世界一連覇に不可欠、ドジャース3人のWBC出場はいかに

ウインターミーティングで会見するロバーツ監督

フロリダ州オーランドで開かれているウインターミーティングは、ストーブリーグの主役たちが集う交渉の舞台であると同時に、来年3月のワールドベースボールクラシック（WBC）の話題も多い。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は会見で、日本人3選手のWBC出場について率直な考えを語った。

まず、山本由伸（27）と佐々木朗希（24）の先発コンビだ。ロバーツ監督は「現時点で、こちら側の状況が、以前よりはっきりしたわけではありません」と前置きしつつ、「２人とも出場に前向きなのは確かですし、日本という国全体が期待しているイベントでもあります」と、本人たちの強い意欲を認めた。

日本代表にとってはエース格の2人を、球団としてどう送り出すか。テーマは球数や登板間隔の管理になる。WBCには大会独自の球数制限があるが、ドジャースとしてそれ以上の制限を設ける可能性もある。

ロバーツ監督は「今後、制限や投球数について対話をしていくことになる」と説明した。3月の国際大会をシーズンへの準備の一部ととらえて、計画的に調整する必要がある。

特に山本については、「ここ数年の長いシーズンの蓄積、2026年を見据えた配慮も必要」と語り、長期契約を結ぶ球団として、慎重な姿勢を示した。山本は来季、12年契約の3年目を迎える。

一方で、ロバーツ監督は両右腕の出場に真正な姿勢をみせているが、日本代表で投げる機会そのものを否定してはいない。日本国内から見れば、山本と佐々木が先発ローテーションの柱として世界の強打者に挑む姿は、野球ファン全体が期待する光景だ。

ドジャースとしては、代表チームと事前に綿密なコミュニケーションを図り、何球、何イニングを上限とするか、どのラウンドで起用するかなどをすり合わせながら、リスクとリターンの均衡を探っていく。米国に舞台を移す準決勝からの合流も選択肢の一つかもしれない。

大谷翔平（31）の出場については、議論が少し性質を変える。ロバーツ監督はレギュラーシーズンでの先発ローテーションの構想について、「翔平を『通常の先発投手』として起用する」のが基本線だと明かした。

ただし、二刀流の負担から「6日から8日ほど間隔を空けながら投げさせ、休養とビルドアップ（強化）の両立を図りたい」と登板間隔を長めにとる案を示している。

ドジャースには先発候補が十分にそろっており、その層の厚さを生かして大谷の負担を細かく調整していく方針だ。そのうえで、WBCで大谷が投手として出場するかどうか、という問いに対してロバーツ監督は個人的な見解として“反対”した。

メディアが詰めかけたロバーツ監督の会見

「現時点では分かりません。個人的には、投げてほしくないという思いもありますが、最終的にどうするかは翔平の判断になります」

首脳陣としては慎重な立場にいることを明言した。大谷は2度、右肘の大きな手術を経験しており、ドジャースにとっては2026年以降も見据えた先発投手としての完全復活が最優先事項だ。短期決戦のために再び大きなリスクを負わせたくないという感情は、ごく自然なもの。それでも、ロバーツ監督は大谷の自己管理能力への信頼も強調した。

「彼は自分の身体の状態をよく理解していますし、おそらくは打者に専念する方向性が強いとは思います。ただ、まだ（球団と大谷は）直接話せてはいません」

日本代表にとってドジャース3選手の出場は、メンバー編成で重大テーマの一つだ。さらに大谷は二刀流ができるか否か。一方でドジャースとしては、3人の無事と健康は球団の将来を左右する。

国を背負う短期決戦と日本代表の世界一連覇、そしてドジャースとして6カ月以上に及ぶレギュラーシーズンとワールドシリーズ3連覇。球団と選手、そして日本代表の3者が納得できる帰結にたどり着けるか。ドジャースは戦力補強と同時に主力3選手のWBCについて、決断を迫られている。

文／写真：山田結軌（MLBジャーナリスト）