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カブス3Aアイオワでの前田
前田健太投手(37)が10年の米国挑戦を終え、日本球界に戻る。11月26日、楽天入りが発表された。サンケイスポーツとMLB.comの報道では、2年契約と出来高を含む総額4億円以上の好条件が提示されたという。11年ぶりに帰る日本のマウンドは、仙台がホームになる。
「メジャーに上がりたかった。そこは悔しかった」
カブスとヤンキースのマイナーで過ごした5月中旬以降。状態は徐々に上がり、「ここ数年で一番自信をもってマウンドに上がれる最後の1、2カ月だった」と語る。
フォーシーム平均は92マイル(約148キロ)前後まで戻り、20221年の右肘手術後で最高水準だった。それでもマイナー契約からメジャーに再昇格することは実現しなかった。
復調の鍵は調整方法の見直し。カブスの分析で、フォーシームをリリースする際「ボールの真後ろで放せているか」をチェック。球体の中心を力強く押し、スピンがかかるように投げることができるのか。リリースの瞬間、指先から伝える力がロスがないように伝わるかどうか。
現在のハイテク機器を使用した分析では、その強度と精度も数値化される。その数値が手術後で最も高かったと明かした。
日々の調整で、以前は使用していた公式球よりも重いボールを投げるトレーニングをやめた。右肘の負傷以降、重いボールを投げる際に自身も気付かぬうちに右肘への負担を逃がす投げ方が癖になり、リリースにズレが生じていた。体を縦に使うフォームに回帰したことも併せて本来の球質が戻った。
日本復帰は新たな挑戦だ。マエケンは「もう僕、浦島太郎状態ですよ」と笑う。前田が広島に在籍していた2015年当時とは、多くのレギュラーが入れ替わり、メンバー構成が変化した。昨今の投高打低を踏まえて「投げてみないと分からない」と慎重だ。
ただ、広島時代には投げていなかったスプリットのように、落ちるチェンジアップやツーシームを今は右打者にも使う投球術がある。「日本でやっていた時よりレベルアップできてる」と自分の成長には手応えがある。
ヤンキース3Aスクラントンで投げる前田
使用するボールや登板間隔の違いにも冷静に向き合う。日本のボールは「スライダーは絶対投げやすい」とし、得意球が生きる環境だと想定している。今季マイナーで中4日、中5日で90~100球を投げ続けた経験があり、日本式の中6日ローテでも体の不安は少ない。
仙台での再出発。「移籍、FA、マイナー、全部経験しました。ワールドチャンピオンになれなかった以外はね」と振り返る。不調やフォームを見失ったどん底も乗り越えた。「自分は感覚でやった方がいいタイプ」と原点も再確認した。
新天地で問われるのは、37歳のベテランが得た知識と経験を、チームの勝利にどう結び付けるか。楽天が求める役割、先発陣の柱と若手投手の“教材”になる存在。11年ぶりの日本で、マエケンの再挑戦が始まる。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
X(旧:Twitter)
@YamadaMLB
Instagram
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