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【ウインターカップ2018 プレビューコラム / 福岡第一 】福岡第一、ライバル大濠の思いも背負って日本一へ
バスケットボールレポート by 平野 貴也笑顔の中に、真剣な眼差しがあった。
「言った責任があるよな、って言いました」
県予選とは思えない激闘を制した3日後の言葉だった。「ウインターカップ2018第71回全国高校バスケットボール選手権大会」(23日開幕、武蔵野の森総合スポーツプラザ)に出場する男子の福岡第一高校(福岡)の井手口孝ヘッドコーチは、ライバルを破って言った言葉に宿した覚悟を再確認していた。
今年の「福岡」の看板は、重い。県予選の決勝で破った相手は、前回準優勝の福岡大大濠。ともに全国大会上位の常連校で、死闘となった。過去3年は、どちらかがインターハイ(全国高校総体)決勝進出でウインターカップの県代表枠を2つとし、両校が全国の舞台に上がっていた。しかし、今夏はともに振るわず敗退。冬の出場枠は、1つとなった。実力を出し切って負けたならともかく、今夏は、福岡第一、福岡大大濠ともにU-18日本代表の活動で主力選手が離脱している間にインターハイがあり、割り切れない悔しさは分かり合える部分があった。「冬こそは」と互いが思う中、ウインターカップの出場権を争った県予選の決勝で勝利した福岡第一の井手口監督は、コート上のインタビューで「こんなに辛い試合は、ない。大濠高校、素晴らしいですよ。何とか、この2チームを全国の決勝で戦わせたいと今でも思う。絶対に優勝して帰って来ます」と相手の気持ちを慮り、力強く優勝を宣言した。
気持ちは、選手も同じだった。試合後は、福岡大大濠の選手と何度も抱擁を交わした。国体では、力を合わせて日本一に輝いた仲だ。高さとスピードを兼備する主将の松崎裕樹(3年)は「ウインターカップでも、この試合が全国で一番レベルが高かったと言われるために、自分たちが圧倒的に優勝したい」と言えば、スピードに乗ったドライブを武器に高い技術を生かす司令塔の河村勇輝(2年)も「大濠高校さんの分も絶対に全国優勝をしたい」と強い決意を示した。
ライバルがいるから、進歩がある。前回大会は、準決勝で福岡大大濠に敗れた。ダービーマッチに敗れた悔しさは大きく、通常のベスト4強敗退とは違った重い雰囲気に包まれた。河村は「大濠と何が違うか、シュートの確率が違うという話になって、新チームになってからはジャンプシュートとか、シュート練習を多くやって来た。チームとしてもシュート率は上がったと思う」と話した。福岡第一の強さの隅々に、福岡大大濠という超強豪校の影がある。
強烈なプレスディフェンスと速攻は伝統。井手口監督は「その部分なら、少なくとも日本の高校生には負けない。アジアくらいでは負けない」と自信を示す。大濠を破ったスタイルで、大濠に勝ちたくて磨いた武器で、大濠の分まで出し切る覚悟で――目指すのは「福岡こそ最強」を知らしめる圧勝での日本一だ。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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