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バスケット ボール コラム 2022年9月28日

全文公開! オータムリーグ出場選手インタビュー:星川堅信(早稲田大学3年 190cm/SF/洛南高校出身)

バスケットボールレポート by 青木 崇
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星川堅信(早稲田大学3年 190cm/SF/洛南高校出身)

星川堅信(早稲田大学3年 190cm/SF/洛南高校出身)

オータムリーグでの早稲田大は勝てそうな試合を何度も落とすなど、2勝10敗という成績で1巡目を終えた。そんな中でも星川堅信は長い時間プレーし、チームの勝利に貢献するために戦い続けている。中学時代からオールラウンダーとして注目され、名門の洛南高でも1年生からレギュラーとなって活躍。大学生になってからはフリータイムを読書の時間に費やすことが増え、NOTEでエッセイを執筆するなど、プロのバスケットボール選手を目指しながらも作家になることも考えているという。(取材日:9月23日)

Q まずは自己紹介をお願いします。
「早稲田大学3年生の星川堅信です。スポーツ科学部に通っています。心理学のゼミで勉強しています」

Q オータムリーグでは2勝10敗と厳しい戦いが続いています。1巡目の戦いぶりを個人、そしてチームとしてどう評価しますか?
「勝てるゲームを落としたり、2勝しかできてないということで、1巡目が終わってみんな落ち込んでいるところもありました。この2週間にいろんな改善を試みて、1巡目が始まるときよりもいい状態で2巡目に臨めそうです。まだ結果が伴ってない部分で不安も正直ありますけど、2巡目は勢いに乗りそうな感じがしています」

Q 中心選手の一人として、チームに対してはどんなアプローチを心がけていますか?
「僕がバスケットやってきて、高校と大学のカテゴリーの中で、後輩という立場のときに先輩のアプローチの仕方で、試合や練習に対する気分が結構変わってくるものを感じています。いろいろなタイプの先輩と関わってきて、結構強く言う人もいれば、何も言わない人もいるという中で、僕は何も言わない先輩と一緒にプレーすると伸び伸びできると感じています。

強く言ってもらえることもありがたいことであり、それではっきりすることもあると思うのですが、今の1、2年生は自分の強みとかも結構はっきりしています。ヘッドコーチの倉石(平)さんも型にはめるバスケットよりは、選手同士が偶発的にお互いの良さが絡み合って、そこで起きるいいプレーが好きな人なので、僕もそういうのを大切にしようと思っています。チームメイトには、“自分がこうしたいからかこうしてほしい”ということを強く言わずに、“この人は何がしたいんだろう”ということを感じ取るようにしています」

Q 司令塔である土家大輝選手とのワンツーパンチが早稲田大の強みです。彼との相性をどう感じていますか?
「大輝さんはめっちゃシュートがうまい選手ですし、倉石さんもシュートを打たせたがっていますね。大輝さんは結構“こうしよう”ということを言ってくれる人なので、何か僕が違う意見を言って対立するというよりは、そこに乗っかっていくことで波長を合わせていけたら、うまくいくような気がしています。もちろん“違うな”と思ったときは言うようにしますが、普段は大輝さんの勢いに乗るようにしています」

Q チームとして2巡目に向けて準備をしているわけですが、1巡目で明らかになった問題で改善しつつあると感じるところは?
「1巡目はチームがうまくいかなくなって個々で打開しようとしてしまい、バラバラになってしまった感がありました。チームで戦うということをこの2週間すごく意識していて、特にリバウンドとディフェンスとコミュニケーションのところが1巡目で出た課題でした。僕らは身長がないですし、特に留学生相手だと結構ハンデになるのですが、そこに一人じゃなくてチームで戦うことをやれるようになってきているので、だいぶ準備はできているなという感じです」

Q 12試合で平均13.5点、総得点数で7位にランクされています。得点に対する意識はどんな感じですか?
「ヘッドコーチからは20点、25点取れと言われていて、僕が40分出る試合も多いです。全部ハードに毎試合やるというのはしんどいので、出だしのところで(得点を)狙いに行ったり、4Qの大事なところでシュートを決めたいなとは思っています。まだ力の配分というか、アクセルを踏むみたいなところがまだ自分で把握しきれていないです。1巡目でその難しさを痛感しましたが、徐々に理解できるようになりました。得点のところはむしゃらに狙うというよりも、1試合を通してどういう風に自分が攻めていくかっていうのを2巡目では考えて、試合で表現したいなと思っています」

Q 出場時間が2位になっている高校の後輩である浅野ケニー選手よりもトータルで33分も多いダントツの1位で、1試合あたり33.6分プレーしています。タイトな日程の中で数字を残せている要因は?
「1巡目最後のほうでちょっと腰が痛くなってしまったのはケア不足だったんですけど、結構ベンチから出てくるチームメイトがハッスルしてくれるなどかなり助けられてているので、生き延びれたかなっていう感覚があります」

