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バスケット ボール コラム 2022年12月29日

【藤枝明誠】福岡大附属大濠戦に続いて心身両面でタフなことを証明したが、インサイドをアグレッシブに攻める開志国際の前に土壇場で力尽きる | ウインターカップ2022

ウインターカップコラム by 青木 崇
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激しいマークを受ける23番 霜越洸太朗

厳しくマークされる23番 霜越洸太朗

「初対戦で全然わからなかったので最初様子を見ていたら、シュートが入るのでちょっとビックリしました」と開志国際の富樫英樹コーチが語ったように、藤枝明誠は赤間賢人と霜越洸太朗の3Pでリズムをつかむ。谷俊太朗の巧みなゲームメイクもあり、2Q序盤で26対15とリードを2ケタに乗せる。準々決勝の福岡大附属大濠戦同様、藤枝明誠は肝心な局面でのビッグショットやハッスルプレーを何度も見せるなど、試合を通じて開志国際の追撃を跳ね返すタフさがあった。

しかし、赤間が3Q5分21秒で3つ、インサイドで奮闘していたボヌ・ロードプリンス・チノンソが1分33秒で4つになるなど、ファウルトラブルはボディーブローを受け続けたように藤枝明誠のエナジーを徐々に奪っていく。

2分28秒に赤間のフリースローで54対46とリードしたが、その後は開志国際の介川アンソニー翔、武藤俊太朗、バシール・ファイサル・モハメッドのトリオによってペイント内の攻防で支配されてしまう時間を作られてしまう。4Q9分22秒にバシールのアシストから介川がゴール下でフィニッシュしたことで、開志国際は15−0のランで61対54と逆転に成功する。藤枝明誠の金本鷹コーチはこう振り返る。

「武藤くんと介川くん、留学生のところをどう抑えるか、(ボールが)入ってから抑えるんじゃなく、その前にちょっと頑張ろうねっていう風に話してたんですけど、最後まで守り切れなかったですね」

しかし、福岡大附属大濠を倒したことでチームが大きな自信を手にしたのは明らか。「精神的に折れなくなったのはすごく感じます」という指揮官の言葉を象徴するかのように、司令塔の谷がアグレッシブなドライブから得点を奪って開志国際のランに歯止めをかけると、得点源である赤間も7分20秒と5分28秒に3Pを決めたことで、藤枝明誠は65対65の同点に追いつく。その後、一進一退の攻防から3分30秒に4点のリードを奪ったが、時間の経過とともにディフェンスで開志国際を止めることができなくなっていた。

残り17.7秒で赤間のフリースローで76対76の同点に追いついた藤枝明誠だが、残り5秒で武藤のパスをもらった介川が力強くフィニッシュして開志国際が勝ち越し。タイムアウト後のラストチャンスでは、決まれば同点のジャンパーを上野が放つも、リングを弾いて万事休す。「赤間と霜越のところはずっとタイトに守られていたので、キャプテンの上野に“お前が決めてこい!”ということで送り出しました。結果落ちたんですけど、彼のシュートで負けるのだったらみんな納得できるはず」と話したように、金本コーチにとっては想定通りのラストプレーだった。

最後の最後で力尽きた藤枝明誠だが、新チーム発足して間もないころの新人戦で地区予選敗退という事態に直面した。チームを強化し始めてから初という屈辱とも言える出来事から這い上がり、インターハイ予選は日本人だけで戦って出場権を獲得。金本コーチから部員に“でかい素人”と伝えられいたロードプリンスがリバウンドをすごく頑張る選手として貢献した結果、チームに大きな自信をもたらした。仙台大附属明成を倒した勢いでベスト4まで勝ち上がったインターハイに続き、ウインターカップでも3位という結果を残した藤枝明誠が、2022年の高校バスケットボール界に大きなインパクトを残したのは間違いない。

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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