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高校バスケ ウインターカップ2019
聖カタリナ学園:持ち味である速い展開の遂行と3Pシュートの爆発で埼玉栄を撃破
聖カタリナ学園対埼玉栄戦は、実力が拮抗しているだけでなく、スピード対高さを生かしたセットオフェンスの戦いという意味でも1回戦の好カードと見ていた。1Q序盤、埼玉栄は178cmのフォワード、狩野美里がミドルレンジのシュートを2本決め、好スタートを切ったかと思われた。
しかし、聖カタリナ学園は小柳亜結と松岡歩菜がインサイドのポジション争いで奮闘し、狩野や187cmの留学生カマラ・アセトゥにボールを簡単に供給させない。ターンオーバーを誘発させるシーンが増えてくると、池松美波が一気のドライブ、小柳が速攻でフィニッシュするなど、聖カタリナ学園は徐々に持ち味を発揮し始めるようになる。
ハーフコート・オフェンスになっても、池松が果敢にペイント内にアタックしてからのキックアウトでノーマークを作り、森美月がしっかりと3Pシュートを決めるシーンが増えていく。「必ずドライブして寄る先がキックアウトになるからと落ち着いてと。ずっとできなかったので合宿の映像を見せたりとか、言い続けたことでやっとここ(都内)での合宿でできるようになった」と後藤良太コーチが振り返ったように、活発なボールムーブから森の5本を最高に14本の3Pシュートを成功させる。
「いつでも自分が点を取るという気持を忘れずに準備はしていました」と語るのは、この試合で最高の25点を奪った森。シュートのリズムをつかんだチームメイトに対し、「埼玉栄がドライブのヘルプが速い対策をしてきたから、コーチから言われたようにドライブに行くと寄ってくるので、そこから掃き出して思い切りシュートを打たせることを心がけました」と話した池松は、9アシストと得点機会のクリエイトで素晴らしい仕事をしていた。
埼玉栄はインサイドで主導権を握ることができないことに加え、聖カタリナ学園のピック&ロールに対するディフェンスでも大苦戦。キックアウトからさらにパスを回されることでローテーションが間に合わず、ノーマークで3Pを打たれてしまうシーンが繰り返される。目由紀宏コーチは2−3のゾーンやトラップを使うなど、チェンジング・ディフェンスで流れを変えようとしたものの、2Q途中で2ケタのリードを奪われてしまうと、1ケタに戻せるような追撃を最後までできないまま試合が終わった。
ファイナルスコアは83対60。聖カタリナ学園にとっては、ウインターカップ前に日本実業団連盟に所属する今治オレンジブロッサムと練習試合を行ったが、埼玉栄を想定したピック&ロールのディフェンスを体感できたことをこの試合で最大限生かせたと言っていい。後藤コーチの「同じサイドに行くな」という指示を忠実に実行した池松と森が2人合わせて43点、13アシストを記録するなど、チーム全体で高いオフェンス遂行力を発揮した。
「生徒が頑張りました」という指揮官の言葉を象徴するように、ディフェンスでも埼玉栄に1本も3Pを許さず、FG成功率も34.2%に限定。リバウンドでも45対43と上回るなど、サイズの不利をカバーした点でも、見事な勝利だった。
文:青木崇
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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