Q 1対1での勝負には自信があると思います。チームプレーとのバランスで難しいと感じる部分があれば、話してもらえますか?
「個人的にはボールを持つのも1対1も好きなんですけど、それを40分間続けられないということと、チーム的に目指しているバスケットと乖離している部分があります。ここ1週間ぐらいでオフボールスクリーンやハンドオフといった2人、3人が絡むプレーの練習をしています。オフボールスクリーンは3x3で海外に行かせてもらったときに、スクリーンの当て方とかをちょっと自分のものにできたりというのがあって、スクリーンプレーもだいぶできるようにはなってきたという感じです」

Q オータムリーグに向けて自身のプレーでレベルアップするために力を入れてきたところとは?
「僕はみんなからも“何かのんびりしている”とか、“マイペースだよね”と言われる部分があって、僕も自分のリズムっていうのを大切にしようと思っています。大学生になってバスケ以外にもやりたいことが増えてきて、バスケも選手としては何年も死ぬまでやり続けられるものではありません。高校生までに感じなかったキャリアの終わりみたいのが少しだけ見えてきて、他にやりたいことの兼ね合いというか、バスケットに対する時間の割き方が変わってきて、そこで効率的に上手くなりたいなと…。

大学生になってからうまくなったのはさぼり方だと思っていて、あんまりスピード出さないけど点が取れたらいいなとか、自分が疲れないけどなんかうまくいったらいいなっていうのをすごく考えています。そう思ってからタイミングを外すのがうまくなったりとか、なんか指先までちゃんと意識してシュートを打つようになったりとか、そういう細かい部分がちょっとずつ変わってきました。

オータムリーグではそういう部分が少しずつ出てきていて、タイミングを外してから(ショットを)打っていることが多いです。フリースローは全然打てていないですし、ファウルももらえてないから、そこが今の課題と受け止めています。2巡目では疲れてきたらファウルをもらい、フリースローで点数を取れるようにならなければいけないという思いがあります。

特別指定で行った宇都宮ブレックスでは、ディフェンスをがむしゃらに、フィジカルにやればうまくいくものだと思ってたんです。でも、データを基にしてシューターじゃない人にはスクリーンをアンダーにしたりとか、クローズアウトも少し緩めに行って、他のうまいシューターにエクストラパスを行かせないようにしたりという狡さや賢さ、言い換えればサボり方や力の抜き方みたいなのがあるというのはすごく感じました。2巡目も結構フルタイムなどプレーが長くなると思うので、リーグが終わるまで体調も崩すことなくコート上に立っていられるようにしながら、チームで勝っていけたらなと思っています」

Q マッチアップするのが楽しい、ワクワクするような選手はいますか? 
「一緒に海外遠征に行って交流があった知り合いとやるのは楽しいですし、メディアに取り上げられてネームバリューのある選手とやってみて、“やっぱうまいな”と感じる方も多いので、そういう人たちから何か盗めないかなと思ってマッチアップしています」

Q その中でも具体的にだれというのはありますか?
「楽しいのは脇(真大)とかですね、白鴎の。体が強いですし、強いだけじゃなく、体の当て方とかもうまいです。ボールプッシュもうまいから、ディフェンスでマッチアップする相手としてはちょっと嫌な部分でありますけど、楽しいです」

Q 今は脇選手が通う白鴎大がある栃木県の出身ですけど、洛南高に進もうと思った理由やきっかけを話してもらえますか?
「最初僕は確か福岡第一と開志国際を考えていて、中学生のころに通っていたクラブチームで、開志と第一に(練習へ)行かしてもらっていて、高校生になったら留学生と一緒のチームでバスケットをすると自然と思っていました。選択肢が2つあったんですけど、その後洛南の体験会みたいのに行かしてもらいました。そのころから東山にも留学生がいたので、どうやって勝っていくかとかにおもしろさがあると気付きました。

そのころは高校卒業したらアメリカに行きたいと思っていたので、何か英語勉強しようと思って洛南の一般コースに入りましたけど、僕が練習しているときにみんな勉強していたことで差が開いてしまい、3年ときにはかなりひどい感じになってしまいました。確かにスポーツをしていないけど、その何かに対して頑張ってる人たちと交流できたので、高校生活は充実して楽しかったです」

Q 洛南でプレーして良かったなと思えることや最高の思い出は?
「洛南はうまい人が集まってきていて、関西の人が多かったです。関西の人だからって言うのかわからないですけど、チームメイトに対しても、ヘッドコーチに対してもかなり言葉が強かったです。表現の仕方がわからないところですけど、結構自我のある人たちとプレーをして、大会で勝ったという瞬間も楽しかったんですけど、そういう人たちと一緒に過ごした時間ですね。高校卒業するときにはかなり関西弁に引っ張られて、言葉のなまり以上に影響を受けている点があるように感じています。行ってから帰ってくるまでの時間の流れみたいのが嫌なところもありましたけど、心地よかったなという思い出はあります」

Q 関西人ということだと、高校の先輩である飯尾文哉(日本大)は他のチームの選手が仲のいい人として名前をあげてきます。星川選手から見てなぜ彼が多くの人から好かれると思いますか?
「なんて言うんですかね。好かれる理由ですか? 高校生のときからだれに対しても分け隔てなく接していて、何か仕草や表情からにじみ出る人格の温かさ、そういうのをみんな感じています。近寄りたくなるくせに向こうから近づいてくるというのが僕も好きですし、みんな好きなんじゃないかなっていう感じですね」

Q 学部はスポーツ科ですが、読書がすごく好きですね。そうなった理由は?
「読書が好きになった理由ですか? 中学生のときにクラブチームの監督がすごい言葉を大切にしていて、そのときから“夏休みに何か本を読みなさい”とか、練習会場から親に送迎してもらって、家に着いたときには“本当ありがとうありがとう”と言いなさいとか、言葉を大切にする人でした。その時は寸暇を惜しんで読書をしていますという感じではなかったんすけど、大学生になってからコミュニケーションには何か2つのおもしろさがあると思っています。

例えば、いろんな国の言葉を喋れていろんな人とコミュニケーションできることで何か伝えると返ってくるっていう面白味と、また文学的な言葉のつかみを表現するという2つがあると思っています。僕は後者がすごく好きで、言葉にするのは何かこう限界を作るというか、認定することなのにも関わらず、それを文にして言葉にして続けていくことで、何か一つのストーリー性とか物語ができて、それが自分の血となり肉となり、自分が成熟しているというこの感覚が好きです。読書は語ろうと思えば語れる分野かなと思ってます」

Q どんなジャンルの本が好きですか? 
「大衆文学みたいに作者が1本のルールを敷き、そこを読者が読めばだれでも同じ感情になるという作品よりも、作者がこういう余白を残してくれたりとか、曖昧な表現をしたりとか、答えをちょっとぼやかしてくれたりとか、考える時間をくれたりする純文学のほうが好きです。僕も3月の終わりに文学賞の公募に出そうと思っている作品を書いています。書き始めたのは結構前からなんですけど、“ああでもない、こうでもない”と考えながら自分の力で書くことによって、最初は自分から出る言葉が“こんなに嘘っぽく、空っぽで、しょうもない言葉なんだ”と気付きました。そこからまた作品に触れる態度が変わって、こんなに奥行きがあって、深みがあってという作者の言葉は、同じパソコンで打たれた文字なんですけど、僕の文字はすごく安っぽく見えて、作者さんの文字はふくよかな感じがするのです。

そこから書き始めて、今陥っている悩みというのは、自分で書いた文章がおもしろいのか判断できていないことです。自分が読んでおもしろいなと感じる作品にしようと思って書いても、滅茶滅茶な話になるし、“これを伝えたいんだ”というのが見えすぎてる作品になったりしたので、書き始めてから何かを作り出す難しさというのが身に沁みてわかりました。元々批判したり、“これは駄目だ”とかを言う性格ではないんですけど、何か評価対象みたいのがあるときに、いいところに目を向けるようになったっていうか、“娯楽は駄目だね”というのはなくなった気がします」

Q 書くことになってからは、授業で必要なレポート執筆も今までよりスムーズにやれている感じですか?
「どの言葉を使おうかなっていう選択肢は多くなったんですけど、評価してもらうために書くレポートと、何かを表現したくて書くという物語は何か違うなと感じています。レポートは“教授がこういうこと書いてほしいんだろうな”というのを書いている自分に気付いたり、レポートは自分を表現するというよりも、“こういう自分がいてもいいよね”という本心ではないことを書いたりしているので、レポートのほうが書きやすい気はします」

Q NOTEでエッセイを書いたりしています。作家としてのキャリアも視野に入れているそうですね?
「それは考えています。プロ選手はチームに所属し、バスケットの試合をするという目に見える姿があります。作家は“新人賞とったりとかしたら作家なのか、何かの媒体で自分の言いたいことをストーリーに載せていったら作家なのか”というのが、そこはいろんな定義があると思います。そこは僕がわかってないところなんですけど、選手として空いてる時間で自分の想像力を保存できる物語を書き続けられたらいいなと思っています。それで賞もらえたり、みんなから愛される作品が作れたら最高だなと思っています」

Q では改めて、オータムリーグの2巡目に向けての意気込みをお願いします。
「1巡目でだいぶ苦しんで、もがいてもがいたという時間も長く、結果が伴ってきてなかったので、2巡目もかなりハードになる気がします。一つ一つの試合にしっかり気持ちを向けること。1巡目はすごい受け身になってしまったので、2巡目は上位チームにも食らいつけるような勢いを持って、戦っていきたいです」

Q この24時間でちょっとだけハッピーだったこと、何かありますか?
「ちょっと一つ聞いてもいいですか。トンボの内側の色って知ってますか? トンボを潰したら何色の液体が出るか知ってますか? 僕も知らなくて、それを今ちょっとみんなに聞いてるんすよ。僕が今描写したいと思っていることはトンボの体内の色で、昨日の練習前にちょっとだけ盛り上がったことです」

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星川堅信(早稲田大学3年 190cm/SF/洛南高校出身)| 第98回関東大学バスケットボールリーグ戦 出場選手インタビュー

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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