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全文公開! オータムリーグ出場選手インタビュー:松崎裕樹(東海大学4年 192cm/SF/福岡第一高校出身)
バスケットボールレポート by 青木 崇松崎裕樹
福岡第一高時代は1年生からスターターとなり、2度のウインターカップ制覇とU18代表で国際大会を経験した松崎裕樹。同じ長崎県出身の田中大貴(アルバルク東京)がロールモデルになっているだけでなく、東海大学入学後に背番号24を引き継いだ。8月に行われたワールドユニバーシティバスケットボールシリーズ(WUBS)で大活躍するなど、4年生となった今年は、キャプテンとしてチームを勝てせる選手へ変貌することが期待されている。(8月10日取材)
Q ワールドユニバーシティバスケットボールシリーズ(WUBS)の国立政治大学戦、33点という久々の大爆発でした。東海大学に入学後ということでは、最高のレベルのパフォーマンスでしたか?
「はい、そうですね」
Q WUBSに参加できたことを個人、そしてチームとしてどう感じていますか?
「こういったコロナ禍の中で、例年よりも国際試合や海外の大学と試合するのが難しい中で、楽天さんとサンクロレラさんがこういった大会を催していただいて、そこに日本の代表として自分たちが呼んでいただいて光栄です。日本の大学のチームだけだと経験できないことだったり、レベルの高さなどをまだ1日ですけど経験することができて、個人としてもチームとしてもいい収穫になると思います」
Q インターハイで母校の福岡第一高校が劇的な逆転劇で優勝しました。試合を見てどんな印象を持ちましたか?
「全試合見ていましたけど、スタートが変わると本当に色が変わるなと思いました。スタートがあまりよくないときにセカンドがしっかりバックアップしましたし、決勝はスタートがメインだったと思いますけど、轟(琉維)君を中心に全員が走って、全員で点を取るというのが見ていて楽しかったので、先輩なんですけど楽しませてもらったというのはあります」
Q 高校時代の自身を振り返ってほしいのですが、1年生から先発で起用されてウインターカップの頂点に立つ経験をしました。長崎県出身ですが、福岡第一高校でプレーしようと思った理由は?
「第一を初めて見たのは狩野(祐介:滋賀レイクス)さんの代だったと思うのですけど、その時の九州大会を見て、すごくいいチームだと小学生の時に漠然ながら思いました。中3の時に井手口先生から声をかけていただいて、練習に参加した時に自分のスタイルに合っていると思って入学を決めたんです。そこでいろいろな指導だったり、いろいろと成長させてもらったと思っています」
Q 2年生の時は準決勝でライバルの福岡大学附属大濠高校に惜敗し、4位の結果に終わりました。3年生の時はキャプテンとしてチームを牽引し、再び頂点に立つことができました。あの時の経験や思い出を覚えている範囲で、たくさん話してもらえますか?
「1年生でいきなり(重冨)周希さんと友希さんがいて全国優勝を経験させてもらい、2年生で自分が中心になってやらなければいけないと思った中でパフォーマンスが上がらなくて、バスケをやってきた中で一番悔しいシーズンだった代でした。3年生でそういった中でも井手口先生にキャプテンを任せてもらって、それで責任感と自分がしっかり引っ張っていかなければいけないという自覚が芽生えました。そこでチームの全員とコミュニケシーションを取りながら、ウインターカップではどこにも負ける気がしなかったです。それだけしっかり詰め込めた1年だったですし、第一の3年間が今の自分の基となる期間だったと思います」
Q 井手口孝コーチの下でプレーした3年間、最も印象に残っているエピソードなどありますか?
「1年生のころから試合に出させてもらって、めちゃ怒られたんですけど、3年生の時は信頼してもらって、自分の意見を言い合えたり、先生からの意見だったり、フラットに話せるくらいの仲になったので、本当に3年間で信頼を得られたのかなというのはあります」
Q 高校時代にはU18のFIBAアジア選手権に日本代表として出場しました。U19ワールドカップに出られない悔しさと、オーストラリアに負けた後にトーステン・ロイブルコーチが家庭の事情でチームを去るという出来事もありました。松崎選手にとってあの代表チームの印象、U18代表として経験したことで今に役立っていることなどを話してもらえますか?
「個人として本当に初めてのアジア大会で、U18と16の合併チームみたいな感じでしたけど、全員が仲が良く、練習ではバチバチやって意見を言い合えました。その中でスタートを務めさせてもらって、個人的に納得のいく大会ではなかったんですけど、トーステンがオーストラリアに負けた後に帰ったり、イレギュラーなことがたくさんあったんですけど、最終的に5位決定戦で予選グループで負けたイランに本当に全員が出て、しっかり勝ち切ることができました。世界大会出場という最大の目標は達成できませんでしたが、チームとしてはいい終わり方ができたので、国際大会の経験が今のWUBSや大学の中でも活きているのかなと思います」
Q ロイブルコーチの印象は?
