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バスケット ボール コラム 2019年12月15日

【高校バスケ ウインターカップ2019】文星芸術大附:恩師に勝利を報告し、福岡第一に挑戦する機会を得ることが目標

ウインターカップコラム by 青木 崇
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文星芸術大学付属高等学校

11月4日、文星芸術大附は栃木県内のライバル校である宇都宮工を102対89で撃破し、2年連続のウインターカップ出場権を獲得。試合終了直後、司令塔の坂本亮雅は人差し指を立てながら天に向かって両手をあげていた。

文星芸術大附はインターハイから戻ってきた直後、信じられないニュースに直面する。伊藤均コーチの急逝。長年チームを率いてきた指揮官が50歳の若さで亡くなったことに、部員だけでなくOBたちにも大きな衝撃であった。しかし、伊藤コーチが口にしていた「明日に切り替えられるのが男だ」という言葉を実行し、後継となった吉澤啓貴コーチの下でウインターカップ出場に向けて動き出したのだ。坂本はこう振り返る。

「(切り替えは)難しかったですけど、吉澤先生やスタッフの方々が切り替えられるように声をかけてくれました。そこは伊藤先生に頑張ろうという思いに全員がなれたので、切り替えることができたと思います」

吉澤コーチは伊藤コーチが作り上げてきたスタイルを継続し、5人ずつ交代する10人ローテーションで戦えるチームの精度を高めて予選を突破。インターハイベスト16の九州学院との対戦になるウインターカップの初戦について、指揮官は「どうやって守るか、ディフェンスの強化は進んでいます。ベースは1対1でディフェンスできるか」と話す。10人ローテーションで戦う以上、セカンドユニットの底上げに力を入れている中、新チームのキャプテンになった2年生の石塚大暉は、「求められていることがリバウンドやディフェンスの泥臭いところなので、そこをしっかり体現しつつも、3年生が最後なので僕がまとめて気持よくプレーしてもらいたいという思いはあります」と、リーダーシップの発揮に強い意欲を示している。

オフェンスのカギは、昨年のチームからローテーション入りしている坂本と清水一樹。ボールコントロールとクイックネスに自信を持つ坂本がクリエイトし、県予選決勝で33点を記録した清水が3Pシュートを決める形を増やせれば、文星芸術大附の流れに持ち込める。「清水のところは厳しくくるでしょうが、トラップが来た場合は緩くなる。坂本はトラップを交わす力がある」とは吉澤コーチが語れば、坂本も「自分はボールを取られる気がしないので、自信を持って焦らず、仲間を信じて戦っていきたいと思います。クラブチームですけど、(清水とは)中学の時からずっと味方として一緒にやっているので、自分も信頼していますし、彼もそうだと思っているので、自信を持っていいアシストをして気持よくシュートを打ってもらいたいです」と強気だ。

文星芸術大附は昨年ウインターカップ初戦、2年生だった坂本、清水、添野快時、清永湧士の活躍により、出雲北陵に逆転勝ちしている。大舞台での勝利を経験している3年生の存在は、今のチームにとって大きな財産だ。「得意なところは外からのシュートで、味方を生かすことが亮雅さんほどではないですけど、ドライブしてからパスでさばくことができるので、自分で流れを作ってチーム全体に波及させたい。あとは速攻でしっかり走りたい」と語る石塚ら、2年生たちも着実に成長中。昨年果たせなかった2勝してのベスト16進出を果たし、福岡第一に挑戦できると恩師に報告するために、文星芸術大附の部員たちは日を追うごとに士気が高まっている。

文:青木崇

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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