【広島好き】カープ、侍ジャパンと練習試合。打線は躍動も投手陣と守備は乱れる

広島ナインにあいさつする佐々木泰

来年3月に行われる第6回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）に向けて、11月10日（月）に侍ジャパンがカープと練習試合を行いました。

◆練習試合の結果
侍ジャパン｜4 0 0 2 4 0 2 0 2 0｜14
広島カープ｜0 0 5 2 2 0 0 0 2 0｜11

カープからは森浦大輔、小園海斗、追加招集となった佐々木泰の3名が代表に選出され、対するカープは日南秋季キャンプに参加中の若手中心のメンバーでの対戦となりました。

代表組では5番・ショートでスタメン出場した小園が6打席で2点タイムリーを放って1安打、佐々木が9番・一塁で同じく6打席で1安打、9回2死満塁から森浦は打者1人のみの登板で、二俣翔一をセカンドゴロに打ち取っています。

代表組はそれぞれ持ち味を発揮しましたが、それよりも驚かされたのが、乱打戦となった試合で、13安打11得点を記録した打線です。

先発した辻大雅が初回に4失点して劣勢の展開で迎えた3回。この回から登板した侍ジャパン3番手の隅田知一郎（埼玉西武）を攻め、先頭の佐藤啓介の安打から中村貴浩の四球と久保修の安打で満塁のチャンス。

矢野雅哉と坂倉将吾の連続タイムリーの後、4番・一塁でスタメン出場の渡邉悠斗の内野ゴロの間に得点、さらに林晃汰のタイムリーも出て一挙5点を奪って逆転しました。

2番手の高太一が打たれて再逆転された直後の4回も坂倉の2点タイムリー、5回にも二俣翔一、佐藤の連打から内野ゴロの間の得点と押し出し四球で2点を追加し、今シーズン防御率2.59で、2ケタ勝利を挙げている隅田から3イニングで大量9点を奪いました。

その後も5点ビハインドの9回には、今季のレギュラーシーズン8試合を含めて昨年から22試合、チームが得点を奪えなかった松山晋也（中日）から名原典彦、田村俊介の連打で2得点と粘りを見せました。

日本を代表する投手相手に打線が躍動した一方で、投手陣は辻が初回に先頭打者から4連打を浴び、4回にはチームメイトの小園にタイムリーを打たれるなど、4回を投げて6失点、2番手の高も森下翔太（阪神）に一発を浴びるなど、3回6失点と結果を残すことができませんでした。

3番手の玉村昇悟と、タイブレークの練習のための特別ルールで延長10回に5番手で登板した高橋昂也はそれぞれ1イニングを無失点に抑えましたが、9回に登板した菊地も2失点と、代表レベルの打者の洗礼を受けています。

大量失点した投手陣に加えてもうひとつ、課題と言えるのが守備の乱れで、辻、高とも6失点ながら自責点は4と、守備にも足を引っ張られる結果となっています。

初回には無死2・3塁の場面で小園の強い当たりを、前進守備のセカンド佐藤が処理しきれず、後ろに逸らして失策。5回には2死2・3塁の場面で野村勇（福岡ソフトバンク）のショートへのゴロを矢野が一塁に悪送球し、いずれも失点につながりました。

延長10回には、失点にこそなかったものの、二塁に回った矢野が岡林勇希のゴロをファンブルと、守備職人が2失策を記録しています。

両チーム合わせて31安打、25得点の乱打戦となった試合後の新井貴浩監督は、「代表の選手もいい動きだなと感じた」と、侍組の3名を評価した後、シーズンでもなかなか見られなかった打線の爆発に「いい意味で正直、びっくりした」と驚いた様子でした。

先日発表された来季のコーチ陣の陣容では、今季は二軍担当だった福地寿樹打撃チーフと、新井良太打撃コーチの一軍昇格が発表されましたが、両氏の指導を受けた若手の打棒爆発が来季につながるのか。期待を込めて注目したいところです。

文：大久保泰伸／写真：産経新聞社