「熱いというか、熱量を持って指導してくれると思っています。代表チームで初めて顔を合わせる人がいる中で、気さくに話しかけてくれました。短期間のチーム構成ではありますけど、本当にできるメンバーで最高のチームを作ろうとしてくれたヘッドコーチでした。自分たちとしてはやりやすかったですし、勝たせたいという思いを持てるようなヘッドコーチでした」
Q 高校卒業後に東海大学へ進むわけですが、同じ長崎出身の田中大貴(アルバルク東京)選手と同じ背番号24をつけることになりました。すごく尊敬しているということですが、田中選手の存在が松崎選手のキャリアにどんなインパクトをもたらしたと思いますか?
「自分が模範とするような選手で、出身が同じ長崎というのもあります。ピックの使い方だったり、ディフェンスの強度とか、ファンダメンタルのレベルの高さとか、自分に足りないというか、しっかり身につけるべきものをすべて持っている選手だと思います。プレー集とかもユーチューブでたくさん見ていますので、お手本にしているつもりです」
Q 田中選手と実際に会って話す機会はありましたか? 彼との会話で印象に残っていることは?
「東海の進学を決めるときに電話をしてもらって、“本当にどこの大学を選ぶかわからないけど、自分に悔いのない選択をしたほうがいい”と言ってもらい、それで東海に決めたというのがあるので、そこが一番かなと思います」
Q 昨年のインカレ後にキャプテンとなったわけですが、任命された瞬間の心境はどんなものでしたか?
「自分もやるべきだと思っていて、東海はコーチがキャプテンを決めるのではなく、学年でだれがいいという感じで選出するんです。同期のみんなが任せてくれて、インカレの決勝で負けたのをフロアレベルで味わったのが自分なので、そこでの悔しさはインカレでしか晴らせないと思っています。その悔しさをどう繋げるかをずっと考えていたので、オフシーズンからしっかり取り組めていましたし、キャプテンをやるからどうというのはないんですけど、しっかり任されたからには1年間やり通そうと思っていましたので、そんな感じです」
Q 陸川章コーチから今季求められているところは?
「リーダーシップを常に発揮することだと思っています。練習でも試合でもそうですけど、自分がぶれたらチームは負けると言われています。クレバーに試合中判断したりとか、その中で勝負どころは自分がやるというのを任されているはずなので、そこが自分の仕事だと思います」
Q 選手としての持ち味、 プレーで絶対の自信を持っているものは?
「高校のころからトラジションのところはやり続けてきたので、そこは発揮できると思っています。ピック&ロールを4年間先輩からしっかり学んで取り組んでいて、4年目はハンドラーとしての仕事が増えるので、そこが自分の強みになればと思います」
Q 大学に入って以降、そこが最も成長したと感じる部分ですか?
「そうですね。第一のときは本当に走って走ってで、ハンドラーをガードがやることが多かったですけど、東海はボール運びをだれがやってもいいですし、ハンドラーも全員がやるので、最初は戸惑うことやシステムの中で難しいところがあり、自分で何をしたらいいかわからないときもありました。スタッフが親身になってワークアウトをしてくれたり、映像を見せてくれたました。そこから吸収することができたので、一番伸びたのかなと思います」
Q 春のトーナメントは残念な結果でしたが、レベルアップの必要性を感じてチームとして力を入れてきたこと、何かありますか?
「トーナメントからチームのスタイルが変わったのですが、ハーフコートバスケで中央大学に上手にアジャストされて停滞する時間帯は多かったです。ハーフコートのゲームの精度を高めつつ、オールコートでもしっかりトランジション3だったり、走り切ることを伸ばそうということをコーチと話していました。そこから走り込みだったり、走るレーンの確認だったりを重点的にやっているので、そういったことを強化していると思います」
Q 大倉颯太(千葉ジェッツ)、八村阿蓮(群馬クレインサンダーズ)、佐土原遼(広島ドラゴンフライズ)が卒業し、高校の後輩である河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)もプロ入りしたことで、今年は主力のメンバーが大きく変貌します。今年の東海大学はどんなチームになると思っていますか?
「全員でバスケをやるチームだと思っています。去年の得点を取る主となる選手がごそっと抜けたので、そういった意味では全員で点を取って、全員で守ってというのが今年のテーマになってくると思うので、スタートだけじゃなく、セカンド、サードチームも試合に絡んで自分の力を発揮できる選手が多く揃っているので、全員で一つのゲームをしっかり勝っていくというチームです」
Q 新人戦は金近廉選手のケガもあり、6位という結果でした。下級生のレベルアップについてはどのように感じていますか?
