戦で岐阜女子という強豪との対戦が濃厚も、ここで着実に勝利を手にできることができれば、頂点に向けて大きく前進すると言っていい。厄介な相手としては、精華女子と札幌山の手の名前を挙げておきたい。
京都精華学園の対抗は、ここ数年で何度も激戦を繰り広げている桜花学園と、第1シードになった大阪薫英女学院になる。桜花学園は昨年から得点源として活躍している田中こころが軸になるが、192cmの福王伶奈は留学生とのマッチアップで仕事ができれば、女王の座を奪回しても決して驚かない。大阪薫英女学院は大きな選手がいないながらも、3年生の島袋椛を中心に攻防両面で質の高いチームプレーで勝てるチーム。順当に勝ち上がれば、準決勝で対戦するこの2チームの勝者が、インターハイの頂点をかけて京都精華学園に挑む可能性が高いと見ている。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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