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金丸夢斗(ドラゴンズ)
11月も中旬に入り、いよいよ冬が間近に迫っている。プロ野球のシーズンは全て終了し、本格的にストーブリーグに入っているところだ。
先週末には侍ジャパンと韓国の強化試合が行われた。来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた強化試合で、メンバー選考前ラストの2連戦である。今回は中日ドラゴンズから4人の選手が選ばれており、本稿では彼らのプレーを振り返りたい。
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◆金丸夢斗:ルーキーながら先発の大役を担う
16日(日)の第2戦、先発マウンドには金丸夢斗が抜擢された。
ルーキーイヤーを終えたばかりの左腕は、150キロに届く快速球と変化球のコンビネーションが冴え、2回まで無失点ピッチング。2つの三振を奪い、出塁を許したのは内野安打の1本のみ。バッテリーを組んだ岸田行倫(巨人)との息もピッタリだった。
自慢のクロスファイヤーはシーズン中と同じクオリティを見せ、岸田のリードでチェンジアップを多投。相手打者のタイミングを外すことには長けていた印象だ。
ただ、3回は先頭打者に四球を与えると、長打でピンチを作られ、結果3失点を喫して降板。球審の判定が辛いのもあったが、ゾーン管理に課題が残ったようだ。
本戦に向けて、金丸は「左の第2先発」枠を争っている。ライバルは隅田知一郎(西武)、曽谷龍平(オリックス)あたりか。前日の第1戦で同じく先発して3回無失点だった曽谷が一歩リードの様相だが、金丸も選ばれた時のために準備を進めたい。
◆松山晋也:「いつもと違う」5回に登板
松山晋也も16日の第2戦でマウンドに上がった。
いつもと違ったのは8回や9回ではなく、5回に登板したこと。この回に投げるのはギリギリで決まったとのことで、準備は大変だっただろうが、終わってみれば1回を無失点で凌いだ。
最速155キロの速球とフォーク、そして「ガンギマリ」と称される険しい表情は健在。先頭打者に8球を要しながら三塁ゴロで退けると、次の打者は初球を打たせて再び三塁ゴロ。2死から安打を打たれるも、後続を断っている。10日の広島との練習試合で2失点を喫して心配されたが、MLB球への適応含めて問題なさそうだ。
本戦では抑え役を含め、リリーフの重要なポストが期待される。大勢(巨人)や平良海馬(西武)らと勝ちパターンを形成するのではないか。このままコンディションに問題がなければ、日の丸を背負うことは確実。「侍ジャパンに松山あり」と全世界にアピールしたい。
◆高橋宏斗:158キロで度肝を抜くも…
井端弘和監督が就任してからの侍ジャパンで、多くの経験を積んでいるのが高橋宏斗だ。昨秋のプレミア12ではエース格として重要な試合を任され、今回の強化試合も当たり前のように選ばれている。
金丸、松山と同じく第2戦に投げた高橋は、7回からマウンドへ。いきなり自己最速に並ぶ158キロの速球を投げ込み、状態の良さをアピール。ただ、1イニング目は3連続四死球から犠飛で失点。次のイニングではソロを被弾と、2回2失点の内容。結果を残すことはできなかった。
どうやら捕手からのサインを伝達する「ピッチコム」や、投球間の秒数を計る「ピッチクロック」への適応に課題を残したようで、相手のペースに呑まれてしまった。「ピッチコム」「ピッチクロック」ともに日本球界では導入されていないが、WBCでは採用が決定済み。本戦までにどう折り合いをつけられるかが試される。
◆岡林勇希:第1戦でフル出場
野手で唯一の選出となった岡林勇希は、15日の第1戦で「1番・中堅」としてスタメン出場。途中で右翼手に回りつつ、フル出場を果たしている。
打席では5打数ノーヒット(1死球)と結果を残せず。セ・リーグトップの168安打を放ったバットコントロールを発揮しきれなかった。ただ、守備や走塁でも高い次元で貢献できるのが岡林の魅力。正中堅手の有力候補の1人であることは間違いないだろう。
侍ジャパンの外野陣を見ると、メジャー組が鈴木誠也(カブス)と吉田正尚(レッドソックス)。国内組は森下翔太(阪神)、五十幡亮汰(日本ハム)が名を連ね、近藤健介(ソフトバンク)や周東佑京(ソフトバンク)も控えている。なお、前回大会のヒーロー、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)は両足かかと手術の影響で選外が濃厚だ。
大舞台に「竜のリードオフマン」は立つことができるか。選考の結果は年内、遅くとも年明けを目処に発表される見込みだ。
文:加賀一輝/写真:産経新聞社
加賀 一輝
1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント
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