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バスケット ボール コラム 2018年12月25日

【ウインターカップ2018 コラム】重要な局面で抜群の得点センスを発揮し、チームを快勝へと導いた富永

バスケットボールレポート by 青木 崇
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桜丘 No.7 富永啓生選手

桜丘 No.7 富永啓生選手

「ディフェンスが普通じゃない。マンツーマンとかゾーンじゃなくて、マッチアップゾーンなんだろうけど、変則的なディフェンス。それが1回戦の試合を見てわかったので、昨日1日空いたから練習した。これはナーバスになるなとわかったので、普通のマンツーでもうまくいかないし、ゾーンアタックでもうまくいかない。うまくいかない感じが当たり前」

江崎悟コーチがこう語ったように、前半の桜丘は高知中央のディフェンスに対して苦戦を強いられる。2Q中盤で7点のリードを奪われたことに加え、高知中央の石井良樹が前半だけで28点という大爆発も、桜丘にとって想定外の出来事となる。

しかし、この悪い流れを変えたのは、エースの富永啓生だった。41対41の同点で迎えた2Q残り1分11秒にドライブからのレイアップを決めたのを皮切りに、右ウイングからの3P、オフェンス・リバウンドからのティップイン、スティールからのレイアップと、一人で9連続得点。「前半の終わりくらいにちょっと調子が上がってきたから、前半に10点リード(実際は9点)できたことが、後半で引き離せた理由になったと思います」と江崎コーチが振り返ったように、3Q序盤で一気にリードを広げる要因になった。

3Q開始早々、富永がジャンプシュートとフローターを立て続けに決めると、留学生のセン・マム・リバスもユーロステップからのドライブ、大竹敬也もフローターで続いた。桜丘は18点までリードを広げたものの、石井の得点が36点まで伸びると、富永は母のひとみさん(元三菱電機)譲りという負けず嫌いに火がつく。

左ウイングからこの試合3本目の3Pシュートを決めると、ベースラインのドライブから高知中央の留学生アヨム・チョール・マッコールニョックをアタックし、見事なリバースレイアップでフィニッシュ。バスケットカウントとなったこのプレーは、8月にバンコクで行われたU18アジア選手権での経験、3Pを厳しくマークされた時にドライブでアタックして得点したことが、ウインターカップでも生かされたと言っていい。

「昨日練習して、ビデオも見ましたけど、相手のディフェンスが曖昧で変なところでノーマークになってくるので、そこをしっかり見て無理なシュートを打たずに、確実に空いているところを狙っていきました」

98対62のスコアで勝った試合についてこう話した富永は、4Q途中で御役御免となってベンチに下がった。FGが29本中16本成功と50%以上の数字を残し、1回戦の広島皆実戦に続く36点をマーク。しかし、3Pシュートは9本中3本成功の33%という結果には不満で、「3Pがダメです。まだまだです」と口にする。ただし、チームメイトがディフェンスを頑張り、石井の得点を36のままで終わらせたことについて聞かれると、「よくやってくれました」と笑顔を見せた。

3回戦の相手は、インターハイ王者の開志国際。「インターハイ優勝校ですけど、そんなことは関係なくがむしゃらに、悔いの内容にいいプレーをしていきたいです」と語る富永は、よりアグレッシブに攻める姿勢を見せるだろう。たとえ、留学生がゴール前で待ち構えていようとも、U18アジア選手権で対戦したオーストラリアやイランにいたビッグマンに比べれば、彼らは実力で大きく劣る。

ここまでの2試合は、23本中5本成功と3Pシュートの確率が低い。開志国際戦でもスランプから脱却できないようあれば、アグレッシブにアタックし続けての大量得点に期待したいところ。「前はドリブルのスピードがなくて、海外に行ってそう行ったところがよくなったと思います」と話したとおりのプレーをしながら、3Pシュートのリズムを取り戻すことになれば、桜丘によるインターハイ王者打倒も十分ありうる。

江崎コーチの「ここに来てから全然ダメなんだよ」という評価に終止符を打つためにも、ギアをもう1段階上げたパフォーマンスを期待したい。富永には、それができるポテンシャルを持っているのだから…。

青木 崇

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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