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力投する先発の菅野智之
熟練の投球術だった。丁寧に投げ、球種を絞らせず、フルスイングをさせなかった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、日本代表の侍ジャパン、菅野智之(36、ロッキーズ)は3月8日のオーストラリア戦に先発し、4回4安打無失点。50球を投げ、プールCの1位通過を決める勝利に貢献した。
「組み立て通り。キャッチャーとスコアラーの方だったりとか、組み立て通り試合を運ぶことができたので、こういう結果になったと思います」
打たれた4安打は全てシングルヒット(バント安打1本)。長打を許さず、守り合いの試合展開を作った。巨人時代に本拠地にした東京ドームだからこそ、リスクを十分に理解している。
50球のうち、スプリットは36%の18球。ツーシームは28%の14球を投じた。一方で直球はわずか4球(8%)にとどめた。落ちる球(スプリット)と、動きながら沈む球(ツーシーム)を軸に打者15人を封じた。
「オーストラリアも勝てば次の準々決勝に進めるということで、本当に気合入ってくると思っていましたし、立ち上がりだけしっかりゼロで抑えることを意識していました」
1回は2アウトを奪い、2連打を許すが失点は防いだ。打ち合いの空中戦を避け、強みの投手力を生かした継投に託した。プロキャリアで最後になる日本代表の登板。ロッキーズのキャンプ地、アリゾナを出発する前には「本当に自分の中では特別な大会になると思う。しっかり1日1日大切に」と誓って日の丸を背負っている。
「おそらく(日本代表に選出されるのは)最後でしょうしね。まさか自分がね、こうやってもう1回、日本代表のユニフォームを着られる日が来るなんて思ってなかったですし、それだけにやっぱり、毎日噛み締めて過ごしたい」
先発投手は大会期間での登板は、通常2度。ベテラン右腕は、あと1度の先発をどこで投げるのか。マイアミ入りしてからの準々決勝以降であることは確かだ。
「どこで投げてもしっかり対応する準備を、これからしていきたいと思っていますし、任された場所で今日みたいなピッチングができるようにまたやっていきたい」
一戦必勝のトーナメント方式の準々決勝は、山本由伸(27、ドジャース)の先発が予想される。菅野は準決勝か決勝の先発を託される可能性がある。
「1戦目よりも2戦目、2戦目よりも3戦目という流れでだんだん結束力というのは強くなっているように僕は感じる。みんな1つになって戦えていると思う。すごくいいピッチャーも多いですけど、みんなそれぞれが自分(のエゴ)を殺しながらやってくれているのが素晴らしいんじゃないかなと僕は思っています」
マイアミでの登板は、菅野にとって侍ジャパンとしてのラストピッチになるかもしれない。できる準備を尽くして、大一番のマウンドに向かう。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
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