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守備練習をする村上
米アリゾナ州グレンデール。澄み渡る青空の下、シカゴ・ホワイトソックスのキャンプ施設で、令和の三冠王がメジャーリーガーとしてスタートしている。
2月9日(日本時間10日)、2日連続の自主トレに臨んだ村上宗隆(25)が見せたのは、日本球界を席巻した姿そのままではない。世界最高峰の舞台を生き抜くための進化、すなわち打撃フォームの「メジャー仕様」への大胆なモデルチェンジだった。
午前8時前には施設に到着。レーニング、キャッチボールと精力的にメニューを消化した。ケージ内での打撃練習では。新スイングのバリエーションの習得に励んでいることを伺わせた。
右足を上げ、左足の軸足に体重を乗せてタメを作る打撃フォームではなかった。右足の上げ幅は低く抑えられ、スイングまでの予備動作は極限まで削ぎ落とされてコンパクトにまとまっていた。
右足を踏み込み、バックスイングの無駄な動きを一切省く。その狙いはメジャーのパワーピッチャーたちが投じる、強く、そして速い球への対応だ。
一日も早い適応への強い意志がにじむ。これから立ち向かうのは、過去の日本打者が苦しんだ「手元で動くボール」でゴロを打たせる時代とは比較にならないほど進化した投手たちだ。
現代のMLB投手は「強く、速く、そして動くボール」で打者を圧倒する。データがその過酷な現実を如実に証明している。メジャー全体のフォーシーム(直球)の平均球速は、2002年の89.0マイル(約143.2キロ)から、2025年には94.5マイル(約152.1キロ)へと大幅に上昇した。
約20年間で実に5.5マイル(約8.9km)もの高速化が進んでいる。主要6球種(フォーシーム、スライダー、カットボール、カーブ、スプリット、チェンジアップ)の平均球速も約4.9マイル(約7.9キロ)のスピードアップ。直球のみならず変化球も含めた「全投球の高速化」が現代MLBの大きなトレンドだ。
ドジャース大谷翔平でさえ、メジャー移籍当初はその壁に直面した。日本球界よりも速い平均球速が一番の難しさだと語り、1年目のオープン戦ではノーステップ気味の打法を採用して開幕に向け調整。メジャー1年目の打者として最多となる22本塁打を放った。
村上もまたメジャーのスピード感への対応を進めるべく、実戦前に新たな動作の習得を目指しているのかもしれない。
守備練習後、スタッフと握手をする村上
準備は打撃だけにとどまらない。チームの基本方針は一塁手起用だが、この日の守備練習では三塁でのノックも受けた。ヤクルト時代にレギュラーを張ったホットコーナー。やや小さめのグラブで軽快に捕球を繰り返し、複数ポジションでの起用にも備える貪欲な姿勢を見せた。
練習後には自身のインスタグラムを更新。ロッカーのネームプレートのスペルミス(MUNETAKI)が正しい「MUNETAKA」に修正されたことを喜ぶ絵文字付きの投稿をするなど、リラックスした様子ものぞかせた。
日本のホームラン王は異国の地で、新たな挑戦に向かう。コンパクトに研ぎ澄まされた新たなスイングを武器に令和の三冠王の世界挑戦が近づいている。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
yukiyamada_mlb
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