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バスケット ボール コラム 2022年12月24日

【能代科学技術】3Q中盤まで2点差と食らいつくも、新校名でのウインターカップ初勝利は来年までお預け | ウインターカップ2022

ウインターカップコラム by 青木 崇
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県立能代科学技術高等学校 4番 相原一生

県立能代科学技術高等学校 4番 相原一生

能代科学技術として臨んだ2度目のウインターカップは、宇都宮工のアグレッシブに仕掛けるディフェンスでターンオーバーを多発するなど大苦戦。渡邉直洋と杉本唯斗のスターター2人が欠場というアクデントがありながらも3Q中盤まで2点差の接戦に持ち込んでいたものの、フロントラインのファウルトラブルも影響して力尽き、75対103というスコアで1回戦敗退という結果に終わった。

最終的に28点の差が開いたとはいえ、能代科学技術に十分勝機はあった。宇都宮工のゾーン・プレスからの3−2ディフェンスに対し、前半だけで13本のターンオーバー(トータル21本)を犯し、1Q途中の13連続失点で試合の主導権を握られてしまう。前半について小松元コーチは、「今日はちょっと選手がいなかったので、計算が崩れてしまったのですが、粘り強くついていけました。相手の圧というか、ボールをもう少し飛ばしたかったんですけど、心理的なプレッシャーがあった感じですかね」と振り返る。ターンオーバーの多発に加え、安田圭汰と石津光彩が宇都宮工の石川晃希をなかなか止められず、インサイドの攻防で不利な戦いを強いられたことも、2Q中盤で15点差をつけられる要因になった。

ファウルトラブルに陥る選手が出ながらも、粘り強いマンツーマン・ディフェンスを継続した能代科学技術は、徐々に宇都宮工のオフェンスを連続して止める時間帯を作り始める。14点差を追う状況から石津がバスケットカウントとなる3Pプレーを立て続けに決めるなど、9連続得点で追撃開始。2Q1分18秒で相原一生が決めた3Pショットで1点差まで詰め寄ったことは、後半で逆転して勝てるという期待感を持たせた。

3Q序盤はこう着状態で進んだが、6分25秒に石津のフリースロー1本決めて54対56となった直後、能代科学技術は2−2−1のゾーン・プレスで自分たちの流れに持ち込もうとした。しかし、宇都宮工は冷静に対処して数的優位を作ると、新井建が速攻でフィニッシュして4点差。2−3の外から石岡薫が3Pショットで続くなど、宇都宮工は9連続得点でリードを2ケタに広げることに成功する。

「ディフェンス自体は途中まで大きく崩れることがなかったんですけど、相手の時間間際(ショットクロックが0になる寸前)の3Pが決まったり、崩されたというよりも結果的に仕留められた感じなので、次のオフェンスにつなげようとしたんですけど、3Pシュートのダメージは大きいですね」

小松コーチがこう説明したように、プレスからの2−3ゾーンで止められなかった能代科学技術は、石川へのディフェンス対応で奮闘してきた安田と石津が4Q中盤でファウルアウト。「もちろん素晴らしい選手なので簡単にはいかないんですけど、30点取る選手を20点に減らせればと思ったのですけど、ファウルトラブルが…。いいディフェンスをしていた思いますが、(笛が)鳴ってしまった。そこは悔いが残るというか、頑張った結果なので仕方ないですけど…。ある程度覚悟していましたけど、相手が上手でした」と、小松コーチは28点、10リバウンドのダブルダブルを達成した宇都宮工の石川を称賛するしかなかった。

アグレッシブにプレッシャーをかけ続けるディフェンスで局面打開を試みた能代科学技術だったが、宇都宮工の勢いを止めることができなかった。それでも、キャプテンの相原はチーム最多の20点を記録し、石津もファウルアウトするまで、2PのFGが6本すべて成功させるなど16点を記録。先発に抜擢された2年生の中野珠斗も15点、4アシストと活躍した。試合途中で右足首を捻ってベンチに下がる時間もあったが、そこから復帰して最後までタフに戦い切ったのは来年のチームにとって大きなプラスになるだろう。

「彼は3年生よりも悔しい気持ちがあるかもしれません。今朝から重い荷物を背負わせてしまったので、それによく応えてくれました。長く試合に出ていましたので、配分とかも今日は難しかったんじゃないですかね、彼は。でも、本当によくやりました」と、小松コーチは急遽先発した中野の頑張りを評価する。

来年の新チームでキャプテンになる中野は、「7番と8番の2人がいない中で自分はスタートで出て、小松先生からいっぱい点を取ってこいと言われたので、3年生にとって最後の試合にしたくないという思いで臨みました」と振り返った。先輩たちが成し遂げられなかった新校名でのウインターカップ初勝利だけでなく、更なる高みを目指して、中野は覚悟を持ってチームを牽引するつもりだ。能代科学技術の新たな歴史の1ページを刻むために…。

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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