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【大阪薫英女学院】都野と熊谷のスモールガードを軸に頂点を目指すも終盤で力尽き、高さで優位に立つ岐阜女に惜敗 | ウインターカップ2022
ウインターカップコラム by 青木 崇大阪薫英女学院高等学校 4番 都野七海
留学生の擁する高さへの挑戦は、大阪薫英女学院が直面し続けるテーマだ。ウインターカップ準々決勝の相手は、インターハイ3回戦で大勝したものの、U18トップリーグで負けた岐阜女。今年3度目の対決は、メインコートの舞台を賭けた壮絶な戦いになることが容易に想像できた。
主導権を先に握ったのは大阪薫英女学院。岐阜女の1年生ポイントガード、林琴美へ激しくプレッシャーをかけてターンオーバーを誘発させることと、留学生のジュフ・ハディジャトゥへボールが入るまでに時間をかけさせるディフェンスが機能。158cmのスコアリングガードの都野七海を軸に、活発なボールムーブから作り出したチャンスを確実に得点し、14連続得点で2ケタのリードを奪った。
2Qになると岐阜女が徐々にプレスへの対応力を上げて4点差にされたものの、都野と一緒にキャプテンを務める熊谷まどかが3Pショットを決めるなど、ハーフタイム前に再びリードを2ケタに乗せる。ただし、残り13.6秒に都野が3つ目のファウルを吹かれてしまったことで、大阪薫英女学院は後半、プレス・ディフェンスを封印せざるを得なくなってしまう。安藤香織コーチはこう説明する。
「前半はプラン通りに行ったと思います。(後半のスローダウンは)岐阜女さんがプレスにしっかり対応したので、ちょっと時間かけてでもきっちり攻めようというところで、ちょっと重くなってしまったかなと。都野が(ファウルを)3つしていたのも、もう一つ行き切れなかったというのはありますね」
3Qになってハーフコートの展開に持ち込まれた大阪薫英女学院に対し、高さで優位に立つ岐阜女はジュフがゴール下を支配し、平山真穂がリバウンドで存在感を示すようになる。さらに、栢野夏海がアグレッシブなボールプッシュから一気にフィニッシュするシーンが増えるなど、オフェンスの遂行力が上がった岐阜女は、3Q残り29秒で52対51と逆転に成功する。
大阪薫英女学院が後半でジュフへの対応で苦労したことは、4Q序盤で都野とともに得点源となっていた島袋椛が4ファウルとなったことでも明らか。ガード陣も時間の経過とともにファウルの数が増え、28点と大活躍だった栢野の勢いを止める術もなくなってしまう。そんな状況でも引き離されない粘り強さを見せた大阪薫英女学院は、3分43秒に都野が得意のフローターを決めて59対60の1点差まで詰め寄る。
ところが、「最後ボールをしっかり追いかけて当たり続けなければいけない、ボールを奪いに行くという意識を持ってやっていたので手を出してしまったんです」と振り返る都野に対し、レフェリーは直後のディフェンスでファウルをコール。3本の3Pを含む24点、4アシストとオフェンスを牽引していた都野は、ファウルアウトでベンチに下がることを強いられた。安藤コーチはコートにいる5人の選手に「大丈夫、やれる」と勇気づけたものの、都野がプレーできなくなった影響は大きく、栢野のドライブとハイローでジュフがフィニッシュしたことで、59対65と得点差がこの試合で最大のリードを奪われてしまう。安藤コーチは次のように振り返る。
「6番のドライブはもう少し止めたかったですけど、それでも(留学生の)高さの部分で確実というのが向こうにあるので、前半の12点差というのはないと思っていました。もう少し前半で貯金を作らないと私たちは厳しいというのがずっとあるので、12点だとこういう試合になってしまうのはわかっていたし、ファウルがどうしても混んでしまうのも仕方ないです。オフェンスのところでやり返せればよかったんですけれど…」
大阪薫英女学院は熊谷のドライブで残り35秒で2点差とするなど、最後の最後まで粘り強さを発揮。「困ったときに助けてれたのは熊谷ですし、自分よりもいろいろ考えてチームのことをやってくれたりしていたので、決めてくれた時はうれしかったです」と都野が語ったように、残り8.8秒でのスコアが66対69とラストチャンスで追いつける状況を作った。
タイムアウト後のオフェンス、大阪薫英女学院は島袋の3Pショットに託したものの、リングに嫌われて試合終了。ベンチから立ち上がった都野は、岐阜女の安江コーチやレフェリーへの挨拶をしっかり行うも、それを終えると悔し涙をこらえることができなかった。
「正直よくわからないファウルもあったんですけど、要らないファウルや手を出している部分もあったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
都野と熊谷のスモールガードコンビを軸にした大阪薫英女学院の戦いは、ウインターカップの準々決勝で終止符が打たれた。しかし、インターハイで準優勝という結果を残したことからも、2022年の高校女子バスケットボール界を盛り上げてくれたことは間違いない。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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