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野球 コラム 2025年12月8日

ウインターミーティングと村上宗隆の展望

MLBコラム by 山田 結軌
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2025年、ウインターミーティング会場のホテル

フロリダでウインターミーティングが開幕する。シーズンオフ最大のイベントに合わせて、ヤクルトの村上宗隆内野手(25)はポスティングでMLB市場に出ている。MLB30球団との交渉期間は米国時間11月8日(日本時間9日)から45日間。締め切りは米東部時間12月22日午後5時(日本時間23日午前7時)に設定されている。

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通常、日本人の主力選手はウインターミーティング前後の12月上旬にポスティングされるケースが多い。申請のタイミングとしては『最速クラス』。その背景にあるのが、代理人事務所と今オフのフリーエージェント(FA)市場の構図だ。

村上の代理人は、エクセル・スポーツ・マネジメント社(ESM)のケーシー・クロース氏。田中将大(ヤンキース)や秋山翔吾(レッズ)を担当してきたベテランエージェントだ。今オフは野手の目玉打者のツートップ、カイル・シュワーバーとカイル・タッカーの左打ちスラッガーもクライアントに抱えている。

シュワーバーとタッカーは、ヤンキース、メッツ、レッドソックス、レンジャーズ、フィリーズ、ブルージェイズなどオリオールズなどが関心を持つと見られる主力外野手だ。そして、それらの球団に加えマリナーズやダイヤモンドバックスは村上の移籍候補でもある。

クロース氏の交渉順序としては、シュワーバーとタッカーは村上よりも先に契約をまとめるはずだ。今オフのFAマーケット最大のスター打者2人は契約規模が大きくなる。二大スターの契約を先に決め、その条件が今オフの左打ち強打者の相場になる。

一方で、その2人が入団した球団が、続けて村上にも大型契約を提示する可能性は低い。村上は内野手というポジションの違いはあれど、中軸候補の左打者の重複は避けるはず、という理由だ。

さらに起用プランも年俸総額の配分も難しくなるからだ。同じ代理人がそれを承知している以上、「シュワーバーかタッカーを獲得した球団には、村上は行かない」という前提で交渉が整理されていく公算が大きい。

会場ホテルのロビーには、ウインターミーティングのバナー

つまり、シュワーバーとタッカーの移籍先が決まり、村上の行き先は一気に絞られる。ホームランバッターを求める球団がまず2人の動きを見極め、そこから村上に全力でアタックするクラブと別の補強に切り替えるチームに分かれていく構図になるだろう。ウインターミーティングは、その『仕分け』を進める場にもなる。

村上自身は、今オフの野手市場で最上位クラスの評価を受ける存在だ。25歳の本塁打王経験者で、パワーと潜在能力に高い評価と期待がある。長期契約になれば、メジャー1年目の日本人野手として過去最高の総額が見込まれている。編成トップにとっては、村上を獲得できるかどうかが、今オフの予算配分と打線構想の軸を左右する。

ウインターミーティングでは、まずシュワーバーとタッカーの交渉が進み、その結果に応じて村上の優先順位が各球団の中で浮かび上がる。2人の移籍先が固まった後、本格的に村上獲得レースへ踏み込むのはどの強豪球団か。フロリダで交わされる編成会議の積み重ねが、日本の4番打者の新しいユニホームを決める重要な要素になる。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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