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バスケット ボール コラム 2019年12月26日

30得点の横地「最後くらい良いところを見せたい」、福岡大大濠が開志国際との激戦制す

ウインターカップコラム by 平野 貴也
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大濠高校:横地

大激戦にピリオドを打ったのは、福岡大大濠高校のエース横地聖真(3年)だった。ウインターカップ2019第72回全国高校バスケットボール選手権大会は25日、男子2回戦を行い、福岡大大濠(福岡)は、82−76で開志国際高校(新潟)を破り、3回戦進出を決めた。福岡大大濠は全国屈指の強豪だが、今季の全国大会は初めて。フルタイムをプレーして30得点6アシスト、12リバウンド、ブロックショット2本の活躍を見せた横地は「ウインターカップは、2年ぶり。全国で力を発揮できないのは嫌だという気持ちもあった。高校最後の大会。後輩に良い景色を見せられていない。いつも怒られてばかりでダメな3年生で、特に自分なんですけど。最後くらい良いところを見せたい」と大会にかける意気込みを語った。終始リードしていたが、第4ピリオドに75−76と逆転を許した。試合時間は、残り1分8秒。「パスを回せと言われたけど、行こうとしか思っていなかった。逆転されて焦ったけど、自分がやらないと終わると思った」と話した横地は、力強いドライブで相手のファウルを受けながらもシュートを決め切り、バスケットカウントを獲得。フリースローも成功。残り時間56秒8で80−76とし、相手にファウルゲームを強いてチームを勝利に導いた。

エースの矜持だった。片峯聡太コーチは「最初のプレーでドライブしたとき、ユセフ君(相手の留学生、ジョフ・ユセフ、3年)がいたので、200%パスを選ぶと思いましたが、横地は自分で行きました。結果的に(ボールを失って)ターンオーバーになりましたけど、自分のプレーに自分で責任を持って勝負にいった。そこは彼の成長だし、今日は彼を信じようと思いました」と、これまでとは違う雰囲気を感じ取っていた。

横地は1年次から活躍し、インターハイ優勝、ウインターカップ準優勝に貢献した。しかし、確実に力をつける一方で、昨年のインターハイは、世代別代表の活動と重なったために出場できず、ウインターカップも日本一となった福岡第一高校に福岡県予選で敗れて全国大会に届かなかった。今夏のインターハイは、福岡県の出場枠が2から1に減少した中で再び福岡第一に全国出場を阻まれた。代表のエース格でありながら、全国大会でプレーを見てもらえない時間を長く過ごしてきた分、この大会にかける思いは強い。横地は、試合前にかつてないほど緊張していたという。「汗がすごくて、靴下が全然履けなかった。今までより緊張しているんだなと分かった」と苦笑いを浮かべた。しかし、覚悟を決めたエースを持つチームは、強い。主将の西田公陽(3年)は「横地は、アップからすごく声を出していて、めちゃくちゃやる気だった。昨日のミーティングもアイツが中心。今日を勝てば絶対に波に乗っていけるとアイツが言ってくれた。チームメイトとしてすごく心強かった」と気合い十分、抜群のパフォーマンスを見せた横地を絶賛した。

元々、個人技に長ける選手ではある。ただし、横地頼みになれば、チームは止まる。横地の活躍の裏には、チームメイトの働きも大きく影響した。守備では西田公と高木寛大(3年)が相手のガードであるジョーンズ大翔(2年)を後半からストップ。西田公が守備に比重を置く中、相手が警戒したのは当然、横地だったが、攻撃面では1年生の岩下准平(1年)が3ポイントを10本中7本決める活躍を見せて、相手の守備を揺さぶった。片峯聡太コーチも「スリーが入る選手だけど、あんなにポンポンと入るとは思わなかった。普段なら(チームとして)あのくらいの出来であれば、前半はビハインド(の点差)だったはずだけど、彼の力」と認めるほど、貢献度は大きかった。横地は、岩下のプレーを見て、自分がもっとチームを引っ張らなければいけないという思いを強くしたという。

エースがエースとして働き、周りも頼り切ることなく勝利に貢献した。丸2年も全国大会から離れた福岡大大濠の存在感を改めて知らしめる大会にするつもりだ。片峯コーチは「1年間練習してきたこと。きついとき、迷ったときに、ただただ横地が(個人で攻撃を)やるというのではなく、一つ、二つ、周りの工夫がある中で横地を使うとか、横地が囮になって、ほかの選手がやるということをやってきた」とチーム力に自信を示した。

翌25日の3回戦では、関西の雄、洛南高校(京都)と対戦する。2年ぶりの舞台を一戦一戦、勝ち抜けば、2年前の決勝で戦った福岡第一との福岡勢決戦が実現する可能性がある。昨年も力のあるチームだったが、その力を見せられなかった思いも抱えた戦いだ。勝利後、スタンドの応援団にガッツポーズを見せた横地は「昨年も良い先輩たちがいたのに、結果を出せなかった。先輩やOBも含めてチームなんだと思って、喜びを分かち合いたかった」と言った。2年間、見せられなかった福岡大大濠のバスケットを、強さを、まだまだ見せつけて行くつもりだ。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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