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2017年のWBC、アリゾナで松井と嶋のリストバンドをつけて練習に臨む則本
個人的には米国で取材したかった。楽天から海外フリーエージェント(FA)権を行使した則本昂大が、巨人への入団を決断。一時は米大リーグ挑戦を志していたが、巨人で先発復帰する道を選んだ。私は則本の取材経験は多くないが、2014年から2年間だけ楽天を取材させてもらった。熟考の末に選んだ新天地でのチャレンジを応援したい。
35歳で迎えた野球人生の大きな岐路だった。昨季終了後に海外FA権の行使を表明した際、その視線は海の向こうを向いていたはずだ。メジャーで投げることは長年の夢であり、年齢的にもラストチャンスといえるタイミング。実際、米球界からも複数のオファーが届いた。昨季のワールドシリーズ第2戦は、トロントの現地で観戦していた。
則本はキャリアの序盤からメジャーのスカウトに注目されていた。2015年のプレミア12で日本代表に初選出。2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で一気にメジャーの評価を上げた。
「日本ラウンドでメジャーのスカウトたちが驚き、一番の高評価を受けたのは則本だ」
2017年当時、ア・リーグ強豪球団の駐日スカウトは、そう右腕を評価していた。98マイル(約158キロ)の球速とウイニングショットのスプリット。高い奪三振能力はメジャースカウトを引き付けた。
身長178センチの体格は、プロ野球選手としては小柄な部類。打者に対する投球角度がつかず、不利な面がある声もあったが同スカウトは「私たちの球団は問題にしていない」。力のある速球、制球力など総合力を評価していた。WBCではリリーフとして起用されていたが、メジャーでは先発と救援の両方の役割で獲得を検討されていた。
2017年のWBCでは、日本代表はアリゾナ州でミニキャンプ。ドジャースのキャンプ地(グレンデール)で行われた練習では、同じく楽天から代表入りしていた松井裕樹(現パドレス)と共通のアイテムを身につけた練習に臨んだ。
それは右ふくらはぎを痛め、代表を途中離脱した嶋基宏捕手の背番号37が刺繍されたリストバンドだ。楽天と日本代表では捕手としてリードし、精神面でも寄り添い、サポートを続けてくれた先輩の思いを背負い挑んでいた。
2017年則本(右から2人目)は菅野(左から2人目)、藤浪(右)らと調整
則本が巨人に移籍し、今後はセ・リーグのライバルとして戦う。嶋は今季から中日でコーチを務める。過去2年務めていたリリーフではなく、巨人では先発に3年ぶりに復帰する。嶋が相手になる一方で尊敬し、背中を追った田中将大投手と再び、チームメートになる。
サンケイスポーツなどによれば、契約は3年総額13億円の大型契約だ。期待とプレッシャーは大きい。渡米か、日本球界か、決断への過程は決して簡単ではなかったはず。悩み抜いて決めたプロキャリアの第2章。通算120勝&48セーブのキャリアは、終盤に向かう。則本の健康と活躍を願っている。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
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