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バスケット ボール コラム 2018年12月24日

【ウインターカップ2018 コラム】留学生の急成長と、裏側にあるチームの努力

バスケットボールレポート by 平野 貴也
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開志国際 No.15 サンブ アストゥ選手

開志国際 No.15 サンブ アストゥ選手

ウインターカップ2018第71回全国高校バスケットボール選手権大会は、24日に第2日を行い、女子の開志国際(新潟)は71-78で浜松開誠館(静岡)に敗れた。第1ピリオドだけで3ポイントを4本も沈められた序盤、相手の攻撃を止められなかったことが響いた。終盤に追い上げたが、7点の差で届かなかった。

終盤、苦しい場面で活躍したのが、セネガルからの留学生、サンブ・アストゥ(3年)だった。ゴール下で体を張り、180センチの長身を生かして得点を挙げた。26得点、13リバウンド。主将の松浦なずな(3年)は「下級生が多いチームで、アストゥは(仕事量が増える中でも)我慢してリバウンドで頑張ってくれた。助けになると感じていた」と仲間に感謝を示した。

アストゥの担任でもある伊藤翔太監督は「彼女は、1年生の頃に、プレーできない期間が半年以上あった。実質2年、ものすごいスピードで成長した。昨年は下級生ながらインサイドで上級生と渡り合ってくれたし、今年はチームの主軸。カッとなって話を聞かないことがあり、僕も規律に関しては厳しく言って、何度もセネガルに帰る、帰らないという言い合いをした。でも、試合になれば、しっかりとプレーをやってくれた」とアストゥの成長を認めた。リバウンドの積極性は強くなり、インサイドでのポジション取りも上達。守備面の足の運びも向上した。

留学生は、国内ではなかなか見つけられない高さや強さを評価されて日本にやって来る。「留学生を起用するなんて、ずるい」、「留学生がいたら、勝って当たり前」という見方をされることもある。しかし、実際に留学生を迎え入れてチームを作ることは、決して容易ではない。まず、言葉が分からない。食事の文化が違う。価値感覚も違う。異国に来たことで孤独感も伴う。留学生と、周囲の選手や指導者とが、様々な場面で歩み寄らなければならない。アストゥの場合も同じだ。小林真里奈アシスタントコーチは「彼女は、チームメイトのことがすごく好き。その裏返しで、ちょっとかみ合わないと『私なんて要らないんでしょ』と拗ねてしまうところもあった」と明かした。

はじめは、走るメニューに付いていけなかった。日本のスピード感のあるバスケットに付いていくのは大変だ。守備も互いのカバーが求められる。小林アシスタントコーチは「改善を求めると『自分だけ呼ばれて怒られている』と不貞腐れてしまうことも多かった。でも、今日は少しイライラするところでも落ち着いていて、成長したなと思った」とアストゥの成長過程を振り返った。

アストゥは、国内の大学に進学予定。伊藤監督は「さらに勉強して日本のバスケットに馴染んでほしいし、学んだことを母国で生かすことも考えてほしい」とエールを送った。ウインターカップは、高校バスケ部の最後の大舞台。それは、留学生にとっても同じだ。苦楽をともにした仲間との最後の試合を終えたアストゥは「日本一になりたかったけど、早く負けてしまって残念。でも、みんな、ファミリーだから、毎日楽しかった」と話した。少し無理に笑ったような、それでいて少し寂しそうな表情だった。別れが惜しまれるチームになれた証なのだろう。

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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