「新人戦で下級生がファイトしてくれて、金近のケガはありましたけど、小林巧や前野幹太がステップアップしてくれました。それを見た上級生はいい刺激をもらったというか、負けていられないなというのもできたので、新人戦は6位という結果でしたが、それ以上に得るものがあったのかなと見てて思いました。そこで下級生のステップアップはチームにとってプラスになったと思います」
Q 大学バスケットボールも留学生の出来が勝敗に大きく左右すると思いますが、今年は張正亮選手がすごく重要な選手になってくるはずです。同じ4年生の彼に期待するところは?
「やはり留学生を1オン1で抑えられる選手というのは、うちの中だと正亮しかいないので、そこに絶対的な信頼を置いているので、まずはそこに期待しています。オフェンスの面でも留学生を削れるのは、正亮の1オン1だったり、ピックを出していくことなど、細かいところを徹底してほしいと思っています。それを徹底できる選手だと思っているので、期待しています」
Q 夏の強化合宿でチームの成長を感じたところ、リーグ戦やインカレに向けての手応えは?
「リーグ自体が26試合という長い期間で行われるので、その中でケガやコンディション不良は付きものになって来ると思っています。夏の合宿では練習時間が終わってからもワークアウトする選手や、サードチームでも自分の役割は何かを見出してステップアップしようとする選手がどんどん出てきています。長丁場のリーグを戦ううえで、そういった意欲のある選手がどんどん出てきてくれるのはチームにとってプラスです。そこで下から上を押し上げようとしてくれる存在がいればいるほど、上もしっかり危機感を持って、いい練習やしっかりワークアウトに励むことができると思います。それが本当に切磋琢磨し合っているというか、そういった効果が出れば、リーグも戦い抜けると思っています」
Q この人にはどうしても負けたくないと意識してしまう選手などはいますか?
「意識はめちゃめちゃするというのはないですけど、日本大の飯尾(史哉)はポジション自体かぶっていませんけど、すごく仲がいいのでその分負けたくないというのがあります。
Q 他のチームですごく仲のいい選手は?(その理由も)
「飯尾、古橋(正義:日本体育大)とかですね」
Q いつでもポジティブな陸川コーチの言葉ですごく印象に残っていること、何かありますか?
「陸さん自体本当に毎回ポジティブな言葉をかけてくれます。先程の話にあったように4年生とか勇輝ら、主力が一番ごっそり抜けたのはうちなのかなと思います。トーナメントも結果を出せなくて、周りから弱くなったんじゃないかなとか、自分たちも自信を欠くところがある中でも、陸さんは”オレは今年のチームが間違いなく強くなると思っている”とか、自分たちを奮い立たせてくれるような言葉をかけてくれます。何か一つというのではないですけど、陸さんの存在自体が自分たちをポジティブにさせてくれるというのはあります」
Q 自信を持ち続けることの大事さを陸川コーチは教えてくれていると?
「そうですね。陸さんも長いこと大学にいて、ずっと結果を出し続けているコーチなので、その下でやってるバスケットは間違っていないと思っています。ポジティブであり続けることや、“失敗しても何も問題はない”ということ言ってくれるので、前向きな姿勢を持ち続ける大切さとかは、日頃から学べることだと思います」
Q バスケットボール以外で何かすごくハマっていることはありますか?
「今は温泉とサウナですね。コロナ禍なので時々しか行けませんが、キャプテンになって考えることが多くなって、リフレッシュしたいと思ったときはサウナに行って、ボーッとしていることが本当に多いです」
Q リーグ戦に向けての意気込みについて話していただきたいのと、応援してくれる方々にはどんなところを見てほしいですか?
「26試合という長いリーグ戦をケガなく、全員で乗り切るというのが一つの目標というか、それを大前提にしたいです。その中で優勝という目標は変わらずに狙いつつ、インカレにつなげることを一番にしてやっていきたいと思います。日頃から自分たちが結果を出せなかったりとか、負けてしまう試合もあったりするのですが、そんな中でもSNSだったり、応援のメッセージが毎日のように送ってくださるので、そういった期待に個人的にもチーム的にもしっかり、東海らしいバスケをして応えたいというのがあります。そのためにリーグまでの期間しっかり準備をして、東海らしいバスケを見せるので、会場に来て応援してくださったらうれしいです」
Q この24時間でちょっとだけハッピーだったこと、何かありますか?
「個人的には本当に昨日(国立政治大学戦)のパフォーマンスが久しぶりに気持ちいいなと思ったのと、それがチームメイト全員が喜んでくれました。自国開催で国際ゲームをやっている中で、日本の応援をしてくださる方だったり、チャイニーズ・タイペイの応援する方も(観客席の)上の方にいて、そういった人たちが見る中で自分ができる最大のパフォーマンスを出せたのいうのが、一番うれしいことだったのかなと思います」
文:青木崇
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松崎裕樹(東海大学4年 192cm/SF/福岡第一高校出身)| 第98回関東大学バスケットボールリーグ戦 出場選手インタビュー
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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