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野球 コラム 2026年10月29日

松井秀喜、マイナーで学んだ指導者の姿

MLBコラム by 山田 結軌
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巨人の新監督となった松井秀喜氏

ついにこのときがきた。巨人の新監督に松井秀喜氏(52)が就任した。

10月23日の就任会見では、引退後にGM特別アドバイザーとして帯同したヤンキース傘下のマイナーリーグで目にした指導者たちの姿を語った。

早朝から選手に付き添い、試合後にはメジャーのフロントに報告する選手全員分のレポートを書き、バスで次の遠征先へ向かう。その日常が強く印象に残っている。

ワールドシリーズ

「あの姿を見て自分も働かなくちゃいけない。彼(マイナーのコーチ)たちも指導者の中のピラミッドで戦っているんだというのを目の当たりにして、自分の仕事のエネルギーとしてこれから進んでいきたいと思います」

日々、結果を出すために必死な若い選手に寄り添うマイナーの指導者。監督就任に際して、その経験を自らの仕事への原動力として挙げた。

2003年に巨人からヤンキースへ移籍。7年間在籍し、通算打率.292、140本塁打、597打点を記録した。メジャー10年間の通算成績は1253安打、175本塁打、760打点。

最大のハイライトは2009年のワールドシリーズだった。フィリーズとの第6戦で先制2ランを含む6打点。ヤンキースを9年ぶりの世界一に導き、シリーズ打率.615、3本塁打、8打点で日本選手初のワールドシリーズMVPに選ばれた。

大舞台での勝負強さはニューヨークのファンの記憶に刻まれている。ニューヨーカーは、当時の献身と活躍を覚えている。今も松井は大人気だ。

野球教室で質問に答える松井氏

2012年に現役を退き、2015年にはヤンキースのGM特別アドバイザーに就任した。巡回コーチのような役割で傘下のマイナー球団で若手選手やコーチと接し、育成の現場を経験。日本のように獲得した選手を鍛え上げ、成長させて戦力にするシステムとはやや異なる。

「少し育成システムという意味では、(日米は)違いがあると思っています。やはり向こうは選手のピラミッド(下部組織)が大きいですので、私はその下の方の選手とよく接しておりましたが、やはり手厚い指導というわけではないですね。試合で結果を出して生き残るという姿を日々見ていました。ただ単純にその厳しさというものは常に見ていました」

マイナーでは日本の2軍に比べ実戦機会が多く、試合での対応力や結果が重視される。「朝から晩までその仕事をして、そしてまた選手たちと一緒にバスに乗って次の場所に揺られていくという、そういう姿を見ていました。その姿にも影響を受けています」としみじみと振り返った。

メジャーではチャーター機だが、マイナーではバスや民間機のフライトを利用する。選手と生活をともにする覚悟を持った指導者たちを近くで見てきた。

米国に生活の拠点を置く松井は、家族の後押しを受けて決断した。会見では「ジャイアンツに対する愛が、最後はすべてを上回ったと思います」と監督のオファーを受ける決断の理由を明かした。

1軍監督としての経験はない。それでも、世界一を勝ち取った打者としての実績とマイナーの現場で学んだ指導者の視点がある。「巨人・松井監督」の挑戦が、いよいよ始まる